肩の凝らない、しかし、嘘かもしれないページ4

添加剤やオイルの宣伝内容は本当か?−その2

燃費に次いで多いのは(2)パワーが上がるという キャッチフレーズです。
これについてはなかなかデータが取りにくく、 雑誌などを信用するしかないのですが
雑誌などもいわゆる”やらせ”的なものがあったため、あまり信用できないかなと思います。


さて、と、いうことで、性能アップのデータの見方なのですが、 などが記載されているかを調べた方がいいと思います。 販売元もデータとしては 「広告」として使えそうなものを選んでますので、
パワーが上がる率の少ない商品は パワーについては控えめに表現してますし、
その製品の「売りの性能」を 中心に書いているはずです。都合の悪いことは書かないのが普通です。
それらを元に判断を下してください。 もし、不安ならデータを資料請求して送ってもらうと良いでしょう。

 ”インプレッション”というのは判断が非常に難しいものであまりお勧めできません。
とくに、使用報告などというのは”あて”にならないものも多くあります。
インプレッションはユーザーの期待度とのマッチングが中心となりますので 非常にわかりやすく記載されているなら
参考程度に見るぐらいの気持ちで。

 ですから、オイル選びと同じように、自分の車に合う添加剤を見つけるには、
信頼のおける業者に聞いてみるという事も必要です。

 その理由は、オイルの状態を見てきた経験です。それと、自分のところで使ってきた オイルがどんな車種に合うか、
耐久性はどうかといったノウハウを持っているからです。
ですから、ユーザーサイドに立つ業者かどうかは、使用しているオイルの銘柄や SAE粘度やグレード、
売値を見れば分かってきます。


さて、パワーが上がるということは、一体どういうことなのでしょうか?

 以前はほとんど分からなくて、ああでもないこうでもないと、悩んでいました。
実は、これは意外と簡単な事だったということに気が付きました。
エクセルギーという考え方で見てみると分かり易いようですが ちょっと難しいので、また別のところで紹介しますが、
無駄な熱効率を有効にするということです。

 基本的には、ガソリンエンジンは燃焼によって熱量を仕事量に変換する「変換器」 なのですが、
浪費の多い機関なので、無駄がありすぎるわけです。 ガソリンを燃やした30%ぐらいしか仕事が出来ないわけです。
でもって、ちょっとパワーを上げようとすると、極端にパーセンテージが下がるわけです。
有効にパワーのみを引き上げようとすると余計な「変換器補助器」(ターボやEFIなども含む) が必要になりますのが 、
今あるエンジンにそう安々と着けられないわけでして・・・・。
今のままの状態からロスになっているものを引くことでしか、パワーは上げられません。 そのロスとは、

などです。
オイルや添加剤で出来ることは、内燃機関でのロスとそこでの摩擦抵抗を 減らすくらいで、
全体の約1〜2%ぐらいだと思われますが、30%以下になった エンジンの効率を少し戻した上に1〜2%加われば、
”大したやつ”になるのです。
まして、良い状態なら1〜2%は最高出力としては10%に値しますから、
感動ものかもしれません。ただし、熱効率は極端に悪いはず=燃費最悪ですが。

 いや本当はそれが目的でなく、実は”新車の状態を維持する”事が目的じゃないのかなと 思いますが、どう思いますか?


どう考えても、本来のエンジンの実力から下がる一方ですから、サーキットではチューニングが 行われ、
エンジンのオーバーホールも頻繁にされるのです。
それは、競技の世界での話でして、普通の汎用車に求めるのはちょっと車が かわいそうな気がします。
メンテナンスをしっかりやってあげる事の方が、 大切です。

 エンジンはメンテが極端に、し難いところですので、性能維持や 性能アップに関して、
オイルや添加剤に頼る方が安上がりという理由だけなのでしょうね。
もちろん、車が古くなって、すでに性能が落ちてきた場合、 修復に近い効果や現状を維持させるための効果 があるなら、
使った方がいいのかもしれませんが。


パワーを戻す、上げるには、摺動面の摩擦係数を減らすタイプや圧縮を上げるタイプ や、
金属表面の凸凹を平坦に処理するタイプ、またオイル自身の抵抗を軽くしてやるなど いろんな方法があります。

オイルの抵抗を小さくするのは、一番簡単な方法です。 例えば10W−40を今使っているなら、
5W−30にしてやれば多分、エンジンは軽くなります。 しかし、柔らかいオイルは上質でないと、
高速回転域でオイルの油幕切れや 圧縮漏れなどが起きることがあります。
また、メカノイズも大きくなるかもしれません。油膜の圧力が早く下がる可能性もあります。
出来れば 10W−40からは5W−40にした方がいいと思います。古い車で、走行距離が多くなっているなら、
15W−40の方がいい感じの場合もあります。この場合はオイルの抵抗によってロスしてるより、
圧縮が上がるためのパワーアップの方が大きいためですが・・・。
この辺は実際に試した方がいいでしょう。 オイルの代表性状を比べていけば感じはつかめます。

 難しいのは、オイルの劣化の度合いとかフィーリング的なことです。
オイルが劣化していても気が付かないでいると、減摩剤や粘度維持剤などオイルに元々含まれている
添加剤が加速度的に劣化してゆくので、エンジンの焼き付きやオイルライン に老廃物がたまってきます。
この劣化の目安=オイル交換というのがどうやって分かるのか、 依然私も分かりません。
メーカーの指示通り交換していれば一応安心と思っている方も多いのですが、
けれどメーカーの保証というのは新車から5年間で、かつ、走行距離も5万kmまでです。
(自分の自動車の保証書で確認してください。)

 そしてメンテナンスは メーカー系列の販売店で受けていなければなりません。
自分でメンテナンスしてもダメです。 重要な箇所は そんなぐらいの距離で壊れてしまうとは思えないのですが、
メーカーのリスクを回避するためには 仕方ないかもしれません。
そしてそれぐらいの距離なら、 メーカーもオイル交換を長く指定しても大丈夫なのです。
劣化しながらも、エンジンはちゃんとかかるでしょう。

意地悪いのですが整備点検に出したときオイル交換してから1000kmしか走行してなくても、
交換記録がないとオイル交換されてくる場合があります。
つまり整備士もオイルの劣化が分かりません。
けれど、本当に1000kmしか走行してなくてもオイル交換する人がいるのも事実です。
最近はオイルの劣化を測定する器械も出てきましたので、ある程度劣化の判断は出来るかもしれません。
塩基価を調べたり、オイルの色を見たり、摩擦係数を測定したりする器械ですが、 果たしてどうでしょう?
本当に悪い状態の時だけしか判定できないのではないかと思ってしまいます。

 一般的には半年か、3000〜5000kmぐらいのオイル交換が普通にされているわけですが、
オイルの質も良くなってきたし、値段も少し高くなってきたので、少しのばす傾向が出てきています。
車の性能も部品の耐久性も確かに向上してます。
少しぐらいなら別に20万kmも乗るわけでもないので 大丈夫と思います。


実はオイルの劣化は確かにあるのだけれど、
オイルにこだわっている人の 基準になっているのは、”フィーリング”なのだと思います。
普通のオイルの摩擦係数は0.2ぐらいになるのですが、
添加剤などを後から入れると0.1以下になる場合は 体感できるほど、いいフィーリングになると言われます。
高級添加剤には、必ず これぐらいの効果はあります。
そして、この摩擦係数を下げると言う効果が商品の ”売り”にもなっています。

 しかし、それだけで、商品の良さが決まるとも思えません。
私の知人が勤めるところの某外資系家庭用品会社のTVでのCMを見て、
いつも不思議に思ってたことなのですが、 「主婦の◯◯%がこの洗剤を最も白く・・・」と言うコピー。
絶対に100%にはならないのです。

 実際、色を感じる目の細胞には、(例えば”赤”として)、
2つの種類のアミノ酸の結合の仕方があり どちらのアミノ酸を使って細胞が出来ているかによって、
僅かに光の波長をとらえるバンドがずれるのです。

 これは生活に支障がないぐらい僅かなずれなのですが、人によって「見える色合い」 が、違っているのです。
(最近分かったことらしい、詳しい方教えてください。) オイルに関しても同じ事が言えそうです。

 一見、個人差が多すぎるため、客観基準で測定できそうもない、この「フィーリング」は実をいうと かなり、
重要な要素となって車づくりに関わってきました。
例えばデザインなどが良い例でしょう。
また、エンジンや排気の音質も結構好き嫌いがあります。
なにが何でも、性能重視で自動車は作られてはいません。

 オイルに関してしぼってみます。
オイルテストなどをしていると感じるのですが
Aという商品は、SJのグレードの100%合成オイルですが、
1000kmぐらいから フィーリングが劣化してきます。(そう感じてしまいます−フィーリングです。)
性能的には問題はありません。

 BはSJのグレードの鉱物油ですが、最初は”良いオイルだな”ぐらいなのですが、 飽きがきません。
フィーリングが良いみたいに思えてきます。
本当にオイルが劣化しているかどうか 分からないまま、2000km以上乗ってしまうのです。

 もちろん、普通なら100%合成オイルの方が代表性状なども鉱物油に比較すると、 データ上、優秀なはずです。
ですから、”B”と言うオイルはかなり良質なベースオイルを厳選 (=ナロウカット)して
オイルのブレンドもうまく出来ているのだと判断できます。

 日本は原油を輸入に頼ってる理由もあり、様々な原油が入ってきています。
中にはオイルに向かない原油もあります。オイルに向いている原油だけから ベースオイルを作っているわけでないので、
ベースオイルに向いてない成分が混ざったまま ベースオイルを作らざるを得ません。
(原油の埋蔵量も減る一方ですから、オイルメーカーも 原油の質が段々低下してきているといっています。)

 そのため、ベースオイルの”水素化精製”をしてオイルの質を向上させざるを得ません。
これは、コスト的にも助かるわけです。100%合成オイルよりも安く出来、鉱物油ベースよりも 添加剤を少なく出来るからです。
もちろん、100%鉱物油でも鉱物油ベースに使える部分すべて精製するのではなく、そこからさらに 精製し直し(=ナロウカット)、
さらに良質な鉱物油にすることも可能です。
そこから出来るオイルは 100%合成オイルとはまた違った味わいがあります。
けれども、こういった鉱物油は100%合成オイルとほとんど値段が同じくらい高価になってしまい、
なかなか、市場には受け入れにくくなっています。

「GTL(Gas To Liquids)」という石油の代替えから、FT油も出来るようになってきましたが
この時点ではまだ先の事と思われます。
商品的にはススのでない灯油や一部のエンジンオイルなどに使われております。
またいずれ。
 粘度に関していえば、鉱物油より合成系の方が柔らかい割に油膜もしっかりくっつくし、
粘度を下げやすい(省エネになりやすい)ので、メーカーもどうしても合成系へ目が行ってしまいます。
様々なテスト結果からも一般的には確かに合成系の方が良い結果を出します。


「フィーリング」が、難しいと言う理由のひとつには、 比較データに現れにくいものが対象となるからです。
そして現実には比較するエレメント自身が100%と言うわけには行かないからです。

 ですから、個人的と言われようが人から何といわれようが、良いと感じたことは「いい」と言う事も 大切な事だと思います。


段々、変なふうになってきたので、話をかえ次へ進みます。


際限なく続きそうです。 次のページへ

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