けれども、エステルベースのオイルには多くの場合有機モリブデン系のFM剤(摩擦調整剤)を入れたりして
製品化するケースがあります。これは、ベースオイルのこの油性は、いわゆる「極圧剤」的な物ではありませんので
いわゆるチムケンテストなど極圧性に関してはほとんど通常のエンジンオイル並となるからで
境界潤滑域ではやはり摩耗してしまうから積極的に入れられることが多くなります。このようにリン酸系・硫黄系(有機モリブデンは大まかにはこの系)・塩素系の極圧剤を添加することで
性能が大幅に向上しますので
スペシャルオイルとしてこういった添加剤が良く効き、相乗効果を期待できるオイルとも言えそうです。
酸素原子は”極”としての役割をしています。オイルが”酸化する”ということは酸素の存在に起因すると言うよりも それ自体が持つ水素イオンの活性現象(OとHの結合時において)によるか、 水酸基結合(CーOHの結合時における)の破壊にあります。
炭化水素による潤滑は酸素を含んだ物質が分子結合に加えられた場合には 増強されます。
熱安定性 | 低温流動性 | 耐揮発性 | 加水分解安定性 | 化学的自由度 | 生分解性 | |
ミネラルオイル(鉱物油) | ● | ● | ● | ― | ― | ― |
PAO(ポリアルファオレフィン) | ●● | ●●● | ●● | ● | ● | ― |
ジエステル | ●● | ●●●●● | ●● | ●● | ●● | ● |
ネオポリオール・エステル | ●●●●● | ●●●● | ●●●● | ●●●● | ●●● | ●●●● |
ネオポリオール・コ・エステル | ●●●●● | ●●●● | ●●●● | ●●●● | ●●●● | ●●●●● |
コンプレックス・エステル | ●●●●● | ●●●● | ●●●●● | ●●●●● | ●●●●● | ●●●●● |
と結合させてつくり出されます。
1.ジエステル | 2.ネオポリオール・エステル |
3.ネオポリオール・コ・エステル | 4.コンプレックス・エステル |
モチュールの2004年4月からの新しい製品では、4輪用のみ新しいエステルが調合されている。
(2輪湿式クラッチには滑る可能性があるため、使用しないことを推奨)
資料は画像でこちらにあります。 新300V製品の写真
なお、化学物質や薬品として扱われると思われますので、 新しいタイプのエステルが新製品として輸入されたりする場合は、それがエンジンオイルであっても
国への申請等の手続きが必要になるようです。