添加剤で小さく出来そうな雑音のつづき

エンジンの潤滑部と内燃機関で起こる現象なので、音に関しては下記の発生の仕方があります。
添加剤でエンジン音が小さくなるには、打音の場合は、エンジンマウント のように、クッション材として働かなければなりません。
ところが、ほとんど打音に対しては、コーティング膜の薄さから、大幅に改善されることは
無理と考えて良いと思われます。ほんのわずかなら、固体潤滑剤や、ポリマー粘度増強剤、
化学反応膜、共晶膜、などで改善が可能でしょうが、 エンジンの他のところで発生する雑音も小さくなるため、
打音特有の音色は 消すことが難しく思われます。

 ただし、ガタが原因で発生する打音の場合、ガタをある程度補修する充填剤としての 効果があるタイプの添加剤の場合、
多少なりとも精度が出るために効果が大きく 出る場合があります。
これは、振動音のする窓ガラスの隙間に、ちょっと厚紙のようなものを詰めるだけで、 振動音が止まる事に似ています。

 結局、止まる可能性が少しでもあり得ると思う場合、使ってみる価値はある ということになってしまうのかも知れません。
ただし、効かなかったといって、添加剤のせいにするのは”酷(こく)”といえる 音源でしょう。
 
 

擦れるときに出る音や、共鳴して出る音について

ある物と別の物が擦れるときには必ず摩擦が起こりますが、摩擦が必ずしも 音源となり、騒音になるとは限りません。
 
 
例えば、歩くと音が出る「鳴き砂」は環境問題で取り上げられて、有名です。
鳴く理由としては、1番の理由が「砂の粒が、ある特定の大きさにそろっている
同じ成分の砂」ということでした。

大きさがまちまちで、材質の異なる砂場の砂では、歩いても「きゅっきゅっ」とは音がしません。
(「サクサク」とはたまに聞こえますが・・。)
また、バイオリンの弓は馬の尾の長い毛が使われていますが、時々、松ヤニの ような「滑り止め」を付けてやらないと、
滑ってしまい、思うように音がでない というようなこともあります。 弓と弦が擦れ合い、程良い摩擦を起こし音が出るわけです。
振動した弦の下には 共鳴器として空洞の箱が造られています。この空間の容積によっても、音質や音量 などが変化するそうです。

 もう一つはコオロギに代表される虫の鳴き声(?)です。 コオロギの場合、右の羽に細かいやすり状になった「やすり部」、
左の羽に膨らんだ部分があり(摩擦片) 羽全体が共鳴装置となって、擦り合わせたとき出る音を拡大しています。

 以上の例から類推していくと ある特定の条件で振動が起こり、それが何らかのかたちで、一定の周波数を保つ 事で、
音源が成立するようです。もちろん共鳴装置があれば拡大されることは 言うまでもありません。

 物の振動がそれぞれ、一定の周波数を持つことは、身近に理解しています。大きな太鼓は 低い音が出るし、
小さな太鼓は高音の周波数の多い音を出します。これは大きな物が低く 小さな物が高い音源であるということです。
しかし、分かり易い周波数の高い低いは ほとんどが、打楽器のように打音です。

 音が出ると言うことは、音源が振動し、空気が振動することです。 では、音源を振動させるエネルギーは何かというと、
”分子のかたまり”(=物質)と分子のかたまり をぶつける事で起こります。
ぶつかると物質特有の弾性がありますのでそれに従って、振動します。 振動した面に空気の分子があると、
振動面で空気の分子はぶつかって密になる部分と振動面が離れて ゆくことで起こる粗の部分が出てきます。

 太鼓のように、軽い膜を振動させる場合は、空気に直接エネルギーが伝わります。 けれど、ここでの問題は滑る物同士の音です。

エネルギーはかたちを変えても総量では不変=同量、と言う法則でみてみますと、 摩擦で熱が出ることから、
大きな音を出す振動には、 摩擦熱自身も増えると言うことです。従ってエンジン音が大きくなった場合は、そこで、
摩擦熱が増えていると言う事です。

 最初のエネルギーは、爆発する気体の膨張力を、仕事という「かたち」にしています。
それを「音」にするのも「摩擦熱」にするのも「仕事量の無駄使い」になってしまいます。
音が静かになったと言うことは、その無駄を熱にも音にも変えていないと言うことですから
最初のエネルギーが効率よく仕事量になっていると言うことです。結果として、燃費、騒音、 馬力、振動などが改善されます。

 ただし、次のような場合もあります。コオロギが出す鳴き声は、そんなに摩擦熱が 多く出ていません。
それは 羽を動かして大きな音を出すのに必要なエネルギーより、羽を共鳴器として 音を増幅させる方法を取っているからです。

 振動を大きくして摩擦熱を伴うより、 空気を動かすエネルギーに直接変化させた方が、少しの出費で効果が大きくなります。
摩擦熱にもエネルギーを取られません。まあ、どう考えても羽を激しく 擦り合わせるよりは、
同体積の空気を振動させる方が質量的に軽く効果的と言うことです。


打音と摩擦音は基本的には同じ。(私見)

擦れ合う金属同士の表面を拡大すると図のようになります。


金属同士がミクロの状態では上記のように表せます。
その上にあるように、金属同士の小さな凸凹がぶつかり合い、 接触する部分を中心にして、金属表面の振動は、
金属の中を通って ゆきます。

 振動源は上記図の様に、無数といえるほどあるのですが、それぞれが でたらめな振動数を持っていますし、
互いに振動を”うち消し”たり”重なり”合ったりし、 トータルとして、雑音になります。空気を振動させる面まで到達しなければ
いくら振動しても音が聞こえません。(真空では音は伝わらない)

 身近な例としては、タイヤノイズが上げられます。
企業秘密のようなものですが、ようは、「静かに」性能を出す、ということです。 路面とタイヤ面では打音かも知れませんが、
タイヤの溝の入れ方によって、 これほどの差があるとは、と感じさせてくれます。

 3,の擦れ音や打音は2,と同じように考えたらいいでしょう。

4,の吸気音.タービン音.などについて。

 燃焼に必要な空気を取り込むときに「吸気音」や、 ターボがついている自動車では「タービン音」が発生します。
この件については、一般常識的にわかると思いますので、割愛させていただきます。
(実はタービンの絵をうまく描けな言い訳です。) 空気自身の流れによって起こる振動ですが、雰囲気としては、
「走行中に窓を開けた時に起こる、空気の振動(風切り音)」は誰もが知っていますので、 そういった類の音源とみてください。

 どうしたら音が小さくなるかは、実験や理論に基づいて試作−テストを繰り返して 製品が出来上がっています。
しかし未だに、完全になくすことは出来ません。
もし、普通より大きい音になってきたら−「どこか悪くなった」−と判断してもかまわないと思います。
しかしそれはあくまでも新車時の状態のまま使用してのことです。(チューンしたら音が大きくなっても 当たり前と言うことです。)

 音を消す方法を知るには、音がどうやって出るかがわかればいいわけです。
吸気音の場合、バルブが開くとピストン内部は外気より空気が薄くなっていますので、
気圧の高い空気は気圧の高い空気と混じって同じ気圧になろうとします。
次にバルブが閉じてると、空気の流れは一時止まろうとしますが、 僅かに運動しているエネルギーが残っているので、
バルブ手前で空気の圧力は上がります。 また、バルブが開くときは気圧が低いので流れます・・・。
こういった一連の空気の流れによって、空気は圧力の高い・低い箇所が出来上がります。
この粗密な空気の流れは吸気管の内部を逆流し(?)外部にいる人の耳に届きますと、 音波としてとらえられるわけです。

 ターボ音のひゅーんという音も同様の粗密波によって聞こえます。
そこで、出来た粗密波と正反対の粗密波をぶつけることによって、
上記の図のような「振動の重なり」を作ってしまえば、音の振動は弱められ、 消音効果を期待できるわけです。

 この消音装置は「ヘルムホルツ・レゾネーター」として知られており、エアーダクト などや、配管についている事が多く、一度確認してください。
最近では、積極的にイヤホンで外部の音と正反対の音を出すことで、消音する装置が 売られてます。
エンジンの音なんかもスピーカーで逆位相に出せたら、もっと静かになるかもしれませんが、 こちらは、吸音材の方が一般的です。


ついでに
音の大きさを表す記号として「デシベル(dB)」がよく使われます。

デシベル(dB)の考え方について

倍率を表すとき、人間の感覚に合う表現として「デシベル(dB)」という 数学の対数を使って 表す事が多く出てきます。
ただ、電力や電圧・電流の時の表示と音圧の表示の場合は少し意味が異なるようです。

 1.音圧の表示の場合

 人間の耳に1番小さな音は、木の葉のそよぐ音とされ、これを基準に取っています。 比較すれば、
木の葉のそよぐ音の 「0デシベル」。ピアノの最強音は100デシベル。 人が耐えられる限界の音圧は130デシベルになります。
それ以上の音は鼓膜が破壊されてしまうかも知れないので危険です。

 通常、普通ガソリン自動車で走行して静かと思えるのは室内で50デシベルぐらいまでと思われ、
ディーゼル車は古くなるとアイドリング状態で60デシベル以上になりますのでうるさく感じられます。
このときのエンジンルームは上記ディーゼルを60デシベルとすると80デシベルぐらいになり、
約20デシベルを加えた騒音があるようですから、室内への防音ということも大切です。
添加剤などの投与で音が静かになるかと言うことで、
自動車のエンジンの騒音を調べるのに超音波測定されることがありますが、この数値もデシベルが用いられる 事が多いようです。
普通、感覚の差として感じられるのが2デシベルぐらいです。

 2倍と3倍への差は大きいですが102倍から103倍への変化は大きいと言えません。 しかしデシベル表示で表すと、
人間の感覚では 2デシベルから3デシベル、102デシベルから103デシベルへと変化してもほとんど わからないように表されています。
感覚的にはっきりと違いがわかるのが5デシベルですから、
誰もが、ディーゼルとガソリン車の違いは音(どちらがうるさいか)でわかるはずです。

 2.電力(エネルギー)の場合

 10log10(倍率)[デシベル]のように変換していることが一般に行われています。
例えばワット数が2倍になったとすると
10log102=3[dB]となります。

 3.電圧・電流の場合

 オームの法則から
電力(P)=電圧(E)*電流(I)=E2/抵抗(R)=I2*R

 ですから、電圧または電流の倍率からデシベル表示した場合、

 10log10(倍率)2=20log10(倍率)[dB]で、 電力デシベルと同じになります。例えば電圧が2倍になったとき、

 20log102=6[dB]

 ですが、このとき電流も2倍になりますので、電力は4倍となり、

 10log104=6[dB]

 が成立しています。
 
 

ディーゼルとガソリン車の騒音のアップ率

よく言われることですが、ディーゼル車は高速道路で高回転でも比較的エンジン音は、
それほど大きくならないのに、ガソリン車は極端にうるさくなるといったことを聞きます。

 元々、エンジン音がうるさいディーゼル車は、大体アイドリングでも エンジン部で60デシベル前後ありますが、
ガソリン車と比較すれば相当大きく感じるわけです。

 ガソリン車のデシベル数がどれぐらいだったか忘れてしまいましたが100km/hで
室内で聞こえる音がディーゼル車のアイドリングのエンジン音と同じぐらいだった 気がするのですが、
エンジンが1000回転アップしますと、ガソリン車の騒音は6デシベルも上がるのに、 ディーゼル車は2デシベルしか上がりません。
この差は最初の大きさが問題ですが、6デシベルの差は音のエネルギーから比較すると、 大体4倍ぐらいになります。

 それで、高速道路などではガソリン車が相当うるさくなったように感じられ、 ディーゼル車がそれほどうるさくなく感じられると言うわけです。
ですが、エンジンの騒音を下げることは相当難しく、 いかにして室内へ入らなくするかの方が手っ取り早く、
高級車のエンジンルームを覗けば、必ず防音用の工夫がきめ細やかにされているかが わかると思います。

 添加剤を使用してよくわかるのがこの高速回転の音の違いです。
アイドリング音よりエンジンを回した時の違いの方が、うるささとしてはわかりやすくなります。
良い添加剤はレッドゾーン近くに入れてもエンジンが悲鳴を上げなくなります。
ちょっと怖いですが、使用している添加剤の性能がどれぐらいエンジン音を静かにしているか、 確認のためテストしてみてはいかがでしょう。


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つづく


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