1.ベースポリマー(ポリグリコール)5%〜30%
科学的に安定しており、溶剤との相溶性が優れていなければならないことになり、
ブレーキオイルに潤滑性を与えるとともに、高温時の粘度を保ちシール部からの漏れを防ぎます。
また、蒸発性が低いこと、低温での低粘度性も重要な要素になります。
なお、
EO=エチレンオキサイド、
PO=プロピレンオキサイド。
種類 | 構造式 | |
PO系 | ポリオキシプロピレングリコール
ポリオキシプロピレントリオール |
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EO・PO系 | ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)グリコールモノアルキルエーテル
ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)トリオール |
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EO系 | ポリオキシエチレングリコール |
項目 | PO系 | EO・PO系 |
粘度(cSt)30度C
50度C 100度C |
299
136 30 |
336
151 38 |
ゴム膨潤性(120度C×70h、%) | −1.1 | −0.6 |
蒸発減量(100度C×144h、%) | 3以下 | 3以下 |
流動点(度C) | −30 | −30 |
水に対する溶解性(g/100g) | ∞ | 0.1 |
2.溶剤(グリコールエーテル類)70%〜99%
ブレーキオイルの中で70%−99%を占めるのが溶剤になり、ブレーキオイルの沸点、動粘度、ゴム膨潤度を調整し、
添加剤の溶解性を満足させ、低温での流動性を向上させる目的で使用されます。
普通は数種類のものが混合使用されています。
種類 | 構造式※1 | |
EO系 | ジエチレングリコールモノメチルエーテル(DEGME)
トリエチレングリコールモノメチルエーテル(TEGME) ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DEGEE) トリエチレングリコールモノエチルエーテル(TEGEE) ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGBE) トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TEGBE) ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル
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PO系 | ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル |
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EO・PO系※2 | ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)グリコール
モノアルキルエーテル |
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ホウ酸エステル | トリエチレングリコールモノアルキルエーテル
のホウ酸エステル ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)グリコール
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項目 | TEGME | DEGBE | EO系 | PO系 | EO・PO系 | ホウ酸
エステル系 |
沸点(度C) | 245 | 230 | 245 | 245 | 270 | 275 |
粘度(cSt)100度C
−40度C |
0.24
280 |
0.22
160 |
1.75
550 |
1.60
1050 |
1.80
870 |
2.70
1450 |
ゴム膨潤性(120度C×70h、%) | 1.5 | 9.9 | 0.9 | 11.4 | 3.2 | 1.0 |
蒸発減量(100度C×144h、%) | 98 | 99 | 40 | 65 | 30 | 40 |
流動点(度C) | −44 | −70以下 | −45 | −67.5 | −67.5 | −57.05 |
3.添加剤0.5%〜2.0%
数種類の添加剤が併用されているが、代表的なものを表にしました。添加剤の使用には注意が必要で、
ブレーキ部品との関係では、銅を使用する部品に対して溶出しないかどうか、または溶剤との関係で白濁・分離しないかどうかの
相溶性があり、その選択・配合は極秘となっています。
ですから、他のブレーキオイルの混合には注意が必要となります。
種類 | 構造式 | |
酸化防止剤 | 2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール
4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)
p−t−ブチルクレゾール
β−ナフチルアミン
テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン |
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防錆剤 | 2−メルカプトベンゾチアゾール
トリエタノールアミン
n−ジブチルアミン
ジシクロヘキシルアミン |
使用・取り扱いの注意点
1.保管
ブレーキオイルは基本的に吸湿性がありますので、空気が入れ代わりやすい容器は避け、ふたのきちんと出来る容器を
使用した方が良いでしょう。市販の商品の場合は、その容器でいいと思います。
また、封を切った場合の保管は湿気の無い冷暗所にて行い、
再使用の場合は、約1年ぐらいまでがいいと思われます。
吸湿による沸点降下と冷間時の粘度上昇によるブレーキの作動支障を避けるためです。
<ブレーキ液の吸湿による沸点降下曲線>
2.混合
3.炎症性・毒性
工事中
<参考資料:「オートケミカル」日本オートケミカル工業会(幸書房)>