肩の凝らない、しかし、嘘かもしれないページ21

エンジンオイルの添加剤は夏に効果的なのか

本ページの方で、オイルのグレードやら摩擦やら書いていますが、
オイルが「冷却剤として」機能しているという話しは充分ご承知のことと思われます。

 内燃機関ですので、もったいない話ですが、
せっかく作った燃焼エネルギーの大半を捨てなければ 装置自体を維持できないのが現在のエンジンの構造なので、
どうやったら良い結果が生まれるかということで、
オイルの高温域での油膜や、摩擦熱、冷却装置、
本体の可塑性(エンジンの耐久性)、などを各ページで書いてきました。

 大体に於いて、熱の発生はある特定域に限定され、
その温度の範囲も限定されて機能するのですが、
特に”夏場”には、エンジンにとって 過酷な条件になります。

 こういった季節にエンジンを熱から守るため特に、

が、必要になってきます。
旅先でオーバーヒートなんて最悪ですから、きちっとメンテナンスをしてお出かけください。

 全体のメンテナンス自体は、色々な箇所が点検項目に入るのですが、
それぞれについて詳しく書くことは 別のこととしまして、
ここでは、上記1.2.のメンテナンスについて簡単に書いてみようと思います。


冷却装置まわりの点検

直接、オーバーヒートに関連する箇所としては、「冷却水」がきちんとエンジンを冷やすようになっているかが 問題となります。
クーラントについては、リザーブタンクでの点検方法が簡単です。
年式や距離で一概に言えませんが

1.リザーブタンクが錆で極端に汚れていませんか
2.液の量はLOWレベル以上入ってますか
3.ラジエターキャップを開け、ラジエター自体の液量、錆の具合、は適当でしょうか

ということで見てゆきます。

 タンク内が錆などで汚れているということは、ラジエター内もエンジン内の通路自体も同じように汚れていると判断できます。
(そういった状態では、燃焼室の熱を外気へと伝達できません。エンジンにもオイルにも悪く、ノッキングの原因ともなります。)
整備工場でも、ガソリンスタンドでも滅多にしてくれないのが、このリザーバタンクの掃除です。
ですから、ラジエター内の状態を判断するために、どうやって綺麗にするかも大事です。
また、せっかく新しいLLCを入れてもこのタンクから錆が逆流するのでは なんのための交換かわかりません。
 
 

私は「ぼろ切れ」を利用しています。リザーブタンクの口から布を押し込み
水や石鹸水で(それでもダメなら砂利でも混ぜて)シャカシャカ振ると、結構綺麗になります。
もちろんタンクは取り外して掃除してください。
それからこういった作業はラジエター液の交換と同時が良いですね。
他銘柄のLLCを継ぎ足すのはあまり感心しませんから。
ラジエターキャップはエンジン・ラジエター内の冷却水の圧力を、リザーバタンクへ逃がす役割があります。
ラジエターキャップの位置が大体冷却水の一番上部になっていますので
、混じった空気などもリザーバタンクへ送られ、 冷えて圧力が減ると、
今度はリザーバタンクの冷却水をラジエターに引き込み、いつもエンジン内の冷却水の量が 一定であるように調節してくれています。
液は大体1割ぐらい増減しますし、
ウオーターポンプが高速で回ると(エンジン回転数を上げると)ラジエターホースなども多少伸び縮みしますので、
冷却水は出入りします。 水温が上がりやすいエンジンでは高速道路でラジエターキャップの圧力が無いと、
ラジエター内の冷却水を リザーブタンクへ戻してしまい、
オーバーヒート気味になります。

 大気圧と同じでは冷却水の出入りが自由になり、いろいろ不都合がありますので、
キャップには圧力がかかっても出入りできないように スプリングで圧力がかかるようになっています。
わずか1000円ぐらいの部品ですから、
ゴムの当たり面が痛んでいたり、スプリングが柔らかいようでしたら、 迷わず交換してください。

それから、ラジエターキャップを交換すると、ラジエター内の圧力は僅かに高くなるはずですから、
その後、ラジエター液の漏れなどに 注意してください。
今まで圧力がかからないで漏れがなかった箇所から「漏れ」が出てくるかも知れません。
その際は、「迷わず整備」です。

 次に、リザーブタンクの錆や汚れがひどくなっている場合は、ラジエターキャップの錆などを確認し、
ラジエターの口から内部をのぞき込んで ラジエター部に錆がひどく着いてないか、
ラジエターのコアに錆のかたまりや、石灰質上のかたまりが無いかを確認します。
いくらファンが回ってもラジエターで目詰まりして冷やせないようではオーバーヒート気味になります。

 ここで注意なんですが、錆がひどい場合、錆取り剤(洗浄剤)を使って良いか悪いかなんです。
下手に使用すると、各部の錆は剥がせますが、
1.その錆が返って目詰まりの原因になったり、
2.かろうじて錆などのため漏れずに済んでいた箇所から漏れてきたりする事があるからなのです。
あまりにひどい場合は、サーモスタットの交換もあわせて、各部の点検をした方がいいでしょう。

洗浄剤は特に、ラジエター内部に残らないように何度も水で洗ってください。
実際はサーモスタットを外し、 ヒーターコアに水道管をさして、充分水洗いするわけですが、
出来なければ、ラジエターに水を入れ、冷却水が熱くなるまでアイドリングをし、
その後ドレーンコックを開けて水を抜くといった作業になります。

ラジエターに約7回ぐらいは ドレーンにて交換するといったぐらい洗ってください。
ついでに申しますと、サーモスタットが正常な場合、ラジエターの水を抜く時、
「一度、排水の勢いが無くなり、すぐに また排水し出す」という症状が起きることがありますが
、これは途中でサーモスタットが開くため起こる現象です。 もし。
この作業をしていて全くこういった現象が起きないようであれば逆に「サーモスタットに異常があるかも知れない」 ということになります。
注意して見ていてください。

 洗浄剤についてわからない場合、きちっとした信頼できる整備工場や、
ディラーに相談してください。
そこら辺の判断は、「プロ」に 聞き、判断してもらうという方法が一番です。
オーバーヒートは「高く付く」からです。
普通なら効果の上がる洗浄剤も、判断なしでのむやみやたらな洗浄剤使用は禁物です。

仕事柄、中古車はサーモスタットやラジエターキャップを交換する場合が、ほとんどです。
もちろん汚れていますから、各部の漏れを確認し、リザーブタンクも掃除しています。
ひどい自動車も場合、ラジエターを外す事もありますし、ホース類も交換になります。
それぐらい気を使うのが、この冷却水まわりです。
中古車を購入の際はこういったところの確認も大事ですよ。

錆も少なく、良い状態なら、僅かに少ない程度のリザーブタンクの冷却水に水道水を(地域によっては、
水道水自体 ダメな場合もあります。)
継ぎ足してOKです。あまりにもリザーブタンク内の冷却水が少ない場合は どこかに問題があると疑ってください。
2年間でLOWレベルよりも極端に下がることは「まれ」です。
ただし、ラジエターのLLCを交換した2−3日後にエンジン内部のエアー混入のためリザーブの水が減っている場合があり得ます。
LLC交換後はちゃんと2−3日後に確認して於いてください。

 また、漏れていても冷却水の成分が固まったりして漏れを塞いでいることがありますが、
管の継ぎ目などの色からある程度 漏れを判断してください。
本当はこういったことのテストは、専用テスターを使うと良いのですが、
普通整備工場でも余程のことがないと保管されているだけの場合が多いのも事実です。
これは冷却するといったことに対しての 意識の問題なんですが、
オイルと同様あまり「金銭をかけたくない」というユーザーの立場上、省かれてしまうのです。
それに しっかりLLCを交換するのは面倒ですし、時間がかかるので、整備する側も高額には請求しにくい面があります。

 ただ、オイルに注意を払うならオイルの冷却をする冷却水にも気を使ってください。
エンジンやオイルの寿命にも 関係しますし、燃費にもパワーにも冷却はメンテする価値があります。


オイル添加剤のオーバーヒート防止効果

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