例えば、5w−30というオイルに、10w−40の粘度のオイルを入れると、
入れる割合によって、自分の自動車にぴったり合う粘度が出来るように、
添加剤を入れる時も粘度が変化します。
実際の現場では、同じ成分を使用している同一銘柄オイルを使うのですが、
異なる粘度のオイルを混ぜることによって、低温時と高温時のオイルの膜圧と抵抗を
うまい具合にエンジンの特性に合わせることもできます。
大体の場合100%化学合成油で可能なのですが、
入っている添加剤の種類があまりにも異なるとよくないので、注意も必要です。
分からない場合は混ぜても良いかメーカーに問い合わせると良いのですが、
後で入れる添加剤自体にはいろんな成分が入ってますので、そのことを考えれば
余程のことがない限り、まず大丈夫でしょう。
まず、ポリマー系などの添加剤ですが、基本的には粘度が高いので密閉性は良くなり コンプレッションの上昇が起こると言えます。高温では油膜が切れにくく、 ピストンのクリアランスを正常に保つのですが、その代わり低温時は多少エンジンの重い場合 が想像出来ます。
下記にプラス91(テフロン系)の資料を載せます。
エンジンオイル4リッターに対し一缶(325cc)添加したときの性状変化です。
自動車用オイル | バイク用オイル | |||
15w-40 | プラス91(325cc添加) | 15w-40 | プラス91(325cc添加) | |
比重(15度C) | 0.880 | 0.881 | 0.881 | 0.882 |
引火点(度C) | 236 | 236 | 218 | 218 |
粘度(度C)「−15度C」 | 3100 | 3100 | 3050 | 3050 |
粘度(度C)「40度C」 | 106 | 117 | 140 | 151 |
粘度(度C)「100度C」 | 14.3 | 15.3 | 18.5 | 19.6 |
粘度指数 | 138 | 135 | 148 | 148 |
全酸基(kgKOHg) | 2.1 | 2.0 | 2.0 | 1.99 |
極圧性(kg/720rpm) | 4.0 | 4.5 | 4.5 | 5.0 |
また、バイク用と自動車用でSAE規格では15w-40なのに粘度は異なっていると言うことも見逃せません。 これは、各メーカにも言えることで、同じ数値でも40度Cの時と100度Cの時ではオイルの堅さが違う 場合が多くあります。現在ではほとんどのメーカーは同一のオイルでバイクも自動車も兼用していますが、 本来、異なった性状があって良いはずです。バイクファンにとって悲しいことです。
なお上記のオイルで15w-40の資料を使用している理由は多分5w-40を使用した場合に比べて変化が少ない 事を出したいのではないでしょうか。普段が5w-40を使用している車にプラス91を 入れた場合はエンジンも重くなって走りは期待できません(個人的見解)。 また、コンプレッションが下がったクリアランスの広い過走行車などでは、オイルの粘度が上がった事による 重さより、コンプレッションアップによる馬力アップの体感の方を強く感じることもあるでしょう。
このようなタイプの添加剤は普段使っているオイルよりもかなりどろっとした添加剤に よく見られる事になります。例えば、”非ニュートン弾性粘度”などと言われるタイプの添加剤や 「特殊ポリマー」が多く入っているタイプなどです。粘度による抵抗よりもコンプレッションが上がった方がいい 走りになる自動車には結果として「いい」添加剤の評価が生まれます。
しかし、ポリマーが抵抗になりすぎて、(特に大排気量の自動車用を対象に作られた添加剤の場合)
その粘度に見合った自動車でないと重いだけで、かえってフィーリングの悪くなる場合も生まれてきます。
そういった場合、今までと比べて、
滑らかになって、音質も静かになるようですが、エンジンがふけの悪い感じになったり、重く感じたりするので
パワーのアップを感じにくく、燃費にも悪い影響が出る場合 も 起こります。
今までのオイルの粘度を少し堅めのものに替えた時にも同じような結果が出る場合があるようです。 裏を返せば粘度の柔らかめのオイルに交換してやることでいい感じになるのですが、これは走り方にも よりますので、エンジンにダメージの少ないオイルを選ぶ必要が出てきます。
例えばライトスポーツ車に0w−30の粘度を選ぶとすれば、その粘度のオイルには有機モリブデンなどの 摩耗調整剤が入っている100%合成油を選ぶか、いわゆる「添加剤」を入れてやった方がいいでしょう。 150度Cぐらいまで油温が上がった場合のリスクマージンとして「いいベースオイル」+「いい添加剤」は 不可欠です。
ということから、ポリマーなどでオイル上がりやコンプレッションを上げるタイプの添加剤はどちらかというと 排気量が大きいタイプの自動車には効果があると言えそうです。
次に、粘度を変化させないように5wから10wぐらいにしている添加剤の場合なのですが、こちらは
現在使っているオイルに入れてもほとんど粘度変化がないので、使いやすいでしょう。
しかし反面、コーティング膜が出来ない場合、成分自体の潤滑性能だけによってエンジンの調子が分かりますので
いい添加剤でないと結果が出ません。大抵は、表面処理をする・特殊なオイル膜やコーティング膜のようなものを
形成するといった内容になります。固体潤滑剤・(液体の)有機金属などを使用している場合もあります。