粘度と圧力の関係は、温度変化に比較するとそれほど影響が大きいわけではないが、
この変化はオイルの種類や分子構造によって異なり
大体圧力が14kg/cm2増加すると温度1度C下げたほどの粘度増加が起こる。
ただし、高圧によって
粘度増加が急激に起こる場合、潤滑油の固化現象がおこり、動力損失を招く反面、
粘度増加した油膜が耐加重能を向上させることもある。
油膜に圧力の掛かるギア・塑性加工の場合はこの点にも注意されたい。
(基本的に化学合成系より鉱物系の方が
耐加重能がよいとされているが、酸化劣化など劣化の問題も同時に考える必要がある。)
粘度の変化は
1.ナフテン系油>2.混合油>3.パラフィン系油の順になり、パラフィン系が粘度変化が少ない。
また化学合成油はさらに粘度変化が少なくなります。
粘度−圧力係数:η=η0eapp
η0:大気圧中のオイルの粘度
ap:粘度−圧力係数
であらわされ、温度による粘度変化の少ないオイルほど、圧力に対しても変化が少ないと言えます。
ただし、ap:粘度−圧力係数は一般の潤滑油使用条件では無視されることが多い。
5.粘度と分子構造
オイルは非常に多種類の炭化水素の混合物であり、少量のS,N,Oや、他の微量元素も化合物となって
含まれていますので、含有成分は未だに明確とは言い切れないわけです。
同じ原油から、炭素数が異なるが同じ粘度のオイルを取ることもできます。
(片方がパラフィン系、他方がナフテン系など)
大体は分子の3次元的な構造によると考えられるのですが、
二重結合や側鎖の位置や立体障害性なども粘度に関係します。
同じ炭素数の場合:
イソパラフィン<直鎖パラフィン<単環芳香族<単環ナフテンの順に粘度は高くなります。
また
分子中の環数が多いものほど粘度は高くなります。
炭化水素 | 粘度、cSt |
20度C....80度C | |
n−オクタデカン | 57.9.....18.4 |
1−フェニルドデカン | 62.9.....19.7 |
2−フェニルドデカン | 68.8.....19.7 |
4−フェニルドデカン | 78.2.....19.6 |
6−フェニルドデカン | 88.0.....19.7 |