肩の凝らない、しかし、嘘かもしれないページ3

添加剤やオイルの宣伝内容は本当か?−その1

キャッチコピーには”○○kmオイル交換不要!!”とか、”某有名メーカー使用”など、
はたまた、”◯◯車に使用したら、◯◯良くなった”とか本当にびっくりするような、おまけに 良くなった実車データや、
”◯◯研究所の分析データ”という権威ある?報告書が添えてあったり
商売なんだな、この世界は・・・という感を強く感じます。

 さらに、他社製品との対比グラフや自社の製品の優秀性を記載してあるものもあります。
それらを見てみると、どんな添加剤やオイルでも本当に効くのでは、と、まるで不治の病の病人が
新薬を探し当てたように試してみたくなるのは、仕方ないことのように思えてきます。

 どんな添加剤でも普通のオイルに含まれる添加剤より、良い?成分が含まれていることが多く
その添加剤を入れているベースオイルもそこそこの品質ですから、今使っているオイルより悪くなることは ないと思いますが、
果たして宣伝文句のような効果が期待できるのでしょうか?
これは、誰もが悩むところです。

 ある意味で劇的に効果がない場合には、”だめだった”という人もいれば、
ちょっとでも良くなったら、”すごくいい”という結果を出す人もいます。
添加剤はその成分の内容によって、改善される箇所が変わりますので、
ぴったり合っていればいいのですが、全く違う場合は”ダメ”の烙印を押されてしまいます。

 ひどい場合、例えば、プラグコードの劣化(リーク)が原因の場合、
エンジンが吹けない、エンストする、 坂道でもたつく、燃費が悪くなった、オイルがすぐ汚れる、アイドリングがばらつく、etc・・・。
いろんな症状が出てきますが、こんなもの添加剤で直るはずがないのに、
添加剤で直るだろうとせっせと放り込む場合だってあり得ます。

 まずは、基本的な性能がいい状態であるかどうか、確かめる必要があります。


あまり宣伝に批判的になるつもりはないのですが、データを見ていると、
首を傾げたくなるような ものがあったり、効果を期待して購入したのに何度使用しても改善されなかったりすると、
特に高価な添加剤 を使用した場合など、情けなくなります。

 ましてや、私の場合仕事が仕事ですから、確実な商品をテストしながら見つけなければならないため
(もちろんユーザーのためですが)いい加減な結果や効果では困るのです。

 まず、いろんな広告や、業者、商社からの口コミなどからデータを集めます。
ユーザー用のデータではなく 業者向けのテストデータ集や成分分析表やその解説書をもらい、
”これは良さそうだ”という商品をテスト用として 大体ケース単位で実車モニターします。

 モニターしてくれる人は自動車関係の人で、友人の整備士やディーラーの工場長、セールスの方々です。
車についてかなり詳しい人達ばかりなので、大変助かっています。
整備で困ったときなど、何かと話し合うことも多いため、
ディーラーとしては購入しにくい 添加剤などを必要なときはおわけする場合もあります。
たとえディーラーのユーザーさんでも 整備は安くあげたいですから、工場長に頼むのでしょう。

 実際に良くなった例はかなりの台数になります。


試したことがある添加剤については別のページで申し上げていますが、
特にエンジンその他を修復・改善するかどうかについてはあまり説明していません。
もしやと思い修復するかなと試した具体例が10、20台そこらのデータではあまり正確とは言えないからです。
また、添加剤を専門に売っているわけでもないので、商売としてというより ”◯◯という添加剤はこういう症状に効くよ!!
”△△というオイルはなかなか 耐久性もあり、性能もいいよ!!”と、
どちらかというと”ユーザーサイド” に立った判断なのです。

 あくまでも、基本は整備を主体にしてますので、添加剤は補助役なのです。
しかし、時として添加剤で”整備”になったりすることもあります。
いいオイルといい添加剤を探し出していく内に、修理がほとんどなくなり、
消耗部品ぐらいの整備になってしまったのも事実です。

 もちろん、自動車の部品性能が上がったという事実はあるのですが、
他の工場と比較しても明らかに少ないのです。例えば、廃車になるまで乗るユーザーさん 達の走行距離は15万kmなんてざらです。
それでもエンジン自身は静かでとても廃車になるエンジン音ではありません。


本当に効果があるかどうかは、実は本当に整備の行き渡った車両で、
添加剤なり オイルなりを使用してどんなデータを出すかが本来の評価になると思います。
例えば、下記に書いてある事の反対をすれば”とても良い添加剤”が出来上がります。

とはいうものの、ある程度どんなものかのアウトラインはほしいものですから
つい、広告宣伝内容を鵜呑みにしてしまうのが常です。私もそうでした。

 知り合いの車関係の人は整備も出きるせいか、一番安心な添加剤として 二硫化モリブデンしか使いません。
安いし(1本1000円前後)昔から整備には 使われていたし、
それほどエンジン音も気にしないのでこれ以上音を小さくしなくても いい・・・。ということです。
しかし、添加剤入れているからといっても、きちんとオイル交換はしています。
別に私も それはそれでいいと思います。
普通に乗るのだったら、添加剤などなくてもオイルをきちんと 交換すればいいと思います。
いい状態をのばし、故障しないようにを考えるなら添加剤を 入れてもいいでしょう。
添加剤については自動車製造メーカーやディーラも積極的になってきている事も事実ですし、
エンジンの故障もなくなりつつある状態ですから、添加剤を入れておけばまあエンジンは大丈夫、
整備売り上げも伸びるし、といったところが本音のようです。
けれど添加剤は故障を直す魔法の薬ではありません。
あくまでも添加剤は本来きちんと整備した次の事柄なのだと思います。


宣伝内容で1番多いのは、(1)燃費を良くするという効果です。
もし、プラグも良く、コードも良く、アイドリングも安定していて、完全燃焼に近い いい状態の車があったとします。
このときの燃費は新車のカタログデータのほぼ 70%ぐらいだと思われます。
カタログに10.15モードで12km/リットル出ているとしたら としたら実際走行ではは8.4km/リットル前後になることが多いです。
何故かというと、あくまでテストデータなので 加速や停止などきちんとできるし、
運転している人もその道のプロですから 同じモードで走ったとしても残念ながら出ません。
けれど添加剤で燃費が良くなるというデータは 悪い方が基準になりますので
30%燃費が向上しても8.4km/リットル×1.3=10.92km/リットルになります。 12−10.92=1.08の差が出ます。

 この燃費向上はカタログデータに近いのですが、それでも1km/リットルの差があります。
もし、エンジンオイルに20%燃費向上するという添加剤を入れ、 ガソリンに同じく20%燃費向上するという添加剤を入れ、
エアクリーナーに5%燃費向上するという製品を使い、 15%燃費改良するという燃料改善装置を取り付けて見たとします。
20+20+5+15=60ですから、現在10km/リットルの車とすると、 この車は16km/リットルになります。
果たして本当になるのでしょうか。
多分無理だと思います。 せいぜい12.5〜13km/リットルぐらいと思います。

 走行テストで燃費が一番いいのは、新車の走行5000kmぐらいまでのようです。
(慣れていないためおとなしく走行するためか、新車なのでエンジン慣らし走行をしてしまうせいか、 大切に扱うのででしょうね)
それから、普通にオイル交換をして、どれだけ燃費が落ちないかを見てみるといいでしょう。
あるディーラーでのテストでは新車(T車2000ccAT)の最初の1年で9km/リットル弱から1km/リットルぐらい大幅に燃費が落ち
8km/リットル強、 その後はゆっくり2年間で1km/リットル弱ぐらい燃費が落ちました。
3年間で8.9km/リットル→7.2km/リットル。約20%ダウンです。


質問がありましたので、追記します。どこまで燃費は落ちてしまうかということですが、
データが取りにくいので どうしても、今までの経験からの話で恐縮です。

 添加剤を入れないでの場合、エンジンの可塑性についての研究論文を参考にしますと(確か高知大学と思います。 ちがってたらすいません。)
全シリンダーの圧縮比が6割を切るとエンジンは不調になり、 燃費測定の出来る状態ではなくなるそうです。
自動車は排気量などそれぞれのエンジン構造によって 、
多少圧縮比が異なります。メーカーのきちんとしたデータでさえばらつきがあるようですので”誤差” を科学してください。
憶測では新車からの燃費の60%あたりが最低のところと思われますが。

 新車からきちんとメンテをしていれば、あるところから、燃費は悪くなりません。
それがどこかと言われると 困るのですが、例えば、15万キロ乗った(メンテの行き届いた)NA、GX71、マーク2の燃費は、
7.0を境に 普通は極端に落ちません。
NAで5km/リッターしか走らない2000ccのAT車があったら教えてほしいものです。
メンテをしてれば、これ以上燃費の落ちないというところはきっと見つかるでしょう。
オイル添加剤を使用しないでも、普通のオイル交換をまめにすれば実際RB31あたりのエンジンの耐久性能は(走る条件で異なりますが)
約30万キロ以上です。

 何故、そのぐらい走れるかは、設計段階でテストされてますので、私も詳しく知らないので、申し訳ありません。
けれど、最高距離は(SR18のタイプのユーザーで)走行可能23万キロだったと記憶してます。

 オイルの管理が良ければ、エンジンのシリンダーのなど、
削れるところは一番先にほぼ削れ(オイルリングが シリンダーを押す圧力は新車の状態が一番高圧つまり高コンプレッションになっています。
”あそび”と 精度不純はある程度改良され、”かたさ”がなくなることが分かるでしょう。

 ですから、良い添加剤は新車から入れても、新車で出したデータより良くなる場合があります。
トヨタ車はそのためかどうか知りませんが(多分リスクマージンでしょうね)新車から”有機モリブデン”を 充填しています。
ですから、多分トヨタ車は、最初オイル交換をしてしばらくは添加剤がついた状態ですから、
燃費テストをする場合ちょっと落ちるまで気を付けてください。

 しかし、添加剤の世界ははまりやすいですよ。


オイル添加剤を入れた自動車は上記テストしていた同じモデルの自動車で、
比較のため走行5000kmまでは添加剤を入れず ほぼ同じ燃費だったので、オイル交換に合わせ添加剤を入れてテストしました。
最初の8.9km/リットル→8.0km/リットルの状態から余り変化しませんでした。
3年間で8.9km/リットル→7.9km/リットルこちらは約11%ダウンです。
もし、上記添加剤を使用してない自動車に添加剤を入れると、7.2km/リットル→7.9km/リットルとなることが予想期待され、
約11%燃費が 向上すると思われます。

実際の燃費のデータはこんなものでして、新車の一番状態の良いときのおとなしい運転から あまり良くなることはありません。
もし新車の状態からあまり燃費が減らないようなら
その人はかなり省エネ運転をしている人か、その納車された自動車がかなりコンディションの良いもの、といえます。
私の自家用車では新車(N車2000ccAT)から6年間で 8.2km/リットル→7.2km/リットル、燃費が落ちたのは最初の2〜3ヶ月からでした。
添加剤のせいかその後ほぼ7.5〜7.0km/リットルを推移しています。
冬はたまに7.0km/リットル を切ることもあります。アイドルアップのせいです。
最初、添加剤を入れてないときの燃費は7.0km/リットルを切ることの方が多かったので
約0.5km/リットルぐらい 燃費が向上したことを覚えてます。
約7%の向上です。

 ただし、夏の高速道路では13km/リットルを出したことがありますが、
その時は出来うるすべての 省エネ方法を使ってのデータです。
(4輪ともホイールベアリングのグリスまでも 添加剤のものと入れ替えてます。)
このデータでいえば約85%の向上というとんでもない燃費アップ になってしまいます。
けれど実際添加剤を使わなかっても10km/リットルぐらいは出たと思いますので、 それから計算すると30%の向上です。
高速道路でスムーズに走ればカタログデータでは確か13.5km/リットル(60km定速) ぐらいあったと思いますので、
それでも、なお、カタログより悪い(?)燃費ということになります。

数年経った自動車の燃費はというと、上記から類推出来ると思いますが、
新車より30%近く燃費がダウンした状態です。
ですから、添加剤でもとの状態に近づけば約30%ぐらいまで、 なんとか燃費アップ出来そうということになります。


以上は信頼できる添加剤などを使い、コンディションの良い状態でのテストです。
テスト車そのものも 比較的新しく、かなり省エネ設計がメーカーサイドで出来ているエンジンを使用していますのでそれほど 燃費は向上しません。

 けれど、古いタイプのエンジンの場合は、設計も古く燃費改善が出来る余裕が多くありますし、
かなり走行していたりすると 燃費も落ちていますので、添加剤などで非常に向上する場合が多くあります。
また、オイルの粘度や性能だけでも良くなる場合が多くあります。(SAE粘度を参照してください。)

 ですから、宣伝広告にどんな自動車をテストに使ったかは、データに大きく影響が出ますので、 よく調べて見ると良いと思います。

 もう一つ、参考になるデータですが、今まで友人が乗ってた自動車(62年式1800ccAT、12万km走行、平均11km/リットル)を、
少し整備し、他の人が乗ったのですが、下取りで廃車する直前(16.8万km)まで平均16km/リットルをコンスタントに走りました。
(余談ですが このとき下取りのこの自動車の状態があまりにも良かったので、
セールスの人がこの添加剤を自分の自動車に入れたいと いって来ました。
この内容は”添加剤を使用し続けたおかげで”と宣伝するでしょうね、普通だったらね)
使用オイルや添加剤などは同一のものを使ってますので、使用走行パターンによる差と考えられます。

 燃費が上がるかどうか、こちらの方が影響が大きそうです。
あくまでも少し良くなったら良いなぐらいの 軽い気持ちで取り組んだ方が良さそうです。


もう一つ、燃料系に入れる添加剤があります。こちらは専門で扱ってこなかったので、 あまり、データがないのですが、 などがありますが、どれも悪くはないようです。
基本的には性能などを 新品の状態に近づけるためのいわば”メンテナンス”商品として、 当たり前に使ってきました。

 このうち燃焼効率や燃焼スピード、オクタンなど変えるタイプは、 効果が加速感で味わえますので、”使って良かった感”が強く出ます。

 また、添加剤の中でも、2ストには入れるなと書いてある場合、添加剤それ自体がが燃えないのか
または、燃えると困るようなトラブルの原因になるのか、
さらには、燃えるが有害物質を出し、公害の 原因になるのか、ということも考える必要があります。
(2ストに入れても良いエンジンオイル添加剤は滅多にありません。) 知る限りGRPだけです。
薦められる理由の1つにもなってます。これは、メーカーの自信のほどが分かる資料にもなります。
無公害をうたっている商品でさえ、2ストには使うなという場合の理由がよく分かりません。


際限なく続きそうです。次のページへ

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