オートバイのオイルと添加剤

1)自動車とバイク(4サイクル)の基本的な相違 2)2サイクルと4サイクルの基本的な相違
  • 1.オイルを燃やすエンジン
  • 2.2サイクルオイルの組成と4サイクル、ディーゼルオイルとの比較
  • 3.2サイクルオイルの規格
  • 4.2サイクルオイルの代表的性状
  • 5.2サイクルエンジン油の品質設計
  • 6.潤滑と混合比
  • 7.少数派2サイクルの嘆き
  • 3)バイクに合ったオイルと添加剤
  • 1.オイル選びの基準
  • 2.添加剤との相性
  • 3.その他
  • 1)自動車とバイク(4サイクル)の基本的な相違
    1.バイクはエンジンとミッション両方を同じオイルで潤滑している

    自動車でオイルが潤滑する場所はピストン、シリンダー、カム、クランクなど4サイクルのバイクと同じ箇所ですが、
    バイクにはもう一つミッションのギアも 潤滑しています。(ミニなどもミッションオイルと共用してますが、)

     元々、ギアの潤滑にはそれほど、高温特性が必要ないはずなので、
    「自動車の場合」、 ミッションオイルの劣化は比較的少なく、油膜がありさえすれば、
    一応ミッションは動くので、場合によっては、ミッションオイルなど 交換したことがない人も多々ありました。
    バイクの場合は特にエンジンの潤滑と別になっているミッションオイル=2サイクルなどとなります。
    原付などではいまだにほとんど交換されていないのが実情です。

     オイルの劣化で一番先に劣化するのはオイルに含まれる添加剤のうち”減摩・抗酸剤”と思われますが、
    こういった添加剤成分はベースオイルと共に非常に熱に対して弱く エンジンオイルは3000kmで交換するのに、
    ミッションオイルは約50000kmごとに 交換、などという理由もこの熱によると思われます。
    (もうひとつはガソリン混入やブローバイガスの混入による劣化ですが、下記に記載。)

     一方、ミッションオイルも共用しているバイクの場合もう一つ潤滑に対してデメリットになることがあります。
    それは、ギアによる金属粉末の混入です。

    バイクにはオイルフィルターのないものもあり、この金属の微粒子をオイルと一緒に
    循環させているわけですから、バイクのエンジンはたっまったものではありません。
    以前、こういったタイプのオイル容量1L、250ccのモトクロスのオイルドレーンに NEOMAX−30という
    希土類・鉄・ボロン磁石(保磁力1.1テスラ。フェライトの4倍以上の表面磁力)をつけて、
    いったいどれくらいの金属が出るかを調べたことがありました。

     添加剤(GRP)の実験でしたが、3000kmで交換を4回しましたが、
    磁石は1回目が磁石が隠れてしまうほど で、1mm以上ある金属片も着いていました。
    2回目も1回目の半分くらい出ましたし、 3回目でもうっすらと着いていました。
    4回目はさすがに添加剤の威力。ほとんど着かなくなっていました。
    (燃費は1〜4回とも大体20%程度上がりましたので単に、エンジンがこなれたからだけではないようです。)

     実験をする前の約15000kmの間、金属摩耗の粉末と一緒にオイルはエンジンを回っていたのです。
    (あるいはスラッジと一体化しクランク内に付着していたものが、添加剤の清浄分散効果で洗い出された。)
    自動車の場合、新車から約1〜2万km位はバイクに近い状態かもしれませんがギアのない分少ないと思われます。

    なお、一部の方が「GRP」を湿式クラッチ式に入れると問題があるかのように言われておりますが、
    このテストでも判るとおり、GRPを入れることによって問題が発生したことはありません。
    また、そう言った報告もありません。
    「湿式クラッチ上のメカニズムでは起こらない」事が判っておりますので、ご安心ください。

    2.エンジンの潤滑とギアの潤滑は違うはず

    ギアの潤滑に高温特性はあまり必要ないとは書きましたが、 実際はどうなのでしょうか?
    1番簡単にわかる方法と言えば、デファレンシャル=デフオイルの油温を調べるとわかります。

     データ表はなくしてしまったので、詳しく書けませんがレース車両のデフの油温計のグラフを調べて、
    以前驚いたことがありました。

     デフオイルは最高220度Cほどになっていたからです。
    温度が上がる原因は、デフですから燃焼系の熱ではあり得ません。
    摩擦によるとしか考えられないからです。 レース用ですから特別高性能ギアオイルを使用しているはずですが、
    話によると場合によっては オイルが炭化してしまうこともあるとか・・・。

     ここに平歯車と平歯車の潤滑の状態を模式図であらわします。

     うなり音や騒音、振動の原因として、ギアの歯数と回転数やギアの形状・材質が研究されております。
    金属と金属が周期的にぶつかり合っているわけですから、 共振しないように組み合わせ、それらを減らす必要があります。
    走行に問題なくても、異音や振動はいやですからね。

    1.
    このときの状態は一般には流体潤滑か弾性流体潤滑ぐらいの状態と思われていますが、
    実際は 流体潤滑などではなく 境界潤滑になり接触面の金属同士は直接接触しています。

    特に高負荷のかかる場合、金属の凝着や疲労摩耗による摩耗が起こっています。
    メーカーサイドもこのことは承知の上、金属冶金技術で対応しているわけです。
    そして、ミッションやデフでは、磁石をドレーンボルトに埋め込み、ギアーオイルから
    金属粉やギアのかけらを分離しようとしています。

     自動車の場合と比較して高回転、高出力で、加えてギアの潤滑も兼ねているわけですから
    排気量の割にバイクのエンジンオイルは高粘度に指定されています。
    それはオイルの疲労度にあるのではないかと思われます。

    2.
    もう一つは、騒音に関することなのですが、ギア同士の歯があたり、
    こすれあうと うなり音を発生することになるのですが、これはメーカーで 研究していることです。

     大体基礎的なことは、大学の研究室に研究材料としてあるいは卒論テーマとして任せている場合もあるとかで、
    ギアの歯数、使用金属合金などをかえてラボテストを行っています。
    音に関しては、国民性によるのか諸外国に比べ神経質ですので、
    騒音を静かにすることも エンジンやギアの性能向上に深く関わっていると思われます。
    振動音や打音などが少なくなると言うことは、部品の精度や耐久性が良いともいえます。
    3.
    で、ギアなどは「あたり」によってノイズが減る可能性は少ないと言うことが
    上記研究で大体判ってきましたが、使用しているうちにギア同士の表面に「あたり」が出て、発生していたノイズが
    減るかどうか調べますと、ほとんど改善されることが無く、摩耗によってさらに悪くなる傾向の出方がほとんどとなるようです。
    調整で摺動面や共振を変化させることはデフなどではある程度可能ですが、ミッションなどでは調整のしようが無いことが
    ほとんどですから、まず何をされても僅かな減少しか見込めないでしょう。
    ですから、この部分に関しては交換しか対応がないのかもしれません。
    (入りの変化とその際のノイズはもちろん改善可能と思われます。)

    3.湿式クラッチとは

    実はバイクのクラッチはOHしたことがないので詳しく説明できないのですが、
    基本的に材質は自動車のATのクラッチと同じものだと思われます。

     (工事中)
     
     

    4.バイクに使えないオイルと添加剤

    4ストローク用オイルであれば、大抵自動車にもバイクにも使用できます。
    大きな違いというと、自動車用に比較して、バイクの方がミッションオイルを兼ねるわけですから
    (分離タイプは自動車と同じ)、 極圧性と粘度に差を出し、安くても劣化しにくいように作られています。
    粘度は
    物理的な劣化によってオイル中のポリマーが剪断されることと、
    ピストンリングから燃焼していないガソリンが混入し オイル自体を薄めてしまうことで低くなります。
    ギアの回転とピストンの往復運動の回数が多い分だけ、それらが起こりやすいわけですから、
    それら回転数が自動車より多いバイクの場合、走行距離の割に早めのオイル交換が必要になります。
    ですから、オイルとしてはやや高級なものを使用した方が持ちがよくなると思われます。
    (出来れば2輪専用の粘度が僅かに高いタイプの方がいいようですが)

     極圧剤は
    ミッションギアのかじりとフリクションを押さえるため、普通の自動車のミッション・デフオイルにも
    イオウ系やリン系や塩素系などとしての極圧剤が含まれています。
    バイク用を自動車に使用しない方がいいのはそれらの極圧剤が触媒を劣化させるためです。
    逆に、そういう添加剤成分が少ないか含まれない自動車用オイルは、
    バイクのミッションにとってやや劣化が早くなるという傾向があります。
    自動車用にもFF車のATF(またはエンジンオイル)がミッションやデフに使用されていますが、
    やはり同様に早めの交換を指定しています。

     それで、バイクに使用してすぐ不都合が出るオイルは少ないのですが、問題は湿式クラッチの滑りに出るようです。
    固体潤滑剤が含まれるオイルは、クラッチの目図まりを起こし、滑らせる可能性が高く、あまりお勧めできません。
    有機化合タイプなら、含まれる成分の量が少ないため、クラッチの滑りを起こす成分もわずかですから、
    それほど心配ありませんが、 添加剤となるとその一本の添加剤に含まれる量も多いですから、
    有機タイプでも 添加剤の取り扱い説明をよく読み、
    また、固体系添加剤の場合でも 固体潤滑剤の少ないタイプを選んだ方がいいでしょう。

    5.バイク専用オイル

    近年まで、自動車用ガソリンエンジンオイルと共用されてきましたが、
    自動車の方は「高い省燃費性能」が求められるため、「摩擦低減剤」の使用が多く、
    これは湿式クラッチの滑りを引き起こす可能性が高くなります。
    そのため、JASO T 904-98を制定して規定しています(一般性状、摩擦係数、せん断安定性など)。
    規格としてはJASO・「MA」、「MB」があります。

    例えばカストロールでは下記の製品があります。
     
     
    用途 製品名 SAE粘度 APIなどの規格 基油 値段/L 動粘度cSt(40度C) 動粘度cSt(100度C) 密度(15度C)、g/cm3 引火点 流動点 CCS粘度、mpa.s 粘度指数 備考
    4サイクル空冷水冷2輪用 GPSライト 10w-40 SG 部分合成油 2000円/1L 102 15.2 0.868 224度C -37.5度C 3000(-20度C) 157 寒冷地用を含むオールシーズン用
    ” GPSスペシャル 15w-50 SG 部分合成油 2000円/1L 128 17.5 0.870 228度C -35.0度C 3000(-15度C) 150 夏期ロングツーリング・高速使用など
    ” GPフォー 10w-40 SJ 鉱物油(超精製油) 1400円/1L 96.6 14.6 0.874 217度C -32.5度C 3260(-20度C) 158 合成油に近い性能を持つ超精製油使用
    ” SPツーリング 10w-30 SJ 鉱物油 1000円/1L   71.5 10.9 0.881 228度C -37.5度C 2610(-20度C) 142 オールシーズン、価格が安い
    ”レースオイル バイクテック 10w-40 100%合成油 12000円/3L   スプリント・耐久レース用
    ”レースオイル B353 40(シングル) 合成油+植物油の混合油 13000円/5L スーパーバイク・耐久レース用、BMWとの共同開発
    2サイクル分離&混合2輪用 ミニバイク 20(シングル) JASO−FC 部分合成油 1000円/1L 53.7 8.31 0.865 106 -22.5度C 127 50ccミニバイク専用、混合は20-40:1
    ” スーパースポーツ 20(シングル) JASO−FC 部分合成油 1300円/1L 50.4 8.02 0.864 106 -42.5度C 129 スポーツにも使用できる、混合は20-40:1
    ” 2TS 20(シングル) JASO−FC 100%合成油 1300円/0.5L 35.3 6.92 0.869 78 -50.0度C以下 160 上級者用、混合は30-50:1,カートは25:1
    ” STTフォーミュラ 20(シングル) JASO−FC 100%合成油 1500円/0.5L 35.1 6.98 0.878 76 -47.5度C 165 上級者用、混合は30-50:1,ストックは25:1
    ” R30 30(シングル) 植物油 3000円/1L ひまし油をベース、混合は15-20:1,ストックは25:1、チューニングは16:1
    2サイクル混合用レースオイル A747 50(シングル) 合成・植物油の混合油 4000円/1L 混合は20-30:1,ストックは25:1、チューニングは16:1
    ” ピュアレーシング(2st) 60以上(シングル) 100%合成油 3800円/1L 混合は20-30:1,ストックは25:1、チューニングは16:1
    4サイクル2サイクル混合用レースオイル R30 30(シングル) 植物油 3000円/1L ひまし油をベース、混合は15-20:1,ストックは25:1

    *ひまし油・・・植物油と書いてあるものはほとんどこれに当たります。簡単にいえば”ごま油”の親戚。油膜は強靱だが酸化しやすい。

    2)2サイクルと4サイクルの基本的な相違

    1.オイルを燃やすエンジン

    2サイクル(ストローク)と4サイクルの1番おおきな違いはオイルが燃えていいか悪いかです。
    もちろん2サイクルは構造上燃えてくれなければならないし、燃えやすく、
    燃えても公害性の極めて少ない添加剤を添加してあります。
    ですから、使用するにあたり4サイクル用の添加剤を使用できるかどうかなども、添加剤説明書に明記してあります。
    また、通常の分離式(2サイクルオイルを別のタンクに入れる方法・原付などに多い)では、
    このオイルは燃料側とクランク側へ2系統の潤滑をするようにラインが分かれていますので
    クランクの潤滑をするにも必要な特性が要求されます。
     

     2サイクルでは下記のようにオイルが使われています。

    また、レース用にははじめからガソリンに混入して使用しています。

    2サイクルオイルの組成と4サイクル、ディーゼルオイルとの比較
     
     
     
    エンジン油の種類 2サイクル(混合) 4サイクル ディーゼル
    ベースオイルの成分 ポリブテン
    鉱油
    エステル
    希釈剤(灯油留分系)
    鉱油
    PAO
    エステル
    アルキルベンゼン系
    ←
    清浄性(塩基性成分)
    清浄性(過塩基性成分)
    分散性(無灰分散剤)
    酸中和性
    耐熱性・酸化安定性
    耐摩耗性*
    耐焼付性
    耐防食性・防錆性
    燃焼性
    消泡性
    粘度指数向上性
    ◎=特に必要or通常添加される
    ○=必要、通常添加される
    △=あった方が良いor添加されることもある
    −=なくても良いor通常添加されない

    耐摩耗性に関してはほとんどの添加剤が燃焼させるとと公害性を持つために、 特に、添加剤を選定する必要があります。
    特に金属系の摩耗防止剤・酸化防止剤に普通4サイクルなどで使用されているZnDTP・有機Moなどは添加されない。
    また粘度指数向上剤は特に必要ないが、流動点降下剤が兼ねている場合もある。
     

    3.2サイクルオイルの規格

     
    JASO(M345)規格 FA FB FC 備考
    油潤性 90%以上 95%以上 95%以上 点火プラグ座温度の上昇によるエンジン出力低下を測定
    初期トルク 98%以上 98%以上 98%以上
    清浄性 80%以上 85%以上 95%以上 意図的にプラグ座温度を高めた状態で清浄性能を評価
    排気煙 40%以上 45%以上 85%以上 マフラーを改造した小型発電機を用いて測定
    排気系閉塞性 30%以上 45以上 90%以上 同上
    現在、ほとんど有名メーカーであれば、FC規格に合格しています。
    TISI規格試験法(タイ)潤滑性試験では、試験中に燃料と潤滑油の混合比を変更することで耐スカッフィング性能を評価。
                   排気煙試験はJASOに準拠。
    ISO規格試験法(国際標準)EGB、EGCはそれぞれJASO・FB、FCに対応。EGDはJASO・FC以上の清浄性。
                   
    CEC試験法(欧州イタリア)清浄性能をJASO・ISOと異なる考え方で試験している。ピストンリング膠着を含む清浄性
                    および焼き付き性を評価。
     
     

    4.2サイクルオイルの代表的性状

    競技用を除く(分離用)
     
    引火点 粘度40℃cst 粘度100℃cst 粘度指数 流動点 全塩基価rKOH/g 価格帯(500t) オイルの種類
    80〜120℃ 60〜70 9〜11 110〜150 −40〜−30℃ 3〜12 800〜1800円 部分合成、化学合成、植物油

    5.2サイクルエンジン油の品質設計

    現在2サイクルオイルはモーターサイクル用とアウトボード用に大別されます。
    モーターサイクル用は一般的には一般用とスモークレスタイプになりますが、特殊仕様として
    レジャー用2サイクルエンジン油が販売されています。
    アウトボード用は一般船外機用・生分解性船外機用になります。
    それぞれの用途に合った品質設計がなされていますが、下記のような基油・添加剤の使用例があります。
     
     
    モーターサイクル 船外機
    一般タイプ スモークレスタイプ スポーツタイプ レーシングタイプ 一般タイプ 生分解性タイプ
    基油 鉱油 × ×
    ポリブテン × × ×
    ブライトストック※ × × × × ×
    エステル × × ×
    植物油 × × × ×
    希釈油 ×
    添加剤 金属系清浄剤 × ×
    無灰分散剤
    流動点降下剤
    油性剤 ×
    極圧剤 × × ×
    着色剤
    ◎=絶対に必要な基材
    ○=よく使用される基材
    △=必要に応じて使用する基材
    ×=使用しない

    ※ブライトストック(bright stock):=重質な鉱油基油留分。減圧蒸留の残さ留分を脱れき、溶剤抽出、水素化精製
      脱ろうなどの処理をして精製する。ギア油など高粘度油の混合基油として使われる。

    3)バイクに合ったオイルと添加剤

    1.オイル選びの基準

    4輪用のオイルと2輪用オイルの4ストロークオイルでは、若干オイルの内容が異なってます。

     2輪用オイルは高油温対策として
    リン分(ZnDTPジチオリン酸亜鉛も摩耗防止・酸化防止剤としての リン分)を多く処方しています。
    4輪では触媒に悪い影響が出るため 押さえられています。

     4輪用オイルを用いると、オイルによってはバイクとの相性で、まれにクラッチを滑らせることが起こります。
    また、粘度が同じ表示でもバイクの場合僅かに高粘度側に作られている場合が多く、「ややかため」と言えます。
    安いオイルの場合は特に専用オイルの方がいいのでしょうが、高級品の場合、使用上ほとんど問題はなく
    10w−40以上であればいいと思います。

     ただ、最近のオイルの粘度は「SL」グレードに向かって、0w−XX、とか5w−XXとか、
    バイクには向かなくなりつつありますので、 メーカー側も「2輪専用」として、新しいオイルを商品化してゆく傾向にあります。
    量産化されれば、コスト的に安くなるのでしょうが、販売する総量も限られてますので、
    4輪用と比較してやや割高感は否めません。
    で、現在レースなどではほとんどの場合、4輪用と同じオイルですが、
    5w−30や5w−40あたりの100%合成油が使用されています。

    4輪用鉱物(or部分合成)系オイルを使用する場合、劣化はギアチェンジのフィーリングでわかると
    言われておりますので、オイル交換の時期はつかみやすく、
    10w−40であれば最近のエンジンでは問題はないようになっているのですが、
    それでも、オイル交換が2000kmから3000kmでは、結構維持費も高くついてきます。
    4輪エンジンの構造と多少違い、2輪用エンジンでは、ピストンリングの位置etc.なども異なるため、
    未燃ガソリン、ブローバイガス混入が多くなるため、
    希釈されて粘度低下を起こしやすくなる事もオイル交換を早める要因となります。
    この場合の対策は10w−40でシフトフィーリングなどが早く悪くなるようであれば、
    15w−40や15w−50というように少しだけ高粘度にかえてみる方が長持ちするように思われますし、
    又は、オイル希釈に強い合成油系を選ぶのもひとつの方法といえます。
    つまり、4輪用オイルを使用する場合、
    順番としてはまず、使用するバイクの推奨粘度にあたるオイルを使用し、だめなら粘度の高いものとかえる。
    それでもだめなら2輪専用オイルを使用する。まだ不満がある場合は4輪用合成系オイルにかえ、粘度の合う物を
    見つけるようにするといった順番になります。
    合成油系は鉱物油と比較しますと柔らかい割に高粘度と思われがちですが、
    同じ15w−50を比較すれば、合成油が10w−40のように感じるといったように、
    表示数字との差を感じるでしょう。
    また、粘度をあげるのに、できるだけ増粘ポリマー系添加剤の使用は避けた方が良いと思われます。
    2輪用に作られてない場合が多いことにもよります。

     クラッチがオイルだけで滑るかどうかは、AT同様研究されておりますが、
    どうも極圧性を高める添加剤がすべて問題となると言うより、油膜の間に何かオイルにとっての異物が挟まって
    確実な接触が出来なくなってしまったり、アスベスト系の表面の凸凹を 埋めてしまうようなものの影響の方が
    強く出ているような感じがします。
    もちろん摩擦のしすぎは急激なクラッチミートでと同じですから、摩擦熱を発生し、
    それらの表面を 摩耗させる事になります。こちらはひどくなると完全に滑ります。
    粘度の硬いものはクッションになり、滑ると思われるのに、 油温のため
    程良い堅さになるためか問題ありませんので、 オイルの劣化で生成されたオイル劣化成分の問題
    (ほぼ添加剤の成分と言っていいでしょう) かもしれません。

    2.添加剤との相性

    バイクは多くの場合、湿式クラッチを使用しています。この湿式クラッチは
    オートマチックなどのクラッチと基本的には同じ構造で、オイルを挟み込んで、
    クラッチ板と金属製の板の摩擦を利用しています。

     そのため、金属やクラッチ板を腐食させたり、あまりにも摩擦を少なくしてしまう (特に固体潤滑系)添加剤の成分は
    向いていません。特に銅板を使用している場合、 添加剤の腐食性に対しては注意が必要です。
    しかし普通この圧力は一枚のクラッチ板だけでなく、 何枚かで同時に摩擦させるわけですから、
    相当大きな摩擦が生じ、オイルの膜圧以上に力が 掛かりますので、滅多に滑る状況にはならないはず
    と言うことも確かめられているみたいです。

     分離しているタイプは問題なくエンジンオイルも添加剤も自動車用でいいみたいですが、
    油圧クラッチ板が共用されてますと、とにかく神経質に構えてしまいます。
    万一心配な場合、メーカーに問い合わせ、クラッチに問題が発生するかどうかを確認した上での使用が安心です。

    3.その他

    それでギアに対して、カストロールSAF−X+GRP5%を入れて、約9万キロ間、無交換だったデフオイルを調べてみました。
    自動車(ワゴン)ですから、多少極圧など異なりますが、添加剤がこういった極圧下でどう作用するかの結果です。

    金属粉はわずかしかなく、それも見事に微細化したパウダー状で、錆の発生など全くない状態ですから、
    銀の粉のような状態で、磁石に付いていました。
    付着しているのは一部だけで、
    量的にはデフの磁石に付着している量で耳掻きに2杯分ほどです。
    金属の「かけら」らしき物は全く見つかりませんし、オイル自体の色が琥珀色に変色していただけで、
    きらきら輝いた液体でないのには驚きました。
    こういった状態ですから、添加剤による金属摩耗低減効果も捨てた物ではありません。

    また、こちらのユーザーさんからよく聞く話で恐縮ですが、
    イワタニ産業のチキソグリーススプレーを使用されている方々からのご報告なのですが、
    普通のグリースですと10000kmぐらいでチェーンやスプロケットが摩耗したり、のびてしまうようですが、
    このグリースを使用してからは、10000kmを過ぎても、ほとんど問題なくなったという事を
    お聞きしております。(スプレーでない方の「チキソグリース」をご使用の方もおられます。)
    スプロケットの摩耗低減はわかりやすいのですが、チェーンが何故のびにくくなるかについては、
    不思議だそうです。
    これは摩耗によるチェーンの「たるみ」に関係がありそうですね。
    たるんでいますと、シフトチェンジでのショックがチェーンに余計に掛かるためと思われます。
    摩耗が進行しにくいと、それだけ負担が軽減するので、伸びも押さえられるのではないでしょうか。
    チェーン音も静かになるので、いいそうですね。
    ただし、ひどい雨の中のツーリングでは1日で落ちてしまうようです。
    (50%の水との混合攪拌では性能的に問題ありませんが、洗い落とされてしまうような雨の中では
    やっぱり再度使用してください。防錆効果も1級品の「防錆剤」並にありますので、
    メンテナンス用品としては最適と思われます。)

    上記の内容予定でただいま工事中 


    ”クラブBMW”の場所です。
    "R"への書き込みに添加剤としてGRPの評価がありました。

    ホームページへ inserted by FC2 system