配管のエネルギー損失

流体が配管内部を流れるとき、流体摩擦によるエネルギーの損失と、
流れの衝突や渦が発生するためのエネルギー損失が起こります。
管内部の壁の凸凹が大きいと、ちょうど川の岸辺の流れが遅く、中央部の流れが速いのと同じような現象が
みられるわけです。
もちろん、配管内を流れる液体や気体の粘性も影響しますし、
配管自体の大きな曲がりによっても流れ全体の速度が変わってきます。

そのようなエネルギー損失を図式しますと下記のようになります。

なお標準1気圧=101.3KPaの時の比重は下記のようになります。
流体 温度(度C) 比重(水の4度C時の密度ρとの比)
海水 15 1.01〜1.05
15 0.999
グリセリン 15 1.264
ベンゾール 15 0.884
原油 15 0.7(or0.8)〜1.0
ガソリン 15 0.66〜0.75(規定値0.783以下)
ディーゼル軽油(軽油) 15 0.82−0.84(0.80−0.88)
灯油(燈油) 15 0.78−0.84
植物性油 15 0.91〜0.97
動物性油 15 0.86〜0.94
エンジンオイル 15 0.86〜0.88
純硫酸 20 1.831

こういった管路で生じるエネルギー損失(圧力降下)はダルシ・ワイズバッハの式で表されます。
f:摩擦損失ヘッド(m)
λ:管摩擦係数(レイノズル数=Re数と管壁の粗さに関係する)
d:管の内径(m)
l:管の長さ(m)
v:流体の平均流速(m/s)
g:重力加速度=9.81(m/s2

と言う式になります。

流れが層流の場合はハーゲン・ポアズイユの式になり
λ=64/Re数にするとよく、

乱流の場合はブラジウスの式
3*103<Re<1*105の範囲では、λ=0.3164/Re1/4
1*105<Re<1*10の範囲では、λ=0.0032+0.221/Re0.237
など、計算で近似値を出せるようになっています。

層流になるのは、真直ぐな管内で起こりやすく、管の軸方向へ流体粒子が移動するのですが、
実際は理想的な層流になることは難しく、管の側面に垂直の分速度を持っている場合がほとんどです。
空気の流れ自体も一様には流れないことが現実です。

摩擦損失ヘッド(m)は損失係数ζにv2/2gを掛けた形で表され、
管路の形状によって下記のような損失係数ζが見積もられることになります。

なお、配管の摩擦などは内部を流れる流体に添加剤(高分子)を加えることで
変化することがわかっています。おおむね流動性を高めるために使用されています。

管の壁近くには特殊な領域があり、乱流による渦が発生していますが、
それが乱されて流体と壁の摩擦が影響を受けています。
ただ、この摩擦力の減少が「乱流境界層の構造変化」によるものでない事が、
図のp3とp4の間の摩擦力が低減していることで確認できます。

工事中
 



<参考資料:「油圧の基礎と応用」高橋徹著、東京電気大学出版>
<参考資料:「流体力学」藤本武助著、養賢堂>
<参考資料:「科学は冒険!」ピエール=ジル・ド・ジェンヌ著、ブルーバックスB1271、講談社>
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