オイルの防錆防食作用

さび止め剤、防食防止剤

さび止め剤としては 脂肪酸、脂肪族アミン、有機リン酸エステル、有機スルホン酸塩など
防食防止剤としては 窒素化合物(ベンゾトリアゾールなど)、ジチオリン酸亜鉛など
金属不活性剤としては シッフ型化合物など

エンジン内は耐えず燃焼によって水分が出来るため
どうやって錆を発生させないか、
また燃焼ガス、オイルの酸化、オイル中の添加剤の分解などは
酸性物質や硫黄( いおう)化合物などとなりますので
これらの物質から
どのように金属を腐食させないかが大切になります。
錆や腐食は摩擦を増大させ、金属表面の品質の劣化を招き、エンジンの寿命などを短くします。
そのため、オイル中には必ず上記さび止め剤・防食防止剤、あるいは金属不活性剤などが添加されています。

 上記3種類の添加剤で金属表面の錆の発生や腐食を防止するのですが、 その作用はそれぞれ異なり、

1.金属表面に吸着している有害物質を置換または可溶化して取り除く。

2.金属表面上に添加剤分子の吸着膜をつくり、直接水や有害物質との接触を避ける。

3.潤滑油の酸化は金属自体が触媒となって進行を早めるため、その触媒作用を押さえてしまう金属不活性剤の膜をつくってしまう。

という効果を複合させることで保護します。

また、金属のごく浅い表面層をわざわざ酸化させることで、錆に強い不働態化した安定物質を作り、
酸化が進行するのを押さえるようなNO2-やCr242-が処理されることもあります。
いろいろと良い添加剤がありますが、極性基と親油基をもった油溶性界面活性剤型の化合物を下記図に記します。

実用上の錆止め効果の他に、
水置換性、耐オイルステイン性、脱脂性、抗乳化性なども要求されますので
2種類以上併用されるのが普通のようです。

また、これら添加剤自体はオイルの使用で劣化してしまいますので、
最終的にはオイル交換によって補充充填する事になります。

防錆剤の種類と構造
 
極性基 構造式
スルホン酸
カルボン酸
リン酸エステル
ソルビタンエステル
アミド

スルホネート
原料として、石油系のものと合成系のものがあり、石油系は流動パラフィン製造時の副産物として得られ、
合成系にはアルキルベンゼン系とジノニルナフタレン系があります。
一般的に分子量が大きいほど良い防錆性を示す傾向がみられます。
清浄分散剤としてエンジンオイルに含まれるCaCO3のような塩基性無機塩を超微粒子状に透明に分散させた
高塩基性塩もそういった防錆性をあらわすが、性能は劣っています。
他の添加剤成分と油中で相互作用をするために、防錆性に対する相乗効果が現れたり、難溶性添加剤の安定溶解化に
効果があったりします。
ラノリン誘導体
防錆剤で使用されるラノリン誘導体はラノリン脂肪酸(95%以上が飽和脂肪酸で、分岐構造になっているものが90%以上、
その30%はヒドロキシ脂肪酸を含む)を主原料としたエステルあるいは金属石けんになります。
エステル結合や水酸基を豊富に含む非結晶性化合物であることから、低温特性・密着性に優れ、
空気酸化に抵抗力があり、塗膜の安定性がよい。
ただし、吸湿性がありますので溶解性を下げない程度にヒドロキシル価を下げています。
また、金属との親和性が高いことは、金属表面を脱脂化する傾向になり、その脱脂性が問題になることもあります。
他の防錆剤との組み合わせで用いられることが多い。
石油酸化物
炭化水素のみからなる無極性化合物のワックスやペトロラタムを酸化させ、
カルボキシル基などの極性基を付加した酸化パラフィン、酸化ペトロラタム。
酸化ペトロラクタムの金属塩は、自動車ではアンダーボディーコーテイング剤などに使用されています。
エステル
 原料の多価アルコールと脂肪酸を高温加熱し、脱水する事によって製造され、
ソルビタンモノエステルやペンタエリスリトールモノエステルなどの多価アルコール部分エステルが使用されます。
エステルは一般的に吸着力が強く、親油基間の凝集力に、より緻密な疎水性の高い吸着膜を形成します。
製造時の未反応の脂肪酸や加水分解により遊離する脂肪酸を含むため耐オイルステイン性に劣り、
非鉄金属(特に鉛)に対して腐食性が強いとされます。ソルビタンモノオレエートなども
スルホネートと併用され使用され、長短所を補っている。
アミド化合物
水置換性に優れ、作用機能上カルボン酸として分類される。
リン酸エステル
アルミニウムやアルミニウム合金の防食性に優れる。
ベンゾトリアゾール
ベンゾトリアゾールは金属不活性型の酸化防止剤として腐食防止性を持ちますが、
同じ部分構造を持つチオカルバミン酸誘導体も耐荷重能と耐摩耗性と共に、同じく酸化防止・腐食防止性能を
持っています。

参考として、LLCの防錆についても見てください。 クーラントへ


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