肩の凝らない、しかし、嘘かもしれないページ84

ガソリンの成分が悪い?

一昔前の話になるのかもしれませんが、ガソリンにガソリン以外の成分を混ぜて販売されていた事があり
エンジンがノッキングしたり、異常な摩耗を起こしたりと言った記事を読んだことがありました。
最近はそういった粗悪なガソリンも少なくなってきましたが、・・・
普通よくある粗悪ガソリンの「混ぜ物」は、
当然ですがガソリン成分の単価より安い物で、
灯油であったり、軽油や洗い油のような粗悪軽油など、あるいはBTX系の成分であることが多いようです。
粗悪とは思われない種類の安売りガソリンとしては、
ガソリンタンクローリーの底に溜まった売れ残り?ガソリンなどの場合もあるようです。
(塵も積もれば何とやらですね。)

ところが、正規の製品も段々と成分の内容が変わってきているという事を聞くことが多くなってきました。
7−11ぐらいの炭素数の成分で純粋にガソリンが出来ているというのは、本当は正しくなく、
7−11ぐらいの炭素数の分子の物性性状になる(蒸留温度とかクラッキングで)もう少し炭素数の大きい炭素分子が
結構「混在している」と考えた方がいいでしょう。
蒸留水でさえ100%製品はあり得ませんから、純粋な単体を集めることがいかに難しいかと言うことでもあります。
通常原油蒸留法でのガソリンの留出温度は30度C〜200度Cと言われていますが、その温度で蒸留できる炭化水素分子は
いろんな構造式を持っています。
イソオクタンの配合量で言いますとレギュラーでそれが85%、プレミアムで95%とされるわけですが、
裏を返せばそれ以外の成分=レギュラーで15%は他の成分と言うことになります。

ガソリンの成分自体、単一の炭化水素でありませんし、多くの異なる特性の燃料を混ぜて、
またそれにあった添加剤成分も入れて出来ているわけですから、当たり前なのですが、
これらの処方によって燃焼特性に僅かづつ違いがあることが認められています。
基準値が今のところ低いわけですから、他の成分を代替えして入れてもクリアーできてしまうし、
品質がコストに跳ね返りますから、特別なコストがかかる高級な?商品は作れないようです。
高いガソリンは「高くなる当然の理由」が余程明確に表示されていませんと、
使おうという動機も起きませんし、それがどう「いい」のかの説明も必要になり、
さらにコストに跳ね返ってしまうわけです。

また、燃料成分を作る方法も蒸留だけでは無く、炭素鎖を切り離す方法で作られるようになってきていますので
比較的大きな炭化水素や炭素数20以上の分子を途中で切り離して水素化し10と10に出来るかと言えば、
確率的なクラッキングと言うよりなく、
5と15とか6と14とか・・・もあるはずですし、すべて直鎖になっているということもあり得ませんので、
必ず、不純物的な炭化水素が出来てしまうようです。
もちろん割合としては1%とか0.1%とかもっと少ない僅かな数値となるのでしょうが
ガソリンに含まれる不純物質の規制値はppm単位ですから、きわめて大きな数量として捉えていいように思えます。

また、良い原油が少なくなってきますと、悪い不純物の多い原油からの分離の技術が、コスト面で跳ね返りますし、
昔には問題視されなかったり、測定されなかった環境破壊物質の影響濃度が製品の品質面で考慮されてきます。
ですから、環境に対する配慮の意識の向上に伴って、
必要に応じて基準値が設定される(改正される)わけなのですが、どうしても甘い基準値になってしまうのは、
世間一般とおなじ傾向があり、
イメージアップのためにも精製業界の自主規制(基準)があることでも理解できます。
高い技術力で高品質商品を安く提供されるように努力している面と、
イメージ的な要素が混在しているようです。
そんなに悪い商品を売っているなら、その宣伝はひどいはなしの裏返しなんですよね。
(それ以外の自主規制値設定理由は本当のうらばなしになりそうなのでここではカットさせて頂きますね。)

石油の枯渇問題がコストとの兼ね合いで、採掘年数を算出していますから、
(もちろん、本当に枯渇してしまうのは事実ですが)まだまだ、しばらくはコストが高くなってもガソリンなど石油製品が
続くのではないかと思えます。コストを度外視すれば、倍以上の採掘年数があるようですが、
品質の問題は、ですから今後の課題となりそうです。

昔のガソリンと今のガソリンでは精製方法が変わって来ているためもあり、成分が違い、性状も異なってきているようですし、
メーカーによってブレンド等の味付けも違うみたいですから、
異なるスタンドで入れたガソリン・軽油で結構レスポンスなども変わることもあるようです。
オイルのベースオイルと添加剤などと同様、燃料も味付けに多少違いがありますし、車種によって大きく差が出てしまうことも
起こっていることは事実みたいですね。
ただし、「レスポンスがよくなる=品質が良い」という事になるとは限らないところに、注意が必要です。
ガソリンにニトロ系の助燃剤を入れれば加速も良くなって当たり前ですが、それがいいかどうかは
また別の基準の問題となります。
環境に良くないベンゼンなど入れてもアンチノック性が高まりますからそういった傾向はでる場合が多いですし、
昔など(まだ使用している国もあるのですが)バルブ保護、アンチノックをかねて鉛成分が入っていた「有鉛=ハイオク」でした。
ほんの少量添加するだけで、かなりのアンチノック性が出せると言うことですが、
台湾南部の大鬼湖の堆積物からもわかるように、ガソリン由来ということがわかるほどですから
少量でも影響は深刻なのだと思われます。
燃えなくても、ガソリン成分が自動車の燃料タンクにあるだけで、自然に大気へ蒸発しています。
実際はかなり有害な成分を大気へ放出したり、燃やしている事が判っていたのですが、
そういった意識はつい最近まで先送りの目標となっていたようですが、・・・・。

脱ガソリンが必要なのかどうかは、今しばらく難しいコストの問題があり、非常にうまく行っているとは思えませんが
人が移動する手段として次の燃料電池などが低コストで出来ますと、
そちらへ移行してゆくことは間違いないことのように思われます。
他にも、環境を考慮して、硫黄成分を皆無にしますと、逆に燃料系の潤滑不良になったりしますし、
(こういった事には詳しくないのですが、)
一体、燃料の何%が燃焼して、何%がそのまま大気に放出されているのか、
硫黄成分のどれくらいがPM成分に繋がっているのかとか、いろんな事を考えてしまうわけです。
(燃料電池にするガソリンは硫黄成分がきわめて低い数値となりますが、
潤滑に関係ない訳ですから効率のみを考えると硫黄成分は逆にじゃまなわけです。
また、ここではガイアックスなどアルコール系燃料に触れる気はありません。)
シリンダー内でまだまだ不完全な燃焼しか出来ず、燃え残りが出るわけですから
次々と燃焼効率の良いエンジンが出てくると思われますが、単位としては効率アップ率は1%とか2%とか
少ない率となっています。もうそろそろ限界値に近づきつつあると思われます。

プラグ側での対応としては、本来、どんな条件になっても確実に火花が飛び、火炎伝播が行われる事が
基本となる訳ですが、低速でのトルクアップには、接地面の面積が広い方が、どうしても有利になるみたいで
沿面放電とか2極、3極という接地面を広くする形状が、失火対策にも用いられています。
点火プラグの性能は
1.熱価の管理によるプレイグニッションとくすぶり汚損の防止
2.要求電圧の低減
3.電磁波放射の防止
4.消耗抑制による耐久性の向上
5.規定の点火時期に燃焼室内で燃焼を確実に開始させること
が、おおよその評価となりますが、ここにもコスト問題と各項目間のトレードオフ関係がありますし、
最小点火エネルギーに比較すると、かなり大きいマージンを取った点火エネルギーがプラグで
使用されています。それは火炎核の自己伝播が100%うまく行く以上のプラグに対する性能要求があるためですが、
(このあたりがプラグの性能評価にあたるのでしょう)オーバークオリティの是非はあるものの、
プラグと比較して燃料その他の影響を考えますと、本当は燃料を含むプラグ以外の影響の方が遙かに大きいと思われます。
中低速のトルクが改善されるようなプラグ設計ですと、高回転でそれほど良いフィーリングが出なかったり、
逆に高回転にポイントを置きそちらへシフトさせると、低温始動時のフィーリングが悪くなったりします。
一定容量の点火エネルギーを変化させて可変型にすればいいのでしょうが、
そうしたからといって、どれだけ効率が良くなるか,かなり疑問のところがあります。
ノーマルのプラグをイリジウムに変えても、出力の向上が数%もあるというわけは全く無くて、ほとんど
変わらないのが実際のデータのようです。
しかし、ノーマルのプラグで火炎伝播に確率的な不具合が起こっているのを、イリジウムプラグで多少なりとも改善できれば
火炎核の自己伝播が最終地点まで「より」スムーズに行なわれることによって、
ラボデータではない現実の場でのフィーリング向上があるというのが、実際のシャシダイナモに現れるグラフになるようです。
で、これは本来、条件がシビアーにならなければ、それほどの差は出ないとお聞きしています。
(具合が悪ければ、すべての純正プラグがイリジウムプラグになってしまいますから・・・笑。)

そのわりには、ガソリンの違いって大きいようですね。
スタンドで売られているからには、酸化劣化したガソリンを売っているはずはないと思うのですが
仕事柄、ガソリンが自動車のタンクの中でだめになってしまっていて
エンジンがかからないって事もありますし、結露やガソリンのキャップから水分が入り込んできて
タンクが錆びたり、フューエルストレーナを錆や酸化劣化物・不純物質などのゴミで詰めたり、
インジェクターを塞ぎノズル開閉部を固着させることもあります。
こういったトラブルは100台中1件あるかないかなのでしょうが、年数が古くなってきますと、増える傾向は
仕方のないこと。
燃料の成分を変えてゆけばこういう現象はなくなるのかもしれませんが
新たに別の問題・不具合が出てくるのは確実に思えてなりません。

燃焼=化学変化という式からは、実は燃料電池にしても、内燃機関という形で燃やしても同じように思えるのですが
変換効率がどれくらい有効かという面と経済的な投資がどう釣り合うかと言う面など
そのほかにもさまざまな論点が入る訳で、個人としては静観せざるを得ない、成り行き任せの出来事にしかすぎません。


イリジウムでも0.4mmより0.6mmとか0.8mmぐらいにした方が低速域ではトルクがあるように思えてなりません。
反対に、細くなると高回転では有利でしょうね。

ところが、そんなことを細かに考えているわりには、どうも基本がおろそかになっていることも往々ありまして、
走行距離が10万キロに近づいたものや、走行は少なくても年数が経っている自動車の場合など、
ただ単にフューエルフィルターを変えてやるだけで、加速も良くなりトルクも増して来たりするものですから、
笑えてくることもあります。何故か詰まってたのでしょうね。
場合によってはエアーエレメントの交換やプラグコードの交換などで、生き返るエンジンも時々あります。
元々純正のプラグコードは必要十分条件以下の性能と聞いていますから
オイルと同様ピンキリの商品なんでしょう。
このあたりのコスト面の制約は性能に直結していますので、文句は言えないわけなのですが、
もう少し耐久性は欲しいと思えます。
でも、メンテナンスが減ると整備工場は困るでしょうね。
30年前ぐらいの自動車は車検までによく故障しましたので、ほとんどユーザー車検など無理でした。
それを考えれば、ひじょうな進歩です。

電気的にはアーシングなどもこういう場合には効果があるように思えます。
だだし、どれくらいが妥当な線か、計器で測定できても、判定を誰がするんでしょうね。
(新車時など良好な場合に限って言えば結局は音の音質みたいな主観的な世界になってしまうのでしょうか。)
正直言いまして、まだアーシングをやってないものですから理解していないわけでして、
このあたりは技術者でないと本当に正確な評価が出来ないところでしょうが、
整備上では、断線・ショート・アース不良など頻繁に不具合を起こす原因となっていますので
結果が良くなればアース不足だったのだと、単に納得してしまいます。(笑)
以前から、そういう修理の為でしたら、アーシングもどきをよくやっていましたし、整備の方なら、
実際、ボディアースされている配線が結構錆びていたりしてますし、ホーンや車幅灯・ストップランプやフォグなど
アース不良で点かない、鳴らないなんて結構多くあることは知っていますしね。
その程度の理解しかありませんでしたが、まあ確かに現在の自動車も最初からアース線が付いていますので、
それが劣化してくることは当然と言えることと思います。
これも、いわばメンテナンスなんでしょう。

このあたりは本来「予防整備」となるわけですが、
どのあたりをどれくらいの予算をかけてメンテするかは、ある意味で趣味と勘違いされやすい事柄なのですが、
結果的には安く上がるパーツですので、長く乗ろうとされている方には交換をお勧め致します。

こんな話題になったのは「燃料が変わるとエンジンの燃焼させ方が変わってくる」と単純に考えてしまったからですが、
段々ガソリンと離れてきてしまいました。
現在はガソリンが100%うまく燃焼していないでしょうし、
将来的にも100%燃焼させて、かつ、有害物質を出さないことは、シリンダー内では不可能ですから
燃焼方法を変えるか燃料を変える方法しかうまくゆかないのでしょうね。
と言うわけで、「エンジンテクノロジー」などバックナンバーを取り寄せて見ましたが、
技術系でないので理解不可能なページが多く、読み下せません。

またまた、行き詰まりを感じてしまいます。
 
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