更新2020/06/09

エアコンコンプレッサー

このパージの内容:

故障とその解説など
コンプレッ サーオイルについて
コンプレッサーオイル添加剤に ついて
            ・・・・「GRP−TO」を 添加施工します。
                (10%税込み、ガス134a200g1本サービス+「GRP−TO」約 20mlを入れて5200円)
                                    ※ PAG(ポリアルキレングリコール)使用の場合はXH901 を添加します。 

普通、壊れたコンプレッサーを分解することは滅多にないのですが、焼き付きによるロック症状の 為、気になって分解してみました。
構造はパワステのベーンポンプなどと似た構造を持つ機器でした。
簡単に図で表していますが、他の機器と同様に精密・堅牢に作られています。
ベーンの構造がパワステの場合とやや異なっており、2枚の大きい板状のもので、十字型でローター溝を往復運動する形で、
ベーンの突出している長さを変えられるようになっています。
この構造の場合、摩擦する面はベーンとそれを取り囲むハウジング全てになるわけで、
気密性が重要ですから、高精度で成形されており、表面処理もなされているように思われます。
この焼き付きの場合は、
各部で凝着摩擦が起き融着による摩耗がひどく、最終的にはベーンがスライド出来ずに短くなることが出来ず
ロックしていました。
ローターの溝をスライドできないほど板が溶けて盛り上がっていましたが、削り取ってしまうと手で回すことが出来ました。
相当な高熱が発生していたものと思われます。

エアコンオイルによって摺動面を潤滑しているわけですが、冷媒と混じった状態で、かつ冷媒が高温高圧気体ですから、
十分な潤滑を行うのにはかなり過酷な条件であることがわかります。

分解したコンプレッサーでは焼き付きの原因はベーン部が往復しなくなった事によるわけで、
またベーンの側面にも焼き付きの兆候が見られましたが、このエアコンは途中でガスの充填をしているため、
コンプレッサーオイルの漏れにも関係があるかも知れません。
(コンプレッサー部でのオイルにじみは出ていませんでしたので、エキスパンションバルブ部・エバポレーター部がある
室内機のほうに出ているのかも知れませんし、あるいはローター部のガタによる結果かも知れません。)
普通はガス充填の際、ガスのみの充填で済まされ、コンプレッサーオイル(or添加剤)を入れられていない場合が多いわけです。
コンプレッサーの焼き付きは、機器の品質向上で最近はほとんど見ることがないのですが、
ガス充填のみの場合は、異音が発生して来る場合もあります。
このように異音が発生している場合、信頼できる添加剤等をガス充填と同時に行いますと、
ほとんどの場合、異音が減り、エアコンの効きもよくなります。
もちろんコンプレッサーオイルの充填もされた方が良いでしょう。
目安としてはガスを1本(200cc)補充する場合は、
コンプレッサーオイル・添加剤なども30cc−40cc程度と思われます。
出来ればガス漏れの原因を調べて、きちんと処置し、潤滑剤も交換出来た方が万全といえそうですね。

下記は134aタイプで、焼き付きを起こしたコンプレッサーの写真です。

オイル漏れが先かどうかは確認出来ませんが、
かなりコンプレッサーオイルが漏れており焼き付いて
マグネットクラッチも削れてしまっていました。

下の故障はクラッチがつながって、ローターも回っているがある意味で「空転」のような状態で
ベーン固着のため広がることができない(羽がロックしている)状態のため、冷媒を圧縮できないために
エアコンが冷えないことになる。(下左画像)
下中央画像はロックした羽を広げて撮影。この状態になるとハウジングに溜まった冷媒が回転しながら圧縮されてゆく。
通常は羽が中央の穴からの圧縮冷媒の圧力で簡単に広がる=右下の横から見た画像のように広がる。


こちらに別のタイプのロックしたコンプレッサーの状態があります。


白く塊になっている部分が摩耗粉や金属片になります。
相当、金属摩耗が進んでいますし、ボールベアリングも外れてしまっています。
この場合、コンプレッサーだけを交換しても摩耗粉がエアコン各部へ循環し、再度故障の原因にならないかが心配です。
こういった場合は出来るだけ配管等内部を洗浄し、エバポレーターも点検し、リキッドタンクなど
交換しておく必要がありますが、それでも摩耗粉がすべて除けるかは不安です。
次回の修理までどれだけ持たせられるかを考えて整備しないといけませんので、
とりあえず今回は中古コンプレッサー交換で様子を見る事になりました。
(新品交換の1/5、リンク=OH済み品の1/3の部品代ですから、もう一度修理できる費用がでます。)
もう一つ、考えなければならないのは、どうしてロックしたかです。
最大の原因は、コンプレッサー近くの「高圧ホースの「かしめ部」から、ガスと潤滑油が漏れていることでした。
当然、ガス漏れ・潤滑油漏れ再発防止のためこの部品は交換になります。
コンプレッサーのロックはコンプレッサーのシール部から漏れていない場合は特に
他の箇所を念入りに調べる必要があります。
スクロールタイプのコンプレッサーのロック状態(拡大写真こ ちら.4=こ ちら.

プーリーに一番近い電磁クラッチ側のベアリングが壊れているのがわかります。
スクロール部はほとんど傷がない状態でした。

もう一つスクロール型のコンプレッサーですが、こちらはあまり見ない壊れ方でして、
密閉用のボルトが折れてしまっています。

−拡大写真はそれぞれ5−1.6−1.7−1.8−1.9−1.
細かな金属粉などがリキッドタンクへ運び込まれ、そこで目詰まりの原因になり
高圧ガスにてエアコンの合わせ面の継ぎ目が飛んだのか、かろうじて2本のボルトだけで固定されています。
ボルトが圧力で破壊され外れるというのは非常に珍しい故障の仕方で、高圧になると危険ですので
通常はレシーバーなど近くで圧力弁的な装置が付いているのですが、
そちらは作動しなかったようです。
こういった場合はやはり、リキッドタンクは新品に交換。
コンデンサーやその他の配管も念入りに掃除する必要があります。

こちらの場合はロックしたのではなく「異音発生」で、ガス漏れもないのですが
その後に「冷えが悪い」状態になったエアコンの内部(全体の写真10、弁の箇所11)です。

金属の弁が疲労の為もあってか(12年使用で約13万キロ走行車)、割れて落ちていました。
残りの4つのピストンがあっても、圧縮が抜けてしまいますの、わずかに冷却されるだけです。
この場合は中古コンプレッサー交換だけで済みましたが、
他に冷えが悪い症状では、「エキスパンションバルブ(膨張弁)」の不良の場合もあります。
同様にエバポレーター(蒸発器)の目詰まりも効きを悪くしますし、スイッチが入らない場合などで
風が来ない場合は「送風ファン」「レジスター」などを点検するといいでしょう。

で、整備をしていますと、電装メーカーさんの本音もよく聞くわけです。各社それぞれ故障する機種や場所が決まっていたり、
ある程度わかっていまして、特定の故障箇所を修理するという件数が多いようです。
これは特別エアコンだけと言うこともないのですが、値段が張るだけに(修理なしで乗れませんからね)困ってしまいます。
中には、構造上決まった年数しか耐久性がない構造をわざと取っているのかと思われる機器もありまして
そういったレベルの技術なのか経済的な制約のためなのかと考えてしまうこともあります。
出費はユーザーさんに重くのしかかりますからね。
 

なお、エアコンの各部の部品と働き下記の通りです。
写真などは症状から見るエアコンの故障箇所診断にあります。

●エバポレーター(蒸発器)+送風ファン

      エキスパンションバルブで霧化した冷媒を効率よく気化させる箇所。
      気化熱でエバポレーター自体が冷却されるので、通常は空気が通過するタイプで
      出来るだけ効率よくなるよう表面積が多くなる構造を取っています。
      温度調整用にサーミスタやエキスパンションバルブの感熱筒もエバポレータに付きます。

●エキスパンションバルブ(膨張弁)

      液化した冷媒を霧化させ、気化しやすくする装置。
      霧化させる孔の面積で気化の状態も変わるため(エアコンの冷却状態が変わる)ため
      バルブには外気温によってその孔を広げたり狭くしたりする装置(感熱筒とキャピラリーチューブ)が
      付いて開き具合を調節しています。キャピラリーチューブはエキスパンションバルブに付いている針金のような管で
      先端は感熱筒で、エバポレータの冷却によって中の液が膨張・収縮します。
      冷却水を制御しているサーモスタットと同じと思えばいいでしょう。

●コンプレッサー(圧縮機)

      気化した冷媒を圧縮し、高圧にしてコンデンサーへ送る装置。
      気体は高圧になると高温になり、密度が高くなるので、
      コンデンサーでファンによって冷却すると液化しやすくなります。
      エバポレータにあるサーミスターによって直接クラッチの電源を切るように
      配線がされています。

●コンデンサー(凝縮器)+冷却ファン

      エバポレーターと逆の装置になります。
      夏など冷えたジュースなどを入れたガラスコップの周りが濡れるのと同じですが
      高温高圧の冷媒を減圧する事と冷却させることで、
      今度は気化した冷媒が急速に液化します。

●レシーバータンク=リキッドタンク=液タン(貯蔵庫)

      液化した冷媒を蓄えておくタンクですが、
      冷媒内部の水分やゴミを取りのぞくために筒の中にはフィルターや乾燥剤が入っており、
      内部の状態を見るためののぞき窓が付いているタイプが多くあります。
      配管内部が異常に高圧・低圧になったりすると安全装置が作動し
      コンプレッサーを止める安全装置が付いているものも多くあります。

●各センサー類

      室内の温度を自動調整するために外気温センサーが付いているものや
      上記のエバポレータに取りつけるサーミスタなどの場合は、
      冷却温度によってコンプレッサーのクラッチを切る役割を持っています。
      その他にもセンサー類は各所に使われています。

「+ファン」とありますのは、
この部分に強制的に送風などがない場合は、過冷却・過熱などが起こり、
エアコン自体の能力が下がったり、自動的にセンサーなどの保護装置が働き、コンプレッサーの作動を
offしてしまうからです。
ファンモーターの故障やモーターの回転数低下や、ファンリレーやレジスターの作動不具合は、
エバポレーター側では、暖房のヒーターファンと共用されていますから、レジスターが一部の送風位置で壊れてもエアコンが効かなかったり、
途中で切れる症状を起こしたりします。
コンデンサー側では、冷却水の加熱、冷媒の異常圧力上昇によるコンプレッサーが切れる症状を起こし、
どちらの場合にもエアコンが「効いたり効かなかったりする」といった症状で現れることが起こります。
(同じような症状として、電磁クラッチの不良もあります。)
エアコントラブルにおいてコンプレッサーが回っているかどうかは、大体見逃さないわけですが
コンプレッサーも制御されていますので、on・offする場合、
ファンがきちんと回っているかなども、エアコンの故障診断には欠かせない点検になります。

こ のあたりは別のページにも書いています。

最近のガス漏れが多い箇所は、エキスパンションバルブ部のシールからの傾向が目立ってきていまして、
ほとんどの場合、その箇所のOリング交換で対応できるようです。
なお、軽微なガス漏れは残念ながらほとんどどんなエアコンでもあり得ます。
エアコンガスの漏れは、オイルシール、ゴムホースのメッシュ部、パイプの継ぎ目などからですが、
1年で90ccも自然に漏れると言われるのは、自動車メーカーで新車から取り付けられた場合には少なく、
新車が完成してからディーラーなどで後付されたエアコンの場合や、
特に純正品ではなく外品エアコンの場合が多いようです。
またOリングを使用していないエアコンに多く漏れがあったようにお聞きしています。
数年経ったエアコンはガスなど点検され、連結部のゆるみが生じていないか、確認されるだけでも
故障が少なくなるように思えます。ただし締めすぎも良くないので難しいところです。
R12用エアコンにR134aのガスを入れた場合、どれだけ漏れが多くなるかはまだ調べていませんが
多少多くなる傾向がある事は分子の大きさから判断は出来ます。
漏れと共に、冷却装置自体が境界潤滑をしているので、冷媒自体(R−12、134aなど)の潤滑性も関係してくることになります。
塩素系(R−12)と比較しますとどうしても代替えのR−134aやR−125は耐摩耗性や耐焼き付き性劣ることが
判っておりますので、漏れによる冷却能力低下は、コンプレッサー稼働時間の延長を引き起こし、
摩擦熱・摩耗という結果を生み出す要因となり、故障の増加にも繋がってきます。
このあたりの潤滑は特に気を付けたいものです。
といってもユーザーの立場では余計な出費となりそうな事ばかりです。

コンプレッサーオイル

CFCつまりR12などは冷媒それ自体が潤滑性を持っていたために、さしたる潤滑剤は使用しなくとも
結構長期間の運転が可能でしたが、
HFCつまりR134aなどの使用になって、潤滑油の重要性が出てきました。
R12の代替えフロンはR134aなどが98−99%程度を占めており僅か1−2%の他の成分(添加剤=潤滑剤)で出来ています。
しかし、使用した経過からしますと、
代替えフロンメーカーからも「コンプレッサーオイルを同時に入れる」ように薦めているように、
R12と比較しますと潤滑性に問題があるように感じられ、
こちらでも必ず添加剤を併用するようにしています。
通常は、自動車用にはPAG(ポリアルキレングリコール)やPOE(ポリオールエステル)が潤滑油として
用いられているようなのですが、
潤滑油の全体量から考えても多量の添加剤は劣化成分となりかえって有害となりうるため
有効な添加剤が少ししか入れられず、そのために増量しないと効果がない添加剤でも
多くは入れられず、効果の薄いままであったりしています。
このため添加剤が効きやすいようにPVE(ポリエーテル)やAB(アルキルベンゼン)などが用いられることもあるようです。

特に、R12から134aへに変更によってスラッジの問題や配管閉塞の問題がクローズアップされてきた経緯は
潤滑油変更による潤滑性劣化と添加剤効果の低さにあるように思われます。
R12などで使用された鉱油などとPAGやPOEを比較しますと、
油膜維持に必要な高圧になった場合のオイル側の粘度が低く、十分な油膜が保てなかったり、
PAGやPOE自体が「−0H」というような極性を持つため、それ自体が吸湿しやすく、
特にカーエアコンのコンプレッサーの軸シールから、冷媒へ水分が入りやすい構造のためPOEでは加水分解を懸念されています。
R12ではあまり言われなかったのですが、上記の内容によって
134aは水分が入る為に、効きが悪くなると言われる理由の一つとされているようです。
なおエアコンのガスについては下記にも記載しております。

市販されているエアコンの添加剤の中身

上記コンプレッサーオイルの箇所で記載していますように、R12からR134aと変わったため、
コンプレッサーオイルも変わり、そのオイル添加剤=エアコン添加剤もまた更に変わるようになりました。
けれども、実際販売されている添加剤の中身は?と言うと、
コンプレッサーオイルのPAG(ポリアルキレングリコール)を単に充填しただけの製品だったり、
加水分解が懸念されるエステル(脂肪酸エステルPOEポリオールエステル)だったりと、
潤滑性が劣ることに対しての対策はほとんど無い製品が売られています。
 

ただし、絶縁性が高いPOEはコンプレッサーを内蔵のモーターで動かす冷凍機用としては
好都合になります。(絶縁性が低いオイルは使えません)
懸念されるのは一部のロータリー型のコンプレッサーではPOEによって、
耐久性に信頼を確保することが難しいと言われていたのです。
まあ最新のハイブリッドエンジンのエアコンコンプレッサーに使用されているのは
別のタイプのスクロールタイプとなりますので問題がないのかもしれません。
基本的には「コンプレッサーオイルの補充」的な意味合いが強いと思われます。
それにしてはちょっと割高の製品と言えそうです。(作業代ですね。)
 
こういった理由から
添加剤として入れる場合は最新製品の「GRP−TO」 をご使用ください。
絶縁性として「GRP−TO」は 10メガオーム以上の数値※となりますので
最新の2メガオーム以上の数値が必要になる
モーター内蔵コンプレッサーでも
十分な絶縁オイルとなります。
10の6乗(10^6) オームのことを1 メグオーム (MΩ、megohm) と呼ぶ慣習がある
まあ、抜けたガスを僅かに補充する意味合いもあり、 一般的なコンプレッサーオイル添加剤は
無難な選択ですが、うたわれているような効果が期待できるかは
かなり疑問が残ってしまいます。
 
注意
コンプレッサーオイルの入れすぎは、リキッドタンクの濾過による抵抗を増大させたり
劣化してスラッジになったオイルや増粘したオイルによる冷媒の循環抵抗となってしまうこと が懸念されます。

回転数を上げたときにコンプレッサーが停止し、効きが悪くなったような症 状の場合(症状の2段目)は
まず、圧力を測定し、こういう添加剤を入れるかどうか判断してください。
低圧が低すぎる場合、高圧・低圧とも基準値の場合などありますが
どちらにせよ、配管の中の冷媒が流れにくくなっている事が原因で起こることが多いと思 えます。

GRP−TOなどの添加の際も、
当方では必ず
高圧・低圧とも測定しています。
特に低圧が異常に高い場合や使用年数・走行距離が多い場合は
いくら良い添加剤であっても
補充しすぎると逆に更に高圧・低圧ともに上がってしまう場合も起き ます。
つまり、
冷媒の循環抵抗を先に改善する事が先決で、
リキッドタンク(濾過器)の交換が添加剤使用よりも一番効果が出るケースも多々あります。
そしてリキッドタンク交換後にコンプレッサー保護や不足分のオイル充填として
GRP−TOなどの効果のある添加剤を入れるほうが相乗効果が出ます。

既に発生している故障の徴候を改善するのでしたら
ガスを入れたり、添加剤を入れるのをオーダーする前に、専門的な知識のある方に詳しく 症状を話すなど
まず先に相談するようにしてください。
エアコンが効かないときに、素人判断で、「ガスが入っていないから」と勝手に言って作 業依頼しますと、
原因が違うため直らず、逆に無駄な出費になってしまったりします。
また、初期症状で早く対応すれば出費が少なくて済んだと思われた修理が
オイルや添加剤を入れたり、冷媒ガスを多めに入れたりしたことで
閉塞系等系統の故障を助長させかねませんので、
むやみに添加するのはかえって危険だからです。

こういう症状で効きを改善するのでしたら、もちろんガス量は真っ先に見る必要があり ますが、
通常ならリキッドタンク(濾過器)交換、かエキスパンションバルブ(霧吹き器)の交換 で済む修理と思われます。
規定量以上のガスの入れすぎでも良く起こります。(参 照はこちら

逆に、入れ過ぎや清浄性の向上などで閉塞しますと
効果とは逆に潤滑不良になって、コンプレッサー交換、エバ、コンデンサー、配管漏れ、 シール類交換と
ほとんど全体に及んでしまうことがあるからです。


上記オイルだけでは、期待できないわけですから
潤滑性の向上のために白い粉状のBN(固体潤滑剤の窒化ほう素 、ボロンナイトライド)や
同じく白色粉状のテフロンを添加している製品もあるようです。
固体潤滑剤はエンジンオイルに添加する場合でさえ注意が必要で、
沈殿性があり、底に溜まったり目詰まりの危険性を心配しますので、
残念ですがエアコンには個人的にはお勧め出来ません。
なお、通常のBNは約5ミクロン前後の粒子状となります。

また、ガス・オイル漏れ予防の製品などは
シールへの膨潤性を考えて作られた商品と思われますが
粒子状の固体成分を含有している場合はこちらも注意が必要と思われます。
 

なお、酸素などに反応して固化するタイプなどの反応性の漏れ止め剤などは、
配管閉塞(目詰まり)の危険性がかなり大きく(=ですから効果があるのでしょうが)、
それで効果が出なかった場合には分解修理されるわけですが、反応が進むことにより
この修理の際に配管内部に固形物が残ってしまう危険性も起こります。
即効的・劇薬的なタイプですから、最悪エアコン自体をオーバーホールしてもかまわない
と言う場合に使用されることをお勧めします。
(直径5−6ミリの配管を閉塞させるなど困ったケースを実際修理していますので・・・)


一番最適な製品は産業界で使用されているコンプレッサーオイル添加剤なのですが
これを販売しているメーカーは一部を除いてほとんどありません。
作業が特殊になるため、機具を一緒に付けなくてはならず、また
ユーザー自身で施工が難しいためもありますが
一般にはコンプレッサーオイルで十分とされてしまい、
あまり、小ロットの販路を拡大させたくなかったのだろうと思われますし、
次世代のHCガスをふまえて、(そちらは鉱物系オイルで大丈夫ですから)
そちらの開発・販売を行なっているのだろうと思えます。

上記の点をふまえて、技術的にも信用できるお店で、購入・作業を依頼されると良いでしょう。
 

「GRP−TO」添 加施工
※PAG(ポリアルキレングリコール)使用の場合はXH901を 添加します。 

なお「GRP−TO」の 添加について電装店に依頼される場合は
上記のように不具合を懸念する技術者から断られる事も考えられますので
「高品質コンプレッサーオイル」と説明してください。
もちろん、品質、安全性に関しては
皆さん聞けばご存じの某有名企業でもコンプレッサーオイル添加剤として
使用されていますのでご安心ください。

「GRP−TO」添 加によってコンプレッサーの回転抵抗が下がり、
摩擦などによる発熱が押さえられますので
結果的に省燃費、冷却能力のアップになるという報告例は
数え切れないどころか、
コンプレッサーの故障を減らすといった意味でも
産業界では有名ですので当方でも安心して皆さんにお使いいただいております。

故障していないコンプレッサーでも、
僅かに音が鳴り出しているコンプレッサーでも、
応急的に「GRP−TO」の 添加で随分と音が小さくなる事例がほとんどです。
 
「GRP−TO」は 速効的な面と遅効的な面があります。
実際に来店された時点でかなり大きな音が出ている場合でも
添加した直後から多少音が小さくなる場合と、
当日に改善されずとも翌日以降から次第に音量が下がって来るケースがあるのですが
これは音の発生する箇所の状況で変わるからです。
反応する金属表面の汚れも影響する場合があります。

私の16万キロ走行したローレルのコンプレッサー(オイル漏れ)に入れた時は
当初からはまだNEW−GRPで15年ほど前に添加していたわけですが、
今まで随分オイルシールも保護してくれていたようです。
(今回追加で故障時に追加分はGRP−TOが無くPLUTO808です。)
故障時(=オイル漏れによる潤滑不良)
はエアコン始動時に急にカタカタ音がしたので分かりやすい状態でした。

GRPを添加して当日と翌日はほぼ全く効果が無いかのようで同じようにカタカタ音がして
エンジンの回転数と共に大きくなりました。
エアコン自体は効いておりましたので加速時に多少大きい音が出ますので
テストを兼ねて
それさえ我慢できれば、完全に止まるまでどれくらい時間が掛かるか
みてみようとほとんど、今回はどちらにせよ交換しか対処策がないので
改善は諦めたのですが、
添加後の翌々日になってから急激にカタカタ音が無くなり
アイドリング状態ではエアコンを入れていても室内ではコンプレッサーの異音が聞き取れなくなりました。
室外へ出てもカタカタ音は消えて、鈍い雑音へ変わっていました。
まあ、このケースではしばらく持たすというだけの延命でしかありませんが
それでも打音が消えると驚きます。

コンプレッサーオイル(この場合はPLUTO)が漏れ出れば
また打音が出だすでしょう。
どこまで持つかテストしてみたかったのですが、老朽化で「16年間お疲れ様」として、
次の車への乗り換えを決意しました。
それでも漏れが少ないためか廃車まで約30日位の間、GRPも完全には漏れておらず
廃車時に打音もせず、エアコンも快調に効いていたと記憶しております。

ユーザー持ち込みのディファレンシャルケースのベアリングからの異音の発生の場合も
添加後約100km走行から急激に改善されました。
もちろん音は完全に消えたわけではありませんが、
車輪側のハブベアリングではないという事が分かり、
修理の目安が立ち、デフケース内の3つのベアリング交換だけですみました。

また、負荷が減りますので
コンプレッサーの回転も滑らかになり、
摩擦熱が下げられ、冷媒の温度も下がるわけですので
エアコンの効きが改善されるケースが多く見られます。
当然、ローレルの時のようにオイルシールにも劣化低減効果はあったでしょう。

ハイブリッド車ではモーターでコンプレッサーを回す訳ですから
コンプレッサー音の静かさがはっきり分かるそうです。
また電気使用量が下がりますのでさらなる燃費の向上も見られました。

ただ、GRPは延命効果はありますが、故障を直す添加剤ではありません。
いつか訪れる故障を完全に回避出来るものでもありません。
施工後の偶然・寿命的な故障に関しましては
保証いたしかねますのでご了承下さい。

なお、既に不具合がある、あるいは
故障しているという事が分かっている場合は
処置の方法が変わる事がしばしばありますので
ご来店の際も、お問い合わせの際も
その状況を出来るだけ詳しくお伝えくださいますようお願いいたします。

ご来店施工も行なっていますが、国産乗用車(軽を含む)R12、R134a、
HC12a用となり、予約制になります。
メールかお電話でお問い合わせください。
(10%税込み、ガス134a200g1本サービス+GRP-TO約 20mlを入れて5200円)
こちらの ページに、エアコン関係の施工などの価格表があります。



 ↑ 最新のタイプは添加剤のみ添加できる注入器使用。
当方でも販売しております。
ガスの不足は添加後にマニホールドゲージにて調整。

添加剤を入れるツールは銀色の太い筒状のもの(2本)と青銀色(1本)のものです。
コンプレッサーオイル補充用のものを使用しています。
オイル入れ口のキャップを外して、エアを噛まないように「GRP−TO」を 充填すると
大体20mlから30ml入ります。
冷媒と一緒に圧入できますのでマニホールドゲージを持っていれば簡単です。
このオイル充填用ツール自体は4000円前後で買えます。
(圧入タイプは10000〜40000円)
ネジの形状によってアダプターが必要な場合もあります。

※なお外国車は保証できませんので添加整備しておりませんが、
GRPの添加作業でエアコンなどが壊れても構わない、と、までおっしゃっていただける方には
添加作業をさせていただいております。

※外国車はエアコンでの通常の故障が起きやすいので、GRPの責任にされると困るからです。
  もちろん国産車でも偶然に故障と重なる場合が起きる可能性は否めませんので
  施工後に不具合があった場合はご相談下さい。
  
ただし一般的な冷媒のチャックでない場合は、
専用の特殊なアダプターを持っていませんので
添加作業が出来ません。
前もってディーラーや購入店にて国産と同じチャックかご確認をお願いいたします。
また、どうしても添加作業できない場合や
作業内容で、部品の取り外しなどの作業が必要になる場合は
多少値段が高くなったりする場合も起こってきますので
是非ともご了承ください。


参考文献「トライボロジスト」Vol.46/No.10/2001.p798−804    
エ アコンのガス(冷媒)について
症 状から見るエアコンの故障箇所診断


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