肩の凝らない、しかし、嘘かもしれないページ86

アーシングを考える前に思うこと

今に始まったことではなく、自動車はバッテリーを積んでいます。つまりプラス極とマイナス極があります。
で、バッテリーのマイナス配線はボデイにつながっているので、プラスの配線をボディに付けると、ショートします。
ということは、マイナスの配線が無くとも、ボディがアースですから、わざわざバッテリーまで配線しなくても
そこで回路が出来てしまうわけです。

10年以上も前の自動車にも、マフラーとボディにアース線が入っていたり、
エンジン周辺の電子機器にボディアースが組まれていたり、
もっとずっと前からもフォグランプやホーンなどがボディアースされているのは普通でした。
自動車フレームが鉄で出来ていますので、ボディ(アース)は一番楽な電気回路(グランド)になっていたわけです。
オイルや添加剤の世界にも上には上があるように、
配線のつなぎかた、アースの仕方、その材質など、上には上の工夫があるものです。
しかし、どうしてそれが必要かを考えてゆけば、有効なアーシングや自動車の電気回路についても
わかってくるのではないかと思えます。

今では、電子制御となっていますので、特に電気に関して注意を払う事柄が増えてきました。
故障診断にとって最初に確認する事項として、回路がきちんと電気が流れる構造かどうかが判断されますが、
機器の故障以前に(ヒューズ切れ・配線カプラなどのはめ忘れ、脱落はもちろんのこと)、アースがきちんと取れているかを
調べることも重要なチェックポイントになってきます。
ボディアースは通常、配線をねじで締めて接触させていますので、接触面の間に酸化皮膜が出来やすく、
ねじ自体も力がかかった状態で振動を受けますと、導通している表面が酸化したり摩耗したり、亀裂を生じたりし、
電気抵抗が増える方向に進行する運命にあるからです。

電流は電子の流れですから、電子1個1個は反発して流れるような形を取ります。
配線の銅線(アルミや鉄の場合もありますが)の断面が円形であるとき、電子は配線の一番外側を流れます。
そこで、外側が酸化してゆきますと、最外郭部を流れることが出来ないので、電子自体の流れにまで影響することが
直感的に理解出来ると思います。
ですから残念ながら、使用して良くなってくる「なじみ」期間は案外短く、電気回路などの抵抗値はそのなじみという
概念が当てはまりませんし、減ると言う方向性がないので、抵抗値は増えてゆくばかりと理解しています。
まあ、ショートは例外ですが・・・
で、アーシング自体は最低限の電気の流れに必要な配線回路が保たれていれば、
さして、性能をどうこうすると言ったほど、影響が出ないはずなのですが、
電気制御が進んできますと、一つのバッテリーから、たこ足配線的な電気回路が組まれてきますので、
大電流が必要な場合の回路自体の電気抵抗が問題となってきます。
一番簡単にそれが判るのが、バッテリーターミナルの長さとその太さの関係です。
フロントエンジン・フロントバッテリー車の場合と比較しますと、フロントエンジン・リアバッテリー車の
バッテリーの配線はかなり太くなっているはずです。
電気抵抗は抵抗値がその断面積と反比例し、長さに比例していますので
(太ければ太いほど流れやすく、距離が短ければ短いほど流れやすい)、
電流を多く必要とすればするほど、抵抗にならないように、太く短くした方が有利になります。

で、この「有利」というのが、何の事かと考える必要があるわけです。

理論的に回路抵抗を考えて作られていますが、回路と回路がつながって、一つの電気装置となっている場合、
必ず、つながる部分=接触する箇所には回路の配線以上の抵抗値が出ているように思われます。
ハンダで配線をつなげるより、実際は銅線の圧着による配線の方が抵抗値が少なく、
出来れば、配線自体を途中でつなげない方が、電気抵抗値は低く抑えられると言われています。

もう一つは、配線での1本1本の電圧が異なっていると言うことです。
E(電圧)=I(電流)・R(抵抗)の式で表せるように
これは電流と電圧と抵抗の関係からわかっていることなのですが、
同じ電圧なら、並列配線では抵抗値が大きい配線には電流は流れにくく、抵抗値が小さい側がよく流れてしまうし、
直列なら配線の後の方の抵抗ほど電圧は低いということになります。
としますと、並列配線で抵抗値が低い配線をしますと、そちらの方が多く電流が流れるようになるということに
他なりません。
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新車から2−3年もたちますとバッテリーターミナル・オルタネーターなどの接点部でも多少の電気抵抗値が起きてきまして
そういうところに、接点改質剤など塗布する事によって、電圧が上がることが起こるそうです。
実際のテスト車では12.95Vだったものが、13.55Vになり、0.6Vもアップしたそうです。
但し、効果は約3ヶ月程度と以外と短いのですが、配線での抵抗値はつもりつもると、これくらいはゆうにあると言うことの
証明のような気もします。ナノカーボンのインプレはこちら

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で、電気を作れば、それなりに仕事量が必要となるわけです。
エネルギーは勝手に出来ませんから、走るためのエンジンの出力から、電気を作った分も差し引かないといけないわけです。
自動車ではダイナモ(=ジェネレーター、発電機。通常は交流機としてオルタネーターと呼ばれ、ICレギュレーターを備えている)があり、
発電のためコイルをまわしますので、エンジンの出力から電気に変えるための抵抗(仕事量)が
パワーのロスとして加算されることになります。
こういったエンジンの出力から差し引かれるエネルギーは機械損失としては燃料の発熱量から換算して
約5−10%はあります。
ガソリンエンジンの有効仕事量が30%前後となりますから、機械損失は結構大きな数値と言えそうです。
で、
オルタネーター自体は、必要に応じてON・OFFを繰り返しながら、必要な電気をためたり、使ったりして
「有効に」エネルギーを償却しますので、ヘッドライトを点けたり、エアコンなどでファンをまわしたりしますと
常にONの状態となります。
バッテリーの充電時などにも当然ONの状態となりますので、
回っているローターコイルに発電のための磁気抵抗が生じて、OFF時よりはるかに重たく(抵抗が大きく)なります。

ダイナモ(オルタネーター)のダイオードやICレギュレーターが性能不良ですと、余分に電気を発電したり、十分に発電できない状態で
コイルなどをまわす事になり、エンジンの出力側から余計な仕事量を取ることになってしまいます。

バッテリーが古くなって劣化して、充電がうまくゆかなくなった場合にも、
余計に発電時間が長く必要になりますから、パワーロスの原因になったりします。
プラグの要求電圧・電気量が不足するような状態ですと、失火確率が増え・・・というように
さまざまの点から、燃費に悪影響が出ることは間違いなく思われます。
走行に問題がないレベルであれば、もちろん気が付く事がないのは、比較がしにくいからでして
これらの点も何かアーシングと似たような「質感」の問題なのかもしれません。

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電気的な関係として

○オイルの絶縁性がもたらす電気的な関係と粘度によると放電現象の違い

オイルは本来絶縁性を持つのが普通で、実際コンデンサーに使用されていることからも
「絶縁油」として分類される物質と言える。

ところが、結論的にはこの絶縁油であるエンジンオイルはエンジン内部で循環しているため
側面の固体金属などと擦れあって摩擦が起こるので、
液体であるオイルが電気的な現象(電荷の移動)を起こし、電気を生じさせる。

電子がオイル中に蓄電され一定電圧を超えると「絶縁破壊」いわゆる「放電現象」を起こす事が
知られている。
このときのオイルにたまる電圧は5KVー20KVぐらいになり、
「オイルフィルター」内部の中心打ち抜き面の金属で放電を起こすので、顕著に痕跡が認められている。
もちろんフィルターはアースがされているが、オイルパンなどのような平面構成の油槽になると
オイル自体は帯電したままで、電気的な影響残したままで、
プラグのように尖った部分や狭い配管で放電し、オイルの劣化は促進されると考えられている。

金属面が絶縁されていると、金属面から電荷を運び去る傾向は
この傾向は高温になるほどつまりオイル粘度が低ければ低いほど(柔らかい方が)
同様に流速が早いほど、電圧は高くなる。

また流れる管が狭いほど低い電圧で放電することが知られている。

ボールベアリングなど軸受けやエンジンシリンダー内部でのピストンと側面のライナーなどの金属との間では
油膜が非常に薄いため
僅かな電圧でも放電が起こってしまう。

実験ではすべり速度が0.5m/sで電圧は30?55Vの範囲の電圧であるが
オイルが10ミクロン程度の厚みを持って潤滑油となって摺動していると仮定して
「金属+オイル+金属」という面で一方に42.2Vの電圧をかけた際に、
放電現象が起き放電の熱で金属がホール状に溶けている。
この場合、金属面は、一種のプラグの中心電極と接地面の関係になると考えれば分かりやすい。
 

潤滑面に出来る金属同士の摩擦で起こると考えられていた現象に
それとは異なる直接関係ない現象があったということになる。
また
オイルは絶縁破壊を受けると当然ながら、損傷を受け、劣化につながることになる。
 

放電波形は人間の神経が電気信号を伝達するのと同じ現象ということである。

<参考文献:トライボロジストvol.49/No.1/2004 p30−35>

なお、参考までに
タービンの軸受けホワイトメタルなどは、特に静電気や電気腐食などを受けやすい事があり
通常の摩耗ではなく、こういった電気的な腐食作用で故障になることも多く見受けられる。
そういった場合は、逆に潤滑剤のGRPなどを添加することによって
ホワイトメタルの破損まで約1.5倍の延命が得られたという工業機器の例があるので
保護の観点から、電気の放電発生のシステムを知っておくことがメンテナンスに重要とも考えられる。
つまり、一部の導通を改善したことで、逆に他のパーツの寿命を短くしてしまう可能性も起こりうる事で
本末転倒になる可能性も否めないと言うことになる。

工事中
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