添加剤は本当に必要か?

@必要な人と必要でない人
A添加剤を薦めるとしたら・・その理由
B環境問題と経済性

@必要な人と必要でない人

添加剤がオイルに最初から入れられている理由は、
エンジンの各パーツの正常な機能を維持するためにであり、添加剤の入っていないベースオイルだけでは
オイルが短期間の使用期間しか持たず、
摺動部が異常摩擦を起こして焼き付いてしまったり、管路が閉塞するなど、
エンジン寿命つまり自動車の寿命が短くなるからといえます。
ですから、必要最小限でコスト的にも安価な添加剤は、どんなに安いオイルにも最初から入れられているわけです。
またオイルはオールシーズン使用されることもあり、昔のように「夏用」「冬用」が指定されなくなった理由も
添加剤のお陰によるところが大きいと言えます。

一般的なオイルに最初から配合されている添加剤は、ほとんどの場合、
それ自体がベースオイルよりも早く機能劣化します。その為、
半年から1年ぐらいの期間、または3000kmから15000kmの距離(車種などにより異なります)を使用したら、
早く訪れた方で交換するように推奨されています。
途中で自動車の具合が悪くなりますとユーザー側にとっても困ったことですから、
自動車製造メーカーも製品に対する保証の範囲を決めて、ユーザーにオイルなどの管理を任せる事になります。
一方、メーカーもエンジンなどの高性能化によって、ベースオイルも添加剤の質も、向上させないと、
この保証の問題をクリアー出来ませんので、オイルの規格を作り対応する形を取っています。
(オイルの規格は自動車メーカーも関わっており、所定の基準で検査されます。古い規格のオイルを使用した場合、
自動車の性能劣化・環境問題などに影響が出る場合が考えられますと、
新しい基準を設けてその問題になる点をクリアー出来るように、オイルメーカーに要請する方法が取られてきている
経緯のようでした。その為グレードの規格によって、用期間・使用距離が定められています。)
もちろん、エンジンの各パーツの高性能化・長寿命化を同時に研究しているわけですから、
良いオイルを使用することになれば、保証の範囲も大きく延びてきます。
ちなみにAPI規格申請料など、オイルグレードをSJとするのに必要な経費は約1000万円ほどと聞いております。
高いのですね。

稀に、それでも壊れてしまうことがあります。
製品の欠陥やばらつきなどに代表される事柄ですが、これはリコールなどと言うことにもなり、例外とします。
(リコールに至らない不具合は、自動車メーカーの「対策」という形で無償交換されています。)
基本的な性能レベルでは、その保証範囲内ではいわゆる指定されたオイルで十分耐久性はありますので
ことさらオイルに加えて後から添加剤を加えてまでしなくとも大丈夫と思われます。

ただ、オイルの性能によって、エンジンの性能劣化は影響されますので、出来る限り性能がよいオイルを使う方が
良いに越したことはありません。
自動車を使用すればするだけ、エンジンなど性能劣化が進んでゆくことは間違いありませんので、
出来るだけ良質なオイルと添加剤が求められる由縁です。

ここで、2通りの考えが出てきます。
使用期間・距離の間、基本的な性能が維持されればそれで良いと言う考え方と、
自動車の性能劣化を出来るだけ少なく維持したいという考え方になります。

前者の考えを持つユーザーさんの場合は、指定通りオイル交換をされていれば、メーカーが持つエンジン耐久性に
近い走行期間は、問題なく乗れますので、後から加える添加剤は必要ない事になるでしょう。
部品の耐久性が修理の目安となりますが、おおむねこちらが一般的です。
走行距離が少ないのならなおさらで、エンジン自体が異常を起こすことは滅多に考えられません。
実際、走行距離を多く走る方でも、2000ccクラスのエンジンでしたなら、普通より多少早めにオイル交換
されていれば20万キロ程度はまず走れると言うことになります。
コスト的に考えれば、オイルに後から加える添加剤を入れても添加剤分だけ出費がかかるような添加剤でしたら
このような考えをされる方には意味がないことのように思われます。

もう一つの考え方は自動車の性能劣化に対して気になる方々と言うことが出来ます。
元々、オイル添加剤はコストとの兼ね合いで添加されていますので、
エンジンオイル用、コンプレッサー用、切削機械用、ベアリング用etc.などと言うように用途が分かれ、
ベースオイルも違いますが、日々研究されております。
特殊な用途(例えばレース)に用いられる場合などは、エンジン性能向上によるオイルや添加剤の品質・性能向上と同じように、
潤滑油のベースオイル選択や添加剤選択、場合によっては1からの見直しが求められるわけで、
コストパフォーマンス性よりも機器の保守の方が大切な場合も見られます。
もちろん潤滑剤に依るのではない構造面や材質の見直しも考えられています。

ですが、自動車のレベルでは、消費財として見られる傾向が強く、製品価格へも影響するため
どちらかというと期間限定的な設計要素を感じるパーツの存在が強く感じられます。
ですから、エンジンチューンなどというような言葉も見られるように、
その自動車を改良することの余裕もありますし、次々と新設計のエンジンを搭載した自動車が販売される事にもなるわけです。
ここに後からオイルに継ぎ足す添加剤の入り込む余地があると言うことにもなります。
次々新車を買い換えられる方にとっては不要かも知れませんね。

本当に優れた添加剤の開発コンセプトはそう言ったチューンと言うよりも、機器の保守性にあるわけですが、
副次的な効果として出力アップや省燃費が見られることが出てくることが多く、
チューニング剤として使用されることにもなります。
(保守性のない添加剤が良いか悪いかはここでは問題としないこととします。)

自動車はエンジンなどの潤滑面だけでその性能を問うことは出来ませんが、動力となるエンジンの占める割合は
非常に大きいわけですから、動力性能劣化を最小限に押さえられる添加剤の使用は、副次的な要素が加わることによって
ユーザーにとって興味の対象となる事になります。
自動車自体そうそう買い換えも出来ない商品と思われますので、
出来るだけ満足のいく性能を確保するメンテナンスの一環として取り入れられることになりやすいわけで、
場合によっては、パーツの見直しをするいわゆるチューニングもしばしば見受けられるわけです。
(整備交換部品などもその1つとして考えていいと思います。)

自動車の性能は劣化することを基本に考えれば、
その自動車を大切にしたいと言う考えをお持ちの方にとっては、
エンジンオイル添加剤はメンテナンスの一部と考えられることが一般的と思われるのですが、
私のように、添加剤の性能の評価を趣味とする人(笑)にとっては、
最高の添加剤を求めたいという気持ちが常に頭にあるわけで、チューンの方はどちらかと言いますと興味薄になってしまいます。
もちろん、必要最小限の他の箇所のメンテナンスが先にあると言うことは言うまでもありませんから、
添加剤使用はあくまでも十全な整備と同時になされる必要性を感じています。
添加剤が修復材として使用される可能性があるとしても、
本来は不具合をそのままにしておかないと言う考えが必要と思われます。

と言ったことを考えるか考えないかは別として、
ほとんどのユーザーさんにとって20万キロ以上の走行は余り考えられませんし、
添加剤を必要とする人の気持ちとしては、出来れば副次的な効果を期待する気持ちが強いのではないでしょうか。
経済的な側面を強調するなら、高価な添加剤使用は限られた自動車で本当のメリットがあり、
他の方々にとっては、経済的な問題とは切り離される、いわゆる満足感の世界の事柄と言っていいのかも知れません。

A添加剤を薦めるとしたら・・その理由

経済活動は物の消費によって活性化されるのが大筋の流れですが、
大切な物はいつまでも無くならず残しておきたいという気持ちは誰でもが持つ感情とも思われます。
経済的なメリットだけで考えれば、高価な要求性能以上の添加剤を使用する理由は無いのかも知れませんが、
上記の感情に加えて、どうも質感(デザイン、静粛性、乗り心地、加速感、etc・・・)を気にされることで
自動車が良くなっていったという経緯と、
環境(公害)の問題点からエンジンが改良されていったことも考える必要が出てきそうです。

自動車所有に関わる費用は、自動車購入に加えて、任意保険やガレージ代を初めとして、
燃料費、メンテナンス費用、車検費用、と言ったように随分高額な出費となることは皆さん経験済みの事として
頭を悩ませる事にすらなりそうです。
本当はそれに加えて添加剤を購入する費用など無いのかも知れませんが、
どういうわけか、手入れをしたくなると言うのも事実ですし、
買い換えを考える理由が、ある意味で自動車全体の性能劣化であるという「きっかけ」になっていることも
一つの事実として仕事柄感じております。
簡単に考えて出費がかさむ、修理代が非常に高く付く場合、エンジンの調子がいくら良くても、買い換え時期と
される傾向にあります。

ですが、普通に「動かす」と言う意味では、親身になっていただける整備士や販売店の方と相談いただければ
故障の可能性の少ない新しい自動車を購入した方がいいのか、
メンテナンス費用をかけ、もうしばらく乗った方が良いかは教えてくれるはずで、
本当に優れた添加剤もその一つの役割を担っている場合があります。
経費をそれほどかけずに、応急処置として自動車を動かせるようにしてくれる添加剤商品もありますし、
費用のかかるパーツ交換でなく、本当の意味での「修理」をされる整備士さんの存在も知っています。

「あたり」が悪い場合でない自動車は、大体において「水まわり」と「オイル関係」に十分メンテをしていれば、
驚くほど調子がいいものです。
最近の自動車は、乗り換える理由が見あたらないほど故障発生率も少なく、調子良く乗れると言うことは
多くの方々が経験されておられ、
エンジンオイル添加剤をお薦めする理由が、積極的に見つからないほどになってきました。
けれど、オイルや添加剤などによって、エンジンの調子が良くなってきますと、出費に余裕がある場合など
その他のパーツもメンテナンスしてあげたくなるという傾向も見受けられます。
実際、添加剤を使用されている方の方が、自動車のトラブルを事前に察知されるようで、
(自動車に関心があるから添加剤などのメンテに積極的と言う理由もありますが)
そういう方の自動車はいつまでも乗り続けられるほど快調な状態を保っています。

潤滑の構造などがわかってきますと、自動車の部品というものが、多少の摩耗やクリアランス増加にはめっぽう強く
(摩耗することをあらかじめ想定して)作られていると言うことが分かりますので、
故障というものが、確率的に計算されてしまうわけです。
それでも、個体差があり、想定された使用状況以外の要因(エンジンなどの機器の回転数やそれに伴う振動等々)にも
大きく影響されてくる事実があります。
オイル劣化の評価として、「シビアーコンデション」と言う言葉が出てきたのも、
製品の試験条件と実際の使用状況の差が明らかにあるということからですから、全く同じ自動車が製造されても、
使用者によって耐久性が大幅に異なってくると言うことになるわけです。
確率で下限のある平均値を取ってみても、数多くの要素が重なるわけですから、
一筋縄では解決できないアクシデントも時々みられますし、複合的な要素も絡み合ってきますので、
どれ一つとして同じ耐久性を持つ自動車はないとも言えます。

普通、条件の良い使用状況でなら、エンジンオイルは1年間1万キロ程度であれば、
全く問題が発生しないようにエンジンも作られていますので、ある程度は安心と思われます。
ただ、問題は実際にはそういうデータ的な使われ方はされていないことが往々あることなのです。
ある鉱物性超精製油のオイル交換の目安には、「50000km」と書かれていましたが、
どういう条件・使用期間でそれだけの耐久性があるのかは記されていませんでした。
少なくとも、普通のオーナーさんであれば、1万キロ程度までにオイル交換されると思われますし、
過酷な使用条件であれば、3000キロぐらいで交換してしまうかもしれません。

オイルの劣化が実際の使用状況にそれほど左右されると言うことなのか、
表示されているオイル交換の目安が「はったり」なのかは別として、
廃車まで、経済的に最もコストパフォーマンスになるうまいオイルの交換時期があるはずなのです。
具体的に走行状況の基準が示されていない以上(示されていたとしても評価出来るかどうかは別問題)、
誰もそんな表示を信用するとは思えません。故障してしまったら「もともこもない」からです。

けれど高価なオイルや添加剤などを使用し続けても、その代金に見合う価値がないのであれば、それも意味がありません。
このあたりの評価をするには、現在のような性能になった自動車ではあまり適切ではないのかもしれません。
ただ、自動車の耐久性・性能向上・省燃費性が構造や技術などによって進歩したのと同じように、
オイルと共に添加剤もまじめに考えられ、研究されている「パーツ」ですから、
同じように考えてみますと、その必要性のあるなしが出てくるのかも知れません。
 
 
 

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