肩の凝らない、しかし、嘘かもしれないページ5

添加剤やオイルの宣伝内容は本当か?−その2の続き

パワーを戻す、上げるには、摺動面の摩擦係数を減らすタイプや圧縮を上げるタイプ や、
金属表面の凸凹を平坦に処理するタイプ、またオイル自身の抵抗を軽くしてやるなど いろんな方法があります。

 前ページではオイルの粘度についてだらだら書いてしまいました。
今度は摩擦係数を下げる事について見てみます。(まただらだらです。)


摩擦係数を減らすには、2つの物体の間に 液体や気体または固体が入り、2つの物体を完全に接触させなければ良いわけです。
詳しくは HPの図式や説明を読んでください。
2つの物体が完全に隔てられていれば流体の粘性が摩擦となるだけなので、流体摩擦となり、
摩擦係数は0.001以下です。
例えば、フロッピーの磁気ディスクとヘッドの 間の摩擦などがそうです(空気と言う気体の潤滑剤の膜)。
また、ターボの軸受けや、タイヤの軸に使っているベアリングや、エンジンのコンロッドに使われる メタルベアリングなども、
異物がなく、オイルの膜がしっかりあって、 ”動いているとき”は、流体摩擦の方に入るでしょう。
このころがり摩擦は、 荷重に比例して摩擦係数が増えるという実験則が成り立ちます。

 しかしエンジンのピストンやシリンダーはすべり摩擦になります。
また何らかの形で すべり面が必ず汚れてます。
さらに荷重もかかり、オイル膜が流体的な振る舞いを示さないほど 薄くなりやすいので、
実際、流体摩擦は起こってないというのが本当の姿です。
(温度による摩擦係数の増加については、資料がないのでここでは無視します。)
境界摩擦に入るため、オイルに極圧剤や固体減摩剤などを入れると良くなるのです。


すべり摩擦が起こる面に潤滑剤を加えると、摩擦係数は下がるのですが、どれくらいの 摩擦係数になればいいのでしょう。
実際は、0.1以下になればいいわけです。
テフロンなどは0.015と極端に低く、氷の摩擦係数(0.04)より少ないと思われています。
ところが、実際は氷の方は水の膜があるため、浮いた状態になると本当は 流体摩擦の0.001以下となるんですネ。
これは、ハイドロプレーニング現象と同じです。
ただ、現実では滅多に浮いた状態にならなし、つまり膜が薄いし、 荷重も大きいため
摩擦係数が上がるわけです。

 テフロン系潤滑剤が他の添加剤で否定される実験では、必ず極圧テストが出てきます。
つまり、テフロン系は”圧力に弱い”と言う欠点を持つため、オイルの極圧テストと同じ 圧力程度しか耐えられないのです。
氷の場合も同じです。
ですから、それ以上の極端な圧力では、
必ず”測定不能=ロック状態”と言う、テスト結果が出てしまうのです。

 エンジンオイルに使用される状態の圧力なら、テフロンは摩擦係数を確実に下げます。
この辺りは、固体潤滑剤どれもが多分”摩擦係数を下げる”理由と同じ現象と思われます。
セラミックの場合はころがり摩擦です。
セラッミクのような”金属より堅い”粒子が摩擦係数を”売り”にしているのもこのためです。
ただし、極圧の元では金属を削るかもしれませんが、ロックしてしまうより ”まし”とも思います。

またセラミックの粒子が元々の金属の表面の”荒さ”より充分 小さく加工されているなら、
表面を削るのですが同時に鏡面仕上げのように するので、そのためさらに摩擦係数を下げます。
(金属同士が直接くっつくような鏡面ではだめなのですが、実際はオイルですから油膜があるのでという理由です。)
板金塗装の時の塗装面の最終仕上げは マイクロコンパウンドを使用してますがそれと同じで、
粒子の大きなセラミックは かえって傷が付きます。

セラミック粉末の中でも特に超微細の粉末を、 セラミック会社より分けてもらった 事があります。(提供:TKエンジニアリング梶j
ファインセラミックと言われるものを成形するのに用いる工業界用です。
新車に近いものには良いみたいです。それでも、古い、 過走行車にはあまりお勧めしたくありません。

 この裏話は(ソースにのみ表示されてます。興味ある方はどうぞ)


摩擦係数を下げるには、
接触面の間に
(1)滑りやすいものを入れるすべり摩擦→ころがり摩擦にする 滑りやすいものをはさむ・など)方法以外に、
(2)接触面そのものを、なめらかにする事でも、 効果がでます。
これには、2通りあり、 と言う方法です。
”圧縮を上げるタイプ”は上記の(1)(2)どちらかに”コーティング膜を形成する” 事が加わったものと見ればいいでしょう。

 この辺りについては、別のページに任せるとします。 (まだ工事中なので−−いい加減ですみません) 


ピストンでの圧縮の仕方は HPの方で図式してますので参照してください。
リングの外へ押す力が大きすぎると、シリンダーを削りやすいが圧縮は保たれ、
小さいとシリンダーは削らない代わりに圧縮はオイルによる粘度に強く影響されます。
また、リングの動き自身も摩擦に影響を受けますので、 スラッジを取り除くことを含めて、
摩擦をへらすことは 、エンジンの性能に直接関係してくるわけです。

 ことさら添加剤と言うまでもなく、オイル管理が重要視される理由には、 このスラッジという厄介者がいるためです。
技術や文化などは積み重ねの集大成 で進歩していっているようなので、
まずそこに”洗剤を入れて”落とす、または”汚さない” 事から始めました。
次に摩擦を減らす事を考え、 部品を壊さない事へきたわけです。
その次は・・・。 多分、いろんな意味を込めて、”地球にやさしい”と言うことになるのかもしれません。 特にオイルに関しては、

と言うような、オイルや添加剤がさらに増えてゆくと思われます。


話戻って、”では自分の車はどうしたら良いのか・・・。”

 このことに対しては、正直言いまして、答えが出せません。
何を目的とするかで、答えが変わるからです。
スピードを競うレースなどでしたら、それなりの答えを誰もが持っているでしょう。
デザインを中心に見る人には、メンテナンス性より性能よりもまず”形”でしょう。
なにが何でも添加剤をと考えるのならオイルメーカーが真っ先にするでしょう。

 ”どうしたら自分の車を◯◯する事が出来るのか”の参考になればとは思ってますが・・・。
私としては、職業柄、いつまでも新車のような性能を持って乗って戴けたらいいな、と思いつつ 仕事を続けてゆきたく思っております・・・。


商品購入にあたってのアドバイス

インターネット上で販売をしている商品については、
最低限、TELや質問が出来る商品であることが、 目安となります。
宣伝内容に続いて、いきなり購入方法などのページが出てくるものがありますが、
添加剤などはオイルに混ぜて使ってしまうので、もし、 その商品の宣伝性能が”うそ”であっても返品やクーリングオフなど出来ないでしょう。

 販売業者が、その製品の性能の上限と有効性については一番よく知っているはずです。
もしそれを知らないで、 売ってるとしたら、宣伝など出来るはずないと思っています。
販売業者の良心を信じて、 かつデータなどの有効性や、 真実性を確かめられるような販売をしてもらいたいと願っています。
ただしデータ自体が載って無いという添加剤は避けましょう。

 添加剤は性能を理解できにくい商品ですし、
(企業が使う場合、 その企業では数ヶ月以上テストしてから判断します。
6年以上テストした会社もありました。 それぐらい購入を検討します。)
販売価格もどうしてその定価がついたか理解し難いところがあります。

 商品説明がしっかり出来る商品かどうか、しっかり確かめ、
いい加減なようでしたら使わない方が無難でしょう。


際限なく続きそうです。 次のページへ

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