肩の凝らない、しかし、嘘かもしれないページ23

添加剤が効く効かないの個人差について

かれこれ20年以上添加剤とのお付き合いをしているのですが、不思議なもので、
同じ銘柄の添加剤を入れても、効く、効かない(”わからない”という返事)といった 答えが返ってきます。
実際私自身も”果たして効果が出ているのかな?”といった商品にも 出会ってますので、
そんなに感性が鋭いとは言い難いのですが、
それにしても 大多数の人が「これはいい!」という商品でさえ「わからない」という返事があります。
また、違いはわかるのですが表現が出来ない人もおられると思います。

 例えば、他社で1500ccのエンジンに15w−50のオイルを入れてもらい、
冬になってもそのまま使用していた人がオイル交換に来られ、5w−40を入れたとたん 「出足が軽くなった」といい、
「どんないいオイルを使ったのか」と聞きに来られたこともあります。
これは単に「粘度」だけの問題でしょうが、
ずーと15wを使った人には5wという粘度は 「オイルの品質」の違いに感じられたのでしょう。

 同じように、時々その車の状態によって粘度を変えることがあります。
敏感な人はすぐ分かり、 オイルが新しければそれで良いという人には、
全く気のつかない出来事であることが時々感じられます。

 ある女性ドライバーに燃料添加剤を入れたところ(お断りして、もちろん”モニター”で”ただ”で)
「こんなに走るのは怖い」という返事。そこで、乗ってみたのですが、
別に怖がる程のこともないのですが 確かにレスポンスが良くなり加速感は良くなっていました。
この人は1/3程ガソリンを残して満タンに した時が一番「いい」結果でした。

 また、ある人の自動車に(知り合いなので断りもせず)同じタイプの燃料添加剤を入れ満タンにして 走ってもらいましたが、
こちらは全く「わからなかった」との返事。

 車種も走り方も違うので同じ効果があるかどうかは疑問ですが、
それでも全く異なる結果に驚いたことが あります。


ともかくこういった個人差はどうして出てくるのでしょうか。
いろんな場面でそういった個人差という事柄に 出くわします。
料理の味付け、音楽の好き嫌い、色の好み、etc・・・。

 どれ一つとってもみんながみんな同じはずはないと思われるのですが、それにしても 自動車を扱う以上、
その性能が良くなることがいいと思うのですが、どっこいそうとも限らないということも 判ってきました。
一番多いのは「ブレーキの効き」。
これは調整などでもかなり変化するのですが、大体の傾向として男性の若い人は効く方を好み、
女性の 年輩の方はゆっくり効く方がいいみたいです。
もちろん例外もあります。 あくまでも個人的好みかも知れません。

 コーヒーなど約400種類もの「香りを出すガス」がありますが、
正直言って、こだわっている方なのですが モカならマタリとハラリの差が判る程度。銘柄品などは全く区別できません。
「ウッディ」「スリーナイン」なども 飲んだことありますが、おいしいというより「好き嫌い」だけです。
こだわる割には、インスタントがおいしいなんて 思う事も事実です。
缶コーヒーでも、暑い日には質より量。

 最近は、センサーで人間の感覚より一桁もそれ以上も違う正確な分析が出来るのですが、
人間はそれらを総合的にみて「コーヒーに香りだ」と判断しています。

 センサーなどは客観的に判断して、人間より確かな分析結果を出してくれるのでしょうが、
ところが、それが「好き嫌い」となるとどうしようもありません。

 添加剤などもそういった物かも知れません。確かに「好き嫌い」があります。
またこのページを見る人にとっては そうでないはずですが、「違い」などどうでもいい人も確かにいるのです。
そういう人にとっては全く 性能が良くなった事など眼中になく、どんなオイル&添加剤でも良いのです。
違うといったことなど興味が ないのですから、価値として認められず、比較するなんて気にもならないのです。

 ですから、100人に「どちらが性能的に良くなったか?」と尋ねたとして100人ともAという商品を 選んだとしても、
実際はBという商品も売れるはずです。
どちらも買わない人も出てきます。
現実はこんな様相を呈しています。


統計で出てくるグラフがありまして、よく中央が山になったものを見かけます。
「凸」をなだらかにした形なんですが、 心理学にも物理学にも出てきます。
中学校などで習ったと思いますが、「国語の成績のグラフ」なんていうテストの 点をグラフにしたものですが、
この形のグラフは、どの分野にも出てくるみたいです。
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「凸」をなだらかにした形」、これを「正規分布」といいます。

 統計学の中では、もっとも有名なものです。

 ある直線的な数値系の中で、ある要素がばらついて
いる場合、多くは、この「正規分布」で分布しています。

 私のようにメーカー勤めの人間は必ず頭を悩ませる
問題です。

 平均を頂点とし、頂点から分散の三倍まで離れた
範囲(つまり分散の六倍の範囲)に、全体の99.7%まで
の要素が収まります。

 理論は置いといて、どのように使うかと言うと、
少数サンプルから全体を推測するのによく使われます。

 少数サンプルの平均と分散を計算すれば、全体の
傾向がそれで推測できるわけです。
 全体の要素数に対して、サンプル数が多ければ、
多いほど確度が高くなります。

 例をあげましょう。

 100馬力のエンジンを一万台生産したい。
 試作品を十台(サンプル比10000:10=1000:1)
作成して、データを取ったところ、平均が103馬力で、
分散が1馬力であった。
 そうすると、99.7%の製品の分布範囲は、
100〜106馬力におさまり、これをOKとする。
 
 (これは、あくまでも例です。実際に発動機メーカーが
どのような方法で統計処理をしているかは分かりません。
参考程度に考えてください実際には、分散x3にさらに
マージンを設定したり、あるいは、公表スペックを平均に
設定して、分散を厳しくしていたり、会社の方針で
色々です)

 これを人間の感覚に適用できるかというと、可であり
不可であります。
 「+22好き」「+3好き」「-4好き」などと直線的に
数値化できれば、可なのですが、「すき」「まあまあ」
「嫌い」というように離散的な値をとってしまうと、
正規分布ではないのです。

永原さんからの資料です。どうもありがとうございます。

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株などの相場表、比熱のエネルギー分布表、知能指数の表、アンケートによる種々の表、などなど。
どうして山なりなのかいつも不思議に思っているのですが、
個人差というのも案外こういった表に出来ると思われます。
「量子力学における・・・」なんていう本にも何かの確率分布を表すとそんな形に出来る表があるはずなんですが、
いかんせん理系でないので「そうだったらいいな」的発想です。

ですが、ひとの心理を扱う分野ではかなりこういった形が多いのです。
これは、感覚やひとの一部分の能力にかなり「個人差」があるからだと思われます。

 優秀な装置を使ってさえ、測定誤差も加味しても、こういったばらつきは必ず出てきます。
こういった内容の本があれば読んでみたいと思うのです。
「個人差」という言葉は本当は好きなんです。

 仕事柄かも知れませんが、「よくなった」と思っていても、
ユーザーはよくなったと思わないことが 時々あるので面食らってしまいますが、
確かに、「ユーザーにとっての興味」と「整備する側の興味」とは 食い違って当たり前かも知れません。
食べるものに好き嫌いがあるように、一方的な判断はいけないのかも知れません。

 添加剤を書いて行く内に、そんなことを考えるようになりました。
「個人差」を大事にしてゆけるようなページでありたいと思います。

 話し替わって、ただいまウイスキーの「鶴」と「山崎」を比較して飲んでますが、
ただ単に、「両方ともおいしい」です。 


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