環境問題とオイルの関わり

環境問題とその対策 特に原因となるエンジン 対応方針 エンジンからの対応 オイルに対する要求
地球温暖化
CO2排出量低減
ガソリン車 燃費改善 エンジンのフリクションを低減する

新機構エンジン

直噴
ハイブリッド
省燃費性オイル
低粘度化
FM技術向上
省燃費性を長寿命化させる
すすの量をコントロール
耐摩耗、耐劣化(発進停止の頻度増加傾向に対応)
大気汚染
排気ガス浄化
ガソリン車 HC(炭化水素)注1.、CO、NOxなどの低減 排気ガス浄化装置の装着

液化天然ガス(CNG)、電気自動車(EV)、ハイブリッドなど

触媒の被毒を減少させる対処
低リン化
金属系洗浄剤のバランス
オイル消費を下げる
ディーゼル車 スモーク/パティキュレート低減 燃焼改善(高圧噴射、2ピースピストン、ハイトップリング化)など

オイル消費低減(ボア摩擦低減)

排気の後処理装置(酸化触媒、フィルター)装着

後処理装置の再生性
低リン・低灰油
オイル消費を下げる
窒素酸化物(NOx)低減 EGR

噴射時期を遅延

すすコントロールにより
分散性
耐摩耗性を向上させる
産業廃棄物としての低減 ガソリン・ディーゼル車 廃油を減らす

有害物質を減らす

オイルのロングライフ化
酸化安定性
塩基価の維持性など
すすコントロール
安全性
低芳香族
低塩素

排気ガスに含まれる有害物質

HC(炭化水素)・・・規制対象物質
                             ベンゼン(発ガン性)、
                             トリクロロエチレン(肝臓・腎臓障害)、
                             テトラクロロエチレン(肝臓・腎臓障害)、
               規制対象外物質
                             1,3−ブタジエン、
                             ホルムアルデヒド、
                             ベンゾ(a)ピレン(喫煙でも発生する肺ガン因子)・・・(ディーゼル車)
                             光化学反応によるオキシダント

ダイオキシン発生量・・・          推定0.07g/年(2,3,7,8−TCDDの量に換算)
                             他に17g/年と言う報告もあります。
                             (ディーゼル車などのスモーク/パティキュレート成分より換算)
 

 一酸化炭素・・・・・・・・・      人体にきわめて毒性が強い
 

浮遊粒子状物質(SPM)・・・・   ディーゼル排気微粒子(DEP)、発ガン、花粉症、アトピ−の原因とされる

窒素酸化物・・・・          喘息の原因、酸性物質の起源



上記、表に見られるように、環境問題対策としては、オイルは
1.地球温暖化問題

2.大気汚染問題

3.産業廃棄物問題

の3点を中心にして、その削減のために方向付けを行うようになってきました。

例えば「地球温暖化」に関しては、エネルギーの利用問題(効率など)が揚げられ、その結果として
二酸化炭素の排出量削減が考えられます。

一人の人間が一日必要な食料のカロリーを2000キロカロリーとしますと
ガソリン車で一人が一日50kmを走行しますと、その消費量は栄養当量で22.5倍に相当します。
(ガソリン1L=9000キロカロリーと換算。燃費=10km/Lとする。)
22.5人分のエネルギーを消費し、二酸化炭素にしてしまうわけです。
本来、公共機関利用が一番この問題に効果があるのですが、
それはなかなか難しい問題でもあります。

この場合、全国のガソリン消費による二酸化炭素の排出量は、少なく見積もっても一億トンにもなります。
そのうち、省燃費性オイルで出来るのは約2%ほどとされますが、それでも200万トンの削減が可能に
なるわけです。

大気汚染に関しては軽油の排気ガスが問題となっていますが、ガソリンでも完全に処理されて
いないわけですから、例外になりません。こちらの問題はエンジンそのものの技術的な問題や触媒
に関係が深いわけですが、オイルによる触媒被毒を押さえると言うことなどで間接的に対応しているようです。
また、大気の有害化学物質の環境基準が1997年2月に告示されて、有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質として234種、更に優先的に取り組むべき物質として22種が検討されましたが、
結局規制されたのは
ベンゼン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレンの3種類だけでした。

排気ガス中のダイオキシンも問題にされているようですが、
これは都市のゴミ焼却炉が全発生量の80%を占め、3100−7400g(TEQ/年)と推定され
自動車は年間0.07g(TEQ/年)で、比較にならないが、発生しているとなると重要な問題でもあります。
(また、最近の報告(H11/5)ではトンネル内排気ダクトによる排気ガス成分の分析から
スス成分に含まれるものを含め17gも排出されているという結果があり、
無視できない状況であることがわかりつつあります。)

それよりも燃料のおける上記3種の問題が先決のようです。
もちろんNOxも環境基準の達成状況からは依然として低い水準でしかありません。
 

産業廃棄物としてのオイルの再利用も考えられてはおりますが、
コストの問題と、使用済みオイル中の不純物の分離の難しさから、約10%程度で
ほとんどは燃料として利用されています。

なお、オイル中の塩素分は基本的には腐食性の問題から
無機塩分が除かれ、塩素分が無いはずなのですが、
添加剤成分として最初から入れられていたり、後から添加されたりもされるため
廃油中には塩素分が含まれている場合があるということです。
 
 
 


工事中
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