肩の凝らない、しかし、嘘かもしれないページ14

何故マイクロロンを取り上げないかについて

メールにてよく「何故マイクロロンについて書かないのですか?」 と質問されることがあります。
この場を借りてお答えいたしますが、
別に悪意はありませんので思ったことを書いてゆきます。
マイクロロンも確かに良い添加剤と思います。
他の添加剤も良いはずですし、使ってよければ良いわけですから使わないよりエンジンには良いと思います。 (変な感じ)。

簡単に答を出すとすれば、なんだか投資しにくいのです。
例えば、値段が高い割に極圧性が100ポンドと書いてあります。
そして、以前の 宣伝文句で、その効果について言うと、「何万キロも持つ」かのごとくかかれてる割に、
エンジンの耐久性は1.2−1.4倍ほどしか ないわけです。
100ポンドの極圧性というと最近の添加剤ではほとんど 「ないに等しい性能」と思われますし、
それほど大げさに言わなくてもと言う感がありました。
こういった添加剤には大抵、「摩擦係数」と言う言葉が出てくるのです。
よく知っている言葉ですし、効果がありそうな言葉です。
他の添加剤にもそういった事に非常に力を入れた広告があります。
(だったら摩擦係数が一番低いテフロン系の方がいい事になってしまうのですが)、
これはあくまでも「低負荷」つまり、あまり 極圧がかからない状態の時の潤滑状態の時に有効な言葉で、
実際どれだけ「金属が摩耗する」かという「高負荷」には結構無頓着な言葉なのです。

エンジンの耐久性は、どちらかというと「ドライスタート」に代表される 「金属を削る潤滑域」の方が 大事で、
そのためエステルのように金属に対して極を持つ、つまりドライスタートさせない=油膜保持するような オイルが段々主流になりつつあります。
(エステルは多のベースオイルと比較しても低い摩擦係数ですが)
どちらかというと、「摩擦係数」を強調している添加剤は、
金属の摩耗量に対しては強調していませんし、
「金属の摩耗量」に関して強調してある添加剤は摩擦係数に対して強調していないという事が言えます。

 そして、もう一つは、金属の表面の粗さを改良して滑らかにしてしまうという効果を持つものが増えてきました。
マイクロロンもそういった効果があるそうです。
それが相当長く続くというわけですが、やっぱり首を傾げてしまいます。
今まで、体験したり、聞いたりした結果からの判断で申し訳ないのですが、
ワンタイムタイプでそれほど効果があった添加剤を 知らないのです。

金属表面はオイルの膜だけで接触を避けられるはずがないので、最終的に削れてゆくのですが、
それを1回切りで 何万キロもコーティング出来るなどとは信じられないからです。
もし、そうならばオイル膜が切れても そういった、膜があるので金属は直接接触はしないはずで、
もしそうなら、 金属の削れなどおきようはずはありません。

けれどメーカーのエンジン寿命は1.2−1.4倍なのです。ここでやはり首を傾げてしまいます。
ただ、「良いですよ」という評価ならよくわかります。
PTFEも確かに効果がある(滑らかになります)と 思いました。
でも、効果は3000kmまでしかわかりませんでした。

有機モリブデンの添加剤のデータを見ても3000km−5000km位の効果がはっきりわかります。
それぐらいの効果と割り切ってしまえば良い添加剤です。
こんな事を考えているうちに、マイクロロンは対象外の 添加剤になってしまいました。
悪い添加剤では決してありません。
高価だということと、説明に納得できなかったからなのです。


添加剤を大きく分けるとヨーロッパがエステルのようなタイプ(金属に極となりオイル膜を保持させる)で、
アメリカなどはポリマー系が主流です。
使われている添加剤の宣伝の中には多分、生産国が書いてあると思われますが、 見ればわかると思います。
これはどうしてなんだろうと考えたことがありました。
結論は出ていませんが、 モチュールや、エルフなどはフランス製ですが、「エステル系を使ってます」と書いてあるのに対して、
アメリカのオイルは「特殊ポリマー」という言葉が出てきます。
どうもこれはと思い聞いてみますと、「添加剤のメーカーの 生き残り」のためのようです、とのことでした。

例えば、クーラントを作っている「CCI」さんにお尋ねしたところ、
世界のLLCのうち多くが日本から出荷されているそうですが、もし生産業者が多くなってしまったら、
共倒れになってしまう 可能性も出てきます。
結構大変なんです。
オイルとかクーラントとかは、製造コストも商品化コストもかかります。
現在数多くあるオイルメーカーも数種類以上のオイルを作り、日夜研究を重ねています。

あまりにもひどい商品が売られないように、オイルを調べる機関としてAPI、ACEAがあります。
この事は逆にオイルメーカーの 保護かも知れませんが(認証費用は1000万円単位でかかります)、
基本は調べることが出来ないユーザーに対して いかにひどいオイルが売られていたかが、
過去にあったという事実の裏付けかも知れないと思うようになってきました。
ですから、オイルに最初から入っている添加剤を作っているメーカー も、安くて良いものを作るのに必死です。
よい製品が出来たとしてもコストがかかりすぎてしまうと売れません。
不必要に高価な効果ある商品も採用は難しいでしょうから。

 オイルについて調べてゆくうちに、
潤滑理論というものが100年以上も基本的に変わってない分野ということがわかってきました。
結構地味な変化の少ない世界のようですね。
ですから、新理論が出来、新商品が開発されたなら、
まず特許なり、学会にて発表なりがあるはずなので、 公にされるのではないかと思います。


「添加剤について」よく質問を受けますが、データがないので答えられない場合がほとんどです。
いわゆる「添加剤」と呼ばれる、チェック機関のない商品の場合は、
それでも ついうっかり買いたくなるような内容が盛りだくさんです。
オイルのようにそういった機関があれば納得して買えるのでしょうが、
納得するためには 購入しなければいけませんし、使ってダメなものもインターネット上では販売できます。
本当にうさんくさい商品と思われる添加剤が出回る理由は、どこかにその 下地があるからだとも思えます。

 すごいことを書いてある商品に出会った場合、
(潤滑学会に訪ねられると良いのかも知れません。 何年も前から研究された商品ならきっとその理論があるはずです)
まずは前にも書きましたが、納得出来ないことを書いてあるなら、
質問できるかどうか確認して、自分で判断できないようなら人に聞いてもらうのも1つの方法です
(インターネットではこういう情報が得やすいので便利ですね)。
決してそのページのインプレを出している人には聞かない方がいいです。
でも、わからないようでしたら、 --「使わないでパス」--した方がいいでしょう。

 よくある「得をする!」なんて考えは持たない方がいいでしょう。
本当に得をしているのは舌を出している人達ですから。
「添加剤で儲かるから=だます」ような世界になって欲しくありません。
「添加剤」で、本当に良い商品なら、きっとバイクや自動車が本当に好きで 書いている人達が黙ってないでしょうし、
そういうページにも「使った」となるはずです。
それから購入してもいいじゃありませんか。


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