添加剤の極圧性と体感度の続き
 

2.極端に省エネ運転をする
以下まとまりのないことをだらだら書いております。

極端な省エネ運転をする事が可能なのかどうか、やったこともありませんが、
信号で30秒以上停止して、アイドリング状態を続ける場合は、
エンジンを止めた方が省エネに効果的ということが
わかっています。
30秒以下で省エネになりにくいのは、エンジンをかけるときには、
普通はアイドリングしている場合の使用量と比較して、
それより濃い燃料が必要なため、
次にエンジンをかけた時に、エンジンを止めていた分ぐらいを使ってしまうからといわれています。
その目安が30秒ほどになります。

そのほか省エネ運転として10.15モードが入ります。
これは大体、実用範囲ではほぼ運転できないくらいの
ゆっくりした加速をするような運転になります。

添加剤を使用している人は、おわかりのことと思われますが、
レスポンスの良くなったエンジンで、
そのような運転をすることは、
結構ストレスがたまる走り方と言うことで、実は私も燃費テスト以外ではしておりません。
というか、そういった走り方をすること自体が交通量の多い、通勤時間帯などでは、まず出来ませんし、
きびきび走ることを要求されるわけで、
市街地やその近郊では難しい走行と言わざるを得ません。

ちなみにアクセルをふかし気味に走行した場合と、
ゆったり運転した場合とを、
通勤時間帯で比較したことがありますが、
よほどでない限り、1km/リッターの差は出ないと言うことも理由にあります。
場合によってはほとんど変わらないと言った事もありました。

極端な加速・減速ではこれぐらい差はすぐ出るのですが、
適度に回して、適度に運転を楽しむと言うことも
精神衛生上いいことなのかもしれませんね。
ドライブ自体を楽しむことは、確かに環境汚染につながることかもしれませんが
経済活動自体がそもそもそういうことですし、
たまに意味もなく走ってしまうことの是非はともかく
時々ぶらりと走っています。
ただ、極端に省エネを意識した走行は
まわりの人にも精神衛生上良くないことかもしれませんし、
流れに乗ることも必要な事と思われます。
誰かに急ブレーキをかけさせるような運転も、
自分の自動車の省エネが良くできても、他の人の省エネにはマイナスとも思われます。

で、こういったゆっくりとした運転をしておりますと、
燃料添加剤を使用したときよりも何だか燃費が良かったりするから不思議なものです。
(添加剤を使うからにはやはり、多少なりとも加速してしまう動機が出来るからでしょうね)
また、それぞれの自動車は燃焼効率を最大限に出すため、
走行パターンがある特定の状態を考慮して味付けがなされている場合が多く、
燃料の調節もそれらに従って
フィードバックされているようですから(AIの学習も含みます)、
速度を出す事が直ちに燃費が悪くなる事とも言い切れません。
結局のところ最大の燃料の無駄遣いは
燃量使用量が無限大になる停止時のアイドリングと言うことになりそうです。
どれだけガソリンを使用しても走行距離がないわけです。いわば「たき火」みたいな状態ですね。
1時間もアイドリングしていればガソリンを1リッター以上使ってしまいます。

で、省エネ運転などを含み、こういうときには、摺動部が境界潤滑にもなりにくく、
そういう状態に効果の出る目的で作られた添加剤の極圧性は
ほとんど無関係に近い状態でしょうから、
どんなにいい極圧系添加剤であろうと体感がしにくいと思われます。
添加剤を使ってみようと思われる理由が、
パワーアップ、レスポンス向上などで、
加速時などに、その添加剤の良さが体感される場合がほとんどですから、
そういった走りをしない人にとっては、
高価な極圧剤添加剤を使用せずとも、普通程度の添加剤で十分なのかもしれません。
特に一定速度で走行する場合は、慣性力で走行していますので、
使用するエネルギーは定速を維持すればいいだけですから、
少ない燃料で走る事になり、加速やパワーに全く関心ない人にとっては、
単に走ればいいと言うことだけが重要に感じられますので、
移動手段としては他の公共機関を利用する方がもっと省エネになりますし、
自動車を使用するとしても、低公害車に代表される燃費の良い排気量の少ない
自動車で事足りますし、
こちらの方が経済的にもいいでしょう。
その際は、多分高価と思われる「添加剤」なども入れる気にならないでしょうね。

極圧剤が添加されるようになったいきさつは、
減速させる原因は摩擦等がほとんどですから、これを少なくする事と、
機械の摩耗を少なくすることからと思われます。

それを10−20%も減らせれば相当な事かもしれませんが、今のところ
極圧剤に出来ることは燃焼エネルギー全体の2−3%ぐらいのレベルです。
ただ、運動エネルギーに取り出せた部分からの割合で考えれば
大体4−9%にも当たります。
本来利用できる燃焼エネルギーがガソリン車でわずか1/3程度ですから、
逆にそれがわずかでも改善されるなら、燃費向上につながり、最大に出来れば
10%近くも燃費が良くなってしまう訳です。
これは新車での比較です。
燃費が落ちてしまった自動車と比較すればさらに良くなるので、誇大広告のように
「最大30%も燃費が向上!」なんていう宣伝もありますが、
エンジン側の燃焼効率を改善し続けている最新車両になればなるほど、
この燃費向上率が低下することはおわかりのことと思われます。

また、長距離ドライブでおわかりのことと思われますが、
一度に距離をたくさん走る場合、普段の短距離・短時間走行の繰り返しと異なり、
様々な要因で燃費が良くなる事は当たり前ですので、
比較する事は出来ません。

エンジン側の精度が向上し、燃焼効率が上がるということは、
同時に、摩耗自体も少なくなるように、各パーツが改良されていると言うことです。
その性能を維持するためにも、
オイルの品質・性能も向上する事が要求されてきているわけです。

こうなってきますと、以前ならきわめて効果的と思われた「添加剤」自体が
普段のオイルに普通に入っていたり、
極圧剤・減摩剤も正規に取り入れられたりしまして、
「添加剤」ではなく「オイル」として売られるわけです。

もちろん、燃費を競う競技ではこのわずかな摩擦低減が燃費向上に
つながるのです。
(マイレッジマラソンやソーラーカーレースで高級極圧系添加剤が常識的なのは
よく知られておりますので・・・)
ただ、普段の自動車の使用方法は一日数回までの始動・停止がほとんどですし、
常にエンジンを暖気する事にエネルギーが費やされることの方が多いので、
多少、摩擦を下げたり、わずかにオイル抵抗を少なくしても、
改善率は極端に出てきません。
長距離通勤の方や、ハードな走行をされる方から、
「添加剤の効果がすばらしく、燃費がかなり良くなった」と言うことをよくお聞きするのに対し、
短距離通勤やきわめて省エネ運転を心がけている方からは
「エンジン音が静かになった、低速でのトルクが増えた」
と、異なったご意見を頂くのは、
添加剤の効果の出方の違った側面からなのです。

また、エンジンに一番悪いのが、ドライスタートと言われるように、
始動時のオイルレス状態による金属の摩耗はエンジンの寿命を短くすることにつながっていますが、
逆にそういう使用方法をするユーザーさんたちは、
1年に1万キロも走行することもないので、
2回車検をしても(3年間+2年間+2年間)7年間では7万キロ以下の走行しかしておらず、
それでエンジンがだめになってしまうこともまずないでしょう。
その上、燃費を気にした走り方をしていれば、エンジンにとっては低温スラッジの方が問題となりそうで、
添加剤の出番は「極圧剤として」は極端に言うとあまりありそうもないといえそうです。
添加剤を入れなかったからと言って、エンジンが壊れるわけでもないからです。

しかし、最近特にディーラーや整備工場でも「添加剤」が多く販売されているいきさつを思うと、
添加剤に結構積極的に取り組んでいるわけですから、
商売と言うことよりも、もっと別の理由が見えてきます。

使用されている添加剤は特に「スラッジ防止」と「摩耗緩和」ですが、
エンジン性能が良くなったのと裏腹に、
製品のコストダウンは避けられない要求としてありますので、
メンテナンスとしての「添加剤」が売られているわけです。
自社のオイル性能だけでは、すべてのユーザーさん達の使用条件を満たすことが
かなり難しいと見なされ、結構積極的に入れるようになっています。
昔なら考えられなかった現象です。



それでどれぐらいの極圧性があれば、効果を体感できるほどの違うかと言いますと、
(これはあくまでもデーターと使用インプレでしかありませんが、)
普通の純正程度のオイルを使用した場合で言いますと、
オイルだけの性能を「1」としますと
大体「2−3」ぐらいからです。
つまり極圧性だけに関する限りで言いますと
いわゆる極圧剤入りと言われる添加剤ではほぼ効果を体感できると言うことが言えます。
数値的に言いますと普通のオイルは大体1000ポンド=453kgの力がかかりますと
チムケン試験機ではロック状態になりますので、
その2倍から3倍=900kg以上を掛けなければロックできないほどの極圧性があれば
いいと言うことになります。
この場合、接触している面は金属の削れで面積が広くなってますので、正確に計る必要があるのでしょうが、
削れ自体の面積が約半分程度である場合が多い事から判断しますと
普通のオイルと比較して4−6倍ぐらいの極圧性といえます。

でエンジンの寿命はどの程度かと言いますと削れだけを見れば約2倍ぐらいと言われています。
つまり、
エンジンの削れと極圧剤の効果は正比例ではなく
極圧剤自体は減摩効果としては2倍ぐらいでしかないわけです。
ここが不思議なんですね。

つまり普通の極圧剤で4−6倍の極圧性があっても金属摩耗を1/2にしかできなく、
8倍ぐらいでは1/3程度、12倍で1/4程度と言うような関係になります。

普通の圧力しか掛からない、暖気後のエンジンでは、
極圧剤が入っていても、金属摩耗はあまり起こってませんし、
摩擦抵抗も極端に多いわけでもありませんから、
よほど極圧性が高くないと、あまり効果を体感できず、
音質のわずかな変化や、燃費のわずかな向上止まりで終わってしまうわけです。
パワーを体感できる添加剤がいかに少ないかがこういう事でおわかり頂けると思います。

よくあるパワーチェックは一定の回転数を保持して比較したものではありませんので、
そういう比較をすると
添加剤では2−3%もパワーが上がっていればすごい体感度になる訳なのです。
つまり例えば1500回転でのパワーが60psであったとして
1500回転をキープした状態で2%アップの61.2ps出たら、
これはすごい添加剤なのです。
添加剤に触れている摺動部での摩擦抵抗が、つまりその部分でのフリクションが
ほぼ無くなってしまったような状態なのです。
それをシャシダイナモのようなテストで連続してパワーを引き出してテストすると、
1500回転の瞬間には測定状態によっては
70ps近くの数値になってしまうこともあるわけです。

普通シャシダイナモのグラフで最高馬力で
10%も向上しているグラフを見ることがあるのですが
それはアクセル全開での事であって、
本当に添加剤だけの効果では無いように思えます。

というわけで
極端に省エネ運転をしている人にとっては
極圧剤だけでの効果が薄く感じられる理由を考えてみました。
ちょっとだらだらでしたね。
すいません。

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