エンジンオイルの基礎のところでも説明してますが
”ホットチューブテスト””パネルコーキングテスト” はオイルが高温で炭化してスラッジ化しラインを詰めたりするため、
オイル性能のテストとして行っています。高温の金属をオイルで 冷却しているのですから
、−−油温上昇−−スラッジ堆積=冷却能力劣化=オイル性能劣化−−さらに油温上昇−−−
ラインをふさぐor油膜切れ−−−エンジンなどを破損、となるのです。
実際にオイルが通常より10度C上昇するとオイルの寿命は 半減します。
(粘度は大体4倍ほど柔らかくなります。)
温度上昇によって油膜も薄くなり、そのまま使えば金属の摩耗も増えてゆくのですが、
普通は、そうならないようにオイル交換というかたちで、劣化した成分を取り除いたり、
同様にして清浄成分を入れ替えたりして います。
エンジンでは仕事量として使われない高温の熱が効率的にリサイクルされていません。
直接オイルを劣化させる場合も金属を伝わって劣化させる場合もありますが、
中間的にはオイルの”熱量”は冷却水に渡され最終の大気へと放出されるという回路を持ってます。
この受け渡しがスムーズに行われれば、エンジンそのものは特定の範囲内で作動条件を良くしてあるので、
中間の受け渡しが良ければ、 かなりエンジンにとっても良いコンディションとなるわけです。
とりあえず、冷却の代表的役割を担う冷却水の循環するあたりを、中心に、知っている限りでまとめてみました。
皆さんのまわりでも、体験した事などを教えていただけたら・・・と思います。(実際の具体例+処置など)
ラジエターに関するトラブル
ラジエターのコアの詰まり配管周りのトラブルH5式アルト5速走行4.8万km。
症状: クーラント交換時、エア抜きが完了した後も、エンジンが暖まってから気泡がでる。 走行後ラジエターキャップを開けると、オーバーヒート気味に吹き返しがおこるが、水温計の針は上がらないし、エンジンの調子も際だって悪くない。状態と対処: クーラント交換のための点検。 とりあえず、ラジエターキャップの圧力を計り、0.5kg/cm3だったので 交換。サーモスタットも確認して見たが黒いスス状の酸化デポジットらしきものが付着していた。 水で溶け、指でこするとよく落ちる。異常ないと思われたが、規定の湯温で開くかどうかテストが 面倒なのと、5年目なので交換。 リザーブタンクを掃除するとラジエターから酸化物の白い粉らしきものが出てきた。よく見るとラジエターキャップの取り付け部に付着している。クーラントも交換して、エア抜きを「ラジタン(専用エア抜きタンク)」でするが、ちょろちょろ 泡が出る。「まさか」とは思ったが、エンジンを回すと泡が出るが、それにしても少ない。
以前、カローラ2でも似た症状があったので、「原因不明のピンホールか」と心配した。しかし、一度もオーバーヒートしたなどと言う話しをユーザーから聞いてないので、 知人のメカさんに相談。ひょっとするとラジエターのつまりではないかと意見が合うが、2年前もクーラント交換しているのでまさかと疑いたくなる。けれど、万一のエンジンのOHは高く付くし、そう決まったわけでもないので、 ストックしてあった中古のラジエターに交換。 ぴたっと泡は出なくなった。 ちなみに水道水で水圧をかけ、悪いと思われる方のラジエターの水の流れも見てみるのだが 違いはわからず。多分コアがどこか詰まっているのだが軽微な詰まりで、ヒート症状に ならないのだと思われる。
結果: (連絡が取れず)後ほどユーザーさんに訳を話しいきさつを話すとどこかのスタンドで、クーラントが減っていると継ぎ足したと言っていた。 異なるメーカーのクーラントを足せば、反応が起きることもあり、ラジエターをめずまりさせることも あるが、これがその結果だと決めつけるわけにはゆかない。 ともかく、気泡が出なくなったのでラジエターの目図まりによる冷却不足のために、気泡が出たのだと思われる。
ラジエターキャップの取り付け口のゆがみによる水漏れ以下は山本さんから頂いた体験談です。(99−01−12)
以前、日産のサファリに乗っていたときのことです。VR-161 、SD-33ディーゼルター ボ車でしたが、これを危うくオーバーヒートさせかけたことがありました。当時既に 初度登録から8年落ち、9万kmを走っていたこの車両で夏の盛りに広島から京都まで 走ったときのことです。高速道路を走行中は水温計は平常の値を指しておりました が(登坂時には多少指針があがりましたが)、インターを降りて一般道を走りだした ところいきなり危険域直前まで指針があがりました。取り敢えず宿の駐車場に入れて ラジエターのリザーブタンクを確認したところ、ほぼハイレベルまでLLCが入ってお り、頭をひねってしまいました。帰路でも同じ様な現象が起き、ふと思い立ってラジ エターのキャップを開けたところ案の定、水面が見えない状態でした。ペットボトル で汲んだ水道水を入れたところクーラント容量の半分近くが入りましたから、相当危 険な状態だったようです。それでもエンジンに不調が見られなかったというのはこの エンジンの丈夫なところだと感心することしきり。特に高速道路で法廷速度を3割ほ ど超える速度で走ったときに水温が通常値で安定していたのは、すかすかのエンジン ルーム故半分空冷状態であったのかと推測しています。 その後ラジエターキャップを早々に交換して一件落着にしたかったのですが、そうは いきませんでした。一ヶ月もするとまた同じ現象が発生し、やはりラジエター内の水 量が減ってしまいます。キャップの締め方が悪いのかとも思い、何度か開け閉めして いる内に気が付いたのが、ラジエター側のキャップの閉め口。何となく、いびつにな っていました。横から定規を当てて見てみますと明らかに歪んでいます。これが原因 かと納得して、ハンマーで修正。完全にフラットにはなりませんでしたが、それから 後は同じ現象が発生しなくなりましたから問題はここにあったようです。不可解なの は、何故そんなところが変形したのか。自分で水量を確認するときはリザーブしか見 ないと言う手抜きでしたし、未だに原因は不明です。 当該車両はその後友人に譲り、昨年末までに13万kmを走破しましたが、オイル消費量 が極端に増え、またその友人が転勤で車が無くても何とかなる環境に移ったことで廃 車となりました。
ドレーンコックのOリングからの水漏れご自分でクーラントを交換される場合、ラジエターのドレーンから普通はLLCを抜きます。
ドレーンコックにはゴム製「Oリング」がはめ込まれています。
このOリングは、ずっと締め付けられていますので古くなってきますとドレーン部と密閉性が悪くなり、
ほとんどわからないくらいの水漏れが発生することがあります。
そのままにしておきますとじわじわと冷却水が無くなりますので、出来ればクーラント交換の際は
このOリングは交換しておいた方が無難と言えます。
整備経験上、10台−20台に1台くらいの割におきていますので、ゴムのストックをしているくらい頻繁に起こるといえます。
値段は1個大体100−150円ぐらいのもので、メーカー系部品商なら大抵はストックがあります。本来なら、ヒーターホースを外し、水道からゴムホースで勢いよくLLCを循環させた方が効率も良く、ヒーター部の洗浄も
出来ますし、ラジエターのドレーンコックを外さないで、ロアホースを外した方がいい場合もある訳なのですが、
これは各自動車によって難易度が異なりますので、ケースバイケースに対応された方がいいでしょう。こういったゴム製のOリング状のガスケットで、漏れを止めている箇所は他にもあり、経年劣化する場合が多くありますので
冷却水の漏れのチェックは時々した方がいいと思われます。
特に整備のため外した配管部などの「漏れチェック」は確実にしませんと、何のための整備かわからなくなってきます。
ラジエターの上部タンクのひび割れ最近のラジエターは一部「樹脂製」になっています。
端についている部分がそうなのですがタンクになっており、上下にあるタイプはアッパータンク、ロアタンクと言います。
材質は「ナイロン66+ガラス繊維」で、通常は「PA(ポリアミド)66・GF(グラスファイバー)30(%含有)」などと記載されています。
エンジニアリングプラスチックは大抵がそうなのですが
いわゆる接着剤ではかなりくっつきにくい素材ですから、よほどうまく付けませんと
漏れは治りません。熱と圧力がかかりますし、水分も多いところですからあきらめて交換されるのが得策です。
補修されるときの注意点で、
樹脂にケイ素やグラスファイバーなどのウィスカーを入れ込んだ構造ですから
補修される場合は、柔軟性とそのような構造になるように補強繊維などをサンドイッチする方法が良いでしょう。
通常そのままでは数日で漏れが発生するケースがほとんどで、割れがさらに広がる可能性もあります。もちろん下地処理は脱脂などと接着剤はナイロンにも適した製品が良いと思えます。
市販の製品ではセメダインのスーパーXなど耐熱性120度ぐらいのものが必要です。
割れの状態にもよりますが
硬化するとかなり固くなるタイプのエポキシ樹脂などは付かないはずですし、
シリコーン系のコーキング剤もほぼ無理と思えます。接着面の接着度が悪い場合は、数日で剥がれてしまう可能性が高いですから
最初が大切で、特に気を付け、出来れば樹脂の割れ面にきちんと接着剤を入れ、そ
の後バイスグリップなどで圧着させた状態で
作業した方が良いでしょう。出来ればタンク内を多少負圧にした状態での作業がベターです。
もちろん、水分があるといけませんので、クーラントは抜いて漏れ面以下にしておく必要があります。
年式が古くなったり、走行距離が伸びてきますと、金属部分の腐食よりも先に、樹脂製のタンク部が裂けて水漏れが
起こることがよくあります。
これは、冷却水の熱と圧力で、絶えず膨張−収縮を繰り返すためと思われます。
普通、外力が強くかかる部分があり、その部分が弾性変形をしても樹脂ですから元に戻ります。
こういったことが繰り返されると、その部分がもろくなり、(針金などを繰り返して曲げると切れてしまうように)
補強材のグラスファイバーも切断されてひびが入って、冷却水が漏れだします。線状に亀裂が入るため、水温が上昇し、圧力がかかりませんと、亀裂が発見しにくい場合がありますし、
リザーバタンクにつながるホースに隠れている場合もあり、
発見が遅れることも多い箇所です。4−6年ぐらいでも「特定の車種のラジエター」に特に多く見られる現象です。
特定の車種で多いと言うことから、メーカーの形状・強度対策に期待したいのですが、
10年以上経ちますと、その他の車種でも見受けられるようになります。
樹脂の劣化でもろくなるのは残念ながら仕方ないのかも知れません。修理は出来ます。
樹脂タンクとゴム製のOリングが新品に交換され、漏れのテストを受け修了です。
大体費用はラジエター修理費が10000−20000円程度とクーラント代に
ラジエター脱着作業量などが加わります。
割れやすいタイプのラジエターの場合は新品の半額くらいで修理できそうで、
最近は修理も多くなってきています。この症状で問題なのは、エンジンが完全にオーバーヒートしてしまうことは少ないので、
漏れを気づかず、ひび割れの発見が遅れることでしょう。
(ひび割れのまま、毎日注水し、約1年間乗られた方もいらっしゃいました。)また、ラジエターキャップを新品に交換した場合、圧力が規定値かかってしまうため、弱っていた箇所に
圧力がかかり、漏れの原因となることも起こりますので、
その際にも注意が必要です。当然サーモスタットなどの故障で異常圧力が冷却水にかかり
亀裂が出来る場合もあります。ラジエター部は壊れてからの修理が普通ですから、
特に高速走行・長距離、長時間走行を予定される数日前に、ラジエターの樹脂部分も
点検項目に入れておかれると良いかも知れません。
配管のホースジョイント部の漏れラジエタークーラントによるトラブルホース周りの配管などからの漏れでは主に下記が多かったように思えます。
○ホース自体のゴムの劣化による亀裂によるもの
○配管とホースの接着面の(ゴムの膨張などによる)隙間からの漏れ
○ネジのゆるみやホースクリップの割れなどよる密着性不良による漏れ
○配管金属の亀裂(錆によるものや振動によるもの)
○樹脂製配管の場合は経年劣化による割れそれぞれの事例はHP上に記載しておりますが、
自動車も年数が経ち、古くなってきますと樹金属や脂周りの割れ、削れによるトラブルが多くなってきます。
エンジン周りのトラブルでもそうですが、10年以上経った車の樹脂は結構「もろく」なっています。
ウオッシャーの配管周りをゆすって樹脂が割れたり、
ワイヤーで開け閉めするパワーウインドが動かなくなったり、ウインドガラスがドアの間へ急に落ちたりするのも
ほとんどは樹脂の劣化だと思われます。
同じパーツであっても、経年劣化しやすい樹脂と劣化しにくい樹脂の違いはまだ調べておりませんが
製造コストの問題がかなり大きなウエイトを占めているに違いないでしょう。
上記はH5年式走行約11万kmのミラのヒーターホースへ向かうジョイント部。
外部負荷のかかりそうな箇所が金属製へ改善されており、この(一番左の上段の樹脂)部分が割れてヒーターホースが
外れたような状況になっていました。他の箇所も交換し外そうとしたらサクッと同じ状態に割れてしまいこちらも交換。
パーツで調べたら、もう一つ樹脂性のバイパスホースのジョイント部があったのでこれ(真ん中)も交換。
こちらも外すときに一部割れてしまいました。
これらを外して、脆さを調べてみたらほとんどどれも手の力でつぶれるほどサクサクに劣化してしまっていました。もう一つ上記以外に下段真ん中のパーツに見えるようなゴムのキャップが割れて漏れていたの箇所が発見できましたので
それも交換しました。費用を出来るだけ掛けないでの修理ですのでホース類は交換せずそのまま使いましたが
こちらはまだ持ちそうと思われました。
またバキュームホース類もジョイント部でヒビが盛大に出ていたのでそれぞれカットしたら、アイドリングが安定しましたが
オーバーヒートして2回もエンストしたエンジンなので相当弱ってしまっており、
添加剤のホスパワーを添加して50km程度テスト走行を行いました。
ずいぶん音もましになりました。なお、排気温センサーはランプが常時点灯しており、どうも故障した模様ですが
ガスケットが飛んでいなくて何よりです。
サーモスタットも開いている可能性大で、寒くなってから、上記と一緒に交換するかをユーザーと相談となりそうです。
クーラント交換時期による例証通常はクーラントの不凍液濃度で交換時期を決めている運送メーカーでの話です。
経費節減のためにクーラントの交換時を
同じ型式の保有車両の半分で1年程度遅らせて(=3年ごとの交換)
冷却系での不具合がないかを調べた結果、
こういった車両のように高温で高回転を使用するエンジンの過酷な条件の下では
交換時期を2年以上に延ばすと錆の発生が顕著に見られるようになりました。
ラジエター自体に穴が開く車両も一部で見つかっています。
毎回交換した車両は全くそういった症状が出ませんでした。
ただし、これは10年近く経って比較しての結果です。当方のユーザーの使用例でも、時々感じるのですが
不凍液としての効果は問題ない事が分かっていますが
(というかそんなに寒くなる事が無いので冷却水が凍るという経験がない)
「さび止め効果」という点では、かなり違うようです。
高速走行もあまりなく、年に5000km程度で2車検毎の交換時期では
10年近く経っていても上記のような例はまだ起こった事はありませんが、
エンジンを高温、高回転で使用されるユーザーの車両では
タイミングベルトなどの交換時期に各部の錆を多く発見しますし、
ウオーターポンプなどのクーラントにじみも顕著に見られ、
やはりエンジンオイル同様に温度に関係する劣化は見逃せません。これらの事は基本的にはさび止め剤の性能による事なのかもしれませんが
クーラントの交換時期を延ばそうと考えているユーザーの方は
この点の注意は必要となりそうです。
または、メールアドレスmacchann@mbox.kyoto-inet.or.jpへどうぞ。