2月頃に規格の骨格が定まったかと思われたのですが
どうも延び延びになってしまい
規格の基準となるテスト項目の数値の設定や、リン含有量の低減値、GF−4の耐久性に関して
合意がなされました。
規格自体が異なる機構によるため
GF−4は7月にSMは11月となるのですが、ディーゼルでもCI・CHと新規格として
今後店頭に置かれる日も間近と思われます。
正式なテスト項目などの比較データはまだ手元にはありませんが、入り次第下記へ追記してゆきたいと思います。
SM/GF−4規格
GF−5についてはJALOSのページか
規格詳細はこちらの(株)潤滑通信社のHPが良いでしょう。
2001年7月1日に新規格のSL/GF−3が導入されましたが、
今回のSM/GF−4との大きな違いは環境問題からの観点が大きく取り扱われています。
GF−4の規格はAPI規格のSMに合格し、省燃費試験に合格したオイルですが
オイルの粘度は従来通りの0w−XX、5w−XX、10w−XXとなる。
更なる省燃費性 触媒被毒の軽減 高温酸化安定性に対する要求=耐摩耗性の向上と交換期間の延長
○新しい酸化安定性試験が導入(Seq.IIIG)
高温酸化安定性の向上と耐摩耗性の向上が計られ、
GF−3(Seq.IIIF)の約2倍の酸化安定性となる。
○触媒適合性や硫黄含有量の上限値が規定された
リンで0.06%から0.08%。
硫黄分では0.5%の上限値が設定される。
○高温デポジット抑制性能が向上
○GF−3より2−3%の省燃費性の向上
(燃費率としては0.2−0.3%更に良くなる)
評価項目 | 1989年〜1994年 | 〜1997年 | 2001年6月30日 | 2001年7月1日から | 2004年11月30日から | 2010年秋頃からの予定 |
APIグレード | SG | SH | SJ | SL | SM | SN |
ILSACグレード | ― | GF−1 | GF−2 | GF−3 | GFー4 | GFー5 |
認証方法 | 自己認証 | EOLCS | ← | ← | ← | ← |
エンジン試験 | ||||||
防錆性 | Seq.IID | ← | ← | Ball Rust Test
(ラボ試験) |
← | |
高温清浄性 | Seq.III | ← | ← | Seq.IIIF | Seq.IIIG(性能向上) | |
高温酸化安定性 | Seq.IIIE | ← | ← | Seq.IIIF(無鉛化) | Seq.IIIG(性能向上) | |
高温動弁摩耗 | Seq.IIIE | ← | ← | ※1Seq.IIIF、Seq.VE
あるいはP≧0.08wt% |
Seq.IIIG(性能向上) | |
触媒被毒防止性
(P=リン) |
− | ≦0.12%P | ≦0.10%P | ≦0.10%P | 0.06−0.08%P | |
同上(S=硫黄) | ≦0.5%S | |||||
(中)低温動弁摩耗 | Seq.VE | ← | ← | Seq.VIA
(KA24Eエンジン) |
←やや向上 | |
(中)低温清浄性 | Seq.VIE | ― | ← | Seq.VG | ← | ← |
軸受腐蝕 | CRC L−38 | ← | ← | Seq.VIIF
Ball Rust Test |
Seq.VIII← | Seq.VIII |
高温清浄性 | Cat.1H2 | ― | TEOST | ※2TEOST MHT−4
(ラボ試験) |
TEOST MHT−4
高温デポジット性能向上 |
TEOST MHT−4
TEOST 33 |
省燃費性(ILSACのみ) | Seq.VI | Seq.VI | Seq.VIA | Seq.VIB | Seq.VIB※3
初期燃費と持続性燃費 の向上率は2−3% |
Sequence VID |
ポイント | 自己申告が
登録制になる ILSAC規格の導入 |
高温での安定性の向上
オイル蒸発損失の改善 高温泡立ち防止性 省燃費性向上 触媒被毒対策 |
高温での安定性の向上
オイル蒸発損失の改善 省燃費性向上 触媒被毒対策強化 |
高温酸化安定性の向上
省燃費性の大幅な向上 触媒被毒対策強化 |
省燃費性能とその持続性の向上
エンジン保護性能の向上 触媒被毒対策強化 |
GF−3とGF−4の比較(Seq.VIB)
GF−3 | GF−4 | ||||
Visグレード | Phase I
新油の燃費 |
Phase II
使用油の燃費 |
Phase I+II | Phase I
新油の燃費 |
Phase II
使用油の燃費 |
0or5W−20 | 2.0%※4 | 1.7% | - | 2.3% | 2.0% |
0or5W−30 | 1.6% | 1.3% | 3.0% | 1.8% | 1.5% |
10w−30 | 0.9% | 0.6% | 1.6% | 1.1% | 0.8% |
<資料 BP:API SM ILSAC GF−4の開発背景より>
規格 | API | SJ | SL | SM | ||||||
ILSAC | GF−2 | −−− | −−− | GF−3 | −−− | −−− | GF−4 | |||
粘度 | 0w−XX
5w−XX 10w−XX |
0w−20
5w−20、30 10w−30 |
その他の
SAE粘度 グレード |
0w−XX
5w−XX 10w−XX |
0w−20
5w−20、30 10w−30 |
その他の
SAE粘度 グレード |
0or5W
−20 |
0or5W
−30 |
10w−30 | |
ベンチ
試験 |
防錆性 | Seq.IID | ← | ← | Ball Rust
Test |
← | ← | ← | ← | ← |
蒸発性
|
||||||||||
・NOACK法(%) | 22以下 | ← | 20以下 | 15以下 | ← | 15以下 | ← | ← | ||
・ガスクロ法(%)※1 | 17以下 | ← | 15以下 | 10以下 | ← | |||||
防腐食性能 | Seq.VIII | ← | ← | ← | ← | |||||
ろ過性 | 〇 | ← | ← | 〇 | ← | ← | ||||
泡立ち性 | ||||||||||
・Seq.I&II&III | 〇 | ← | ← | 〇 | ← | ← | ← | ← | ← | |
・High Temp Foarming | 200/50以下 | ← | ← | 100/0以下 | ← | ← | ← | ← | ← | |
触媒被毒(P含有量%) | 0.1以下 | ← | −−− | 0.1以下 | ← | −−− | 0.08-0.06 | ← | ← | |
触媒被毒(S含有量%) | 規制無し | ← | ← | ← | ← | ← | 0.5 | ← | ← | |
均質性と混和性 | 〇 | ← | ← | 〇 | ← | ← | ||||
せん断安定性 | CRC L−38 | ← | ← | Seq.VIII | ← | ← | ||||
高温清浄性(デポジット) | TEOST | ← | ← | TEOST
MHT−4 |
← | ← | TEOST
MHT−4※2 |
← | ← | |
低温ゲル化 | 〇 | ← | −−− | 〇 | ← | −−− | ||||
粘度特性 | SAE J300 | ← | ← | SAE J300 | ← | ← | ||||
引火点(度C)
(どちらか一方) |
200以上
(COC) 185以上 (PMCC) |
← | −−− | 200以上
(COC) 185以上 (PMCC) |
← | −−− |
今までのSL/GF−3と比較しますと、
SM/GF−4グレードはオイルの酸化安定性という意味合いではかなり基準値が上がっています。
リン低減とイオウ分の基準が出来た事も評価に値するかもしれません。
燃費向上率においても、
比較では2%−3%の改善がなされたわけですが
基準オイルからの改善率は0.2%−0.3%程度で、
こちらはそれほど大きく改善出来ないことがわかります。
また残念ながら
試験方法も大幅に変化しておりません。
何が変わってきたかといいますと
今まで以上に「低質のベースオイルや低質な添加剤が使用できなくなった」
という意味合いが強く出ています。
ユーザー側として考えるときは、
その結果として、品質的に安心感が強まりますので
「0W−XX」の低粘度オイルを指定している車種のユーザーにも
そういった低粘度オイルが使用されてくるようになり、
反面オイル代が高くなるという事と、
「どの銘柄のオイルもあまり差が無くなってしまった」という事にもなります。
今までオイルにこだわりを持つ人には
通常の100%合成油でもすんなりクリアーできてしまうレベルですので
そういったオイルを使用されている方にはあまり恩恵は少ない規格変更とも言えそうです。
また、そういうメーカーは
規格無しの「無印良品」の製品を販売するかもしれません。
工事中
※2温度は280度Cで24時間加熱試験し、デポジットの量は2割以上削減。