肩の凝らない、しかし、嘘かもしれないページ6

添加剤を安く思うかそれとも高いと思うか

市場にはたくさんのオイルやら添加剤が出回っています。 どの添加剤が性能の割に安いのか、または高いだけなのか、考えてしまいます。 オイルについては最初の方で見てきましたが、 果たして添加剤の方は一体どうなっているのでしょう?

 結論から言うと、話は終わってしまいそうですが、やっぱりある程度業者の 仕入れ値に関わってきてしまうのです。しかしそれは製造値→流通値→小売値 の間のマージンだけであって、性能とはちょっと異なるかもしれません。

 仕方のない話ですが、添加剤はそれ自身でひとつの会社が作れます。例えば ”有機モリブデン”のところでも書いてますが、本当に優秀な有機モリブデンを 造っているメーカーは世界でもアメリカと日本だけと言われています。その メーカーがいろんな会社に原材料として提供しているわけです。

 商品名が違っていてもほぼ同じ内容の商品も多くあります。 実際、オイルだって製造メーカーは各社の純正品を造りながら、 添加剤のブレンドなどを企業秘密にして 出来上がっています。外資系メーカー製品も日本製だったりします。

 よく分かるのはPCです。分解せずともふたを開けるだけで、様々な国の メーカーのロゴが目に入ります。しかし、そのようなパーツとは違って オイルやら添加剤やらは成分が企業秘密なので一部だけしか成分を表示してない場合が ほとんどです。

 まして、薬とは異なり、どの成分がどういうふうに効くなどとは、余程の理由がない限り 説明されません。こういったことがあるため、使ってみるしかないのです。 使ってみて、効いてほしかったところが良くなれば満足がゆき、満足の度合いで 安い高いがはじき出されるブラックボックスと言う感は否めません。 もし、100%満足なら(1000円で流通されている商品でも)、 小売値5000円に満足でしょう。反対に製造コストが非常に高く流通値3000円 でも、気に入らなければ小売値4000円でも高く思えてしまうのです。ひどい場合は 無難な添加剤を寄せ集めて高価なものとして売ることも可能です。

実際、製造費自身も原材料値も分からないのですから、いくらの小売値がついていても 本当にそれが優秀な?添加剤か、見分けがつきません。高そうな成分だと知っていても 普通”◯◯が入っています”とだけ書いてあるだけで、どのくらいの割合なのか書いてもいません。 あるメーカーから聞いた話によると、アメリカなどでは誇大広告ばかりで商品を販売し、 クレームに耐えられなくなるとわざと倒産させてしまうといった会社組織もあるそうで、 本当に目を疑いたくなる世界です。

 こういうことがあってかどうか、オイル業界では粘度表示10W−40とか、オイルグレードの 認証SG、SH、SJやA3などといった、共通のテストによる表示がすすめられてきましたが 添加剤に至っては、まだ、なにも規制や承認組織がないようです。 (そのおかげかこうやってHPを書けるのですが・・。)


例えば、モリブデンの場合を取ってみましょう。
この金属は、人体でも酵素を作るのに必要な金属ですが、産出国はと言うと天然には 硫化物鉱石の輝水鉛鉱から生産されるのですが、アメリカの コロラド州のクライマックス鉱山が世界の総生産量の半分以上になります。
添加剤としては固体潤滑剤になり、二硫化モリブデン(MoS2)として 有名です。レアメタル(希少=少ない金属)の部類に入り資源としてはあと 50年ぐらいしか採掘できないようです。

 オイルに添加する場合、市販の添加剤総量に対して約3割入っていれば多い方で、 1リットルに直すとオイルの1〜2%ぐらいの量にしかなりません。

 それでも、摩擦係数は某社のデータによると基油(=0.15として)より0.01下がった、 0.14ぐらいしかなりません。

 有機モリブデンとなると、同じ量を入れると、0.05まで下がるので( ただし、安い有機モリブデンは二硫化モリブデン並の場合もある)圧倒的に効果が 分かってきます。エンジン音も静かに感じられ体感出来る性能アップが期待できます。

 (SRV試験機:線接触測定、油温80度C、振幅1mm、振動数50Hz、測定時間15分間、 荷重200N−ヘルツ圧=209MPa、 使用金属材質SUJ−2、表面の粗さRa=0.16マイクロメートル、 試験基油=100ニュートラルオイル、 動粘度19.6mu/S、粘度指数VI=106、流動点PP=−15℃)

 しかし、同量の値段の差はかなり離れており、硫化モリブデンが1000円で60cc( 200ccぐらいの容器ではこれくらいでも多い方です) 入っていたとしたら、多分有機モリブデンはその8倍ぐらい8000円となるでしょう。

 もちろん、荷重をもっと下げれば摩擦係数も変化します。 期待される”効果の長さ”ですが、大体においてこれらの固体潤滑剤では、約3000Kmぐらい が、相場になっています。もって5000Km。と言うのも オイル交換を延ばすために造られたと言うより ”減摩剤”として造られているからです。3000Km辺りからゆっくりした劣化が感じられ、 ”そろそろオイル交換かな”と感じさせるのです。


多分、添加剤として、パッケージされて売られている製品は、3000Km〜5000Km辺りが 交換時期となる場合が多いのですが、その理由は、添加剤と一緒に、添加剤を入れたオイル自身も、 劣化してくるからです。お客さんはどんなオイルを使うか生産者としては分かりません。 変に量を多くして 長持ちするから高い小売価格を付けるより、少なくして頻繁に交換できる価格に設定するか、 リスクマージンを 取るかする方が生産者には有利なわけです。


途中ですが、割り込みです。
深夜放送でオイル添加剤の宣伝をやっているらしいのですが、 その通販の添加剤を軽自動車昭和60年製550t走行71000kmに入れた人から の報告です。
オイルは同時に交換。元の状態がよく分からないのですが、 確かにアイドリング時のタペット音は小さくなったように感じました。 けれど、ふけが悪くなってしまったようで、エンジンの 軽さがなくなったと言うことです。ユーザーが1000q走行した後でしたが、 元々GRPを使用していましたので (GRPのコーティング膜は約5000qぐらい残ると思われますので)、 全く良くならなかったと本人は言ってます。
私も確かめましたが、普通より音質もこもった感じの音に感じました。 確かにエンジンもふけが悪くなっているので、粘度としては堅めのタイプを基油に 使ってるのではないかと思われます。テレビの宣伝内容を知りませんので 私としては、何も言えないのですが、本人はちょっとがっかりしたそうです。 はっきり確認してませんでしたが 1台分6800円ほどしたそうです。そして次の時は、GRPに戻すと言ってました。 内容に詳しい方、報告をお願いします。
高い値段の添加剤は、効果が際だって良くならないと、良くならなかった時の失望も大きいものです。 (まぁ、以前の私もそうでしたが・・・)上記のように、高価な添加剤をすでに使用している方は、 次に入れる添加剤をよくよく考えないと、同様の失望に陥ります。最初の添加剤がひどいものなら 、改善の余地はかなり次に期待できるのですが、かなり改善されている場合は、次の”もうすこし” が、難しいものです。
話戻って、オイルの耐久性が添加剤で2倍以上になるというので、 添加剤の値段からオイル交換1回分を 差し引いて、だから経済的と言う考えを持っている人がいます。
実際はどうでしょうか?今までを振り返ってみる限り、即効性タイプの添加剤に関しては、 (特に固体潤滑剤 が主成分のタイプは)そういったケースは 極端に少なかったと記憶しています。

 調子が急に良くなるタイプは、固形有効成分が劣化してしまうと、いくらオイルの劣化が少なくても、 エンジンの調子は元のオイルだけの状態に近づきます。
すると、普通はエンジンの調子が悪くなったと感じてしまうのです。 悪い状態から良い状態になった時も、 感動的なら、良い状態から少し悪い状態に戻るだけでも体感度としては劇的に感じてしまうのです。
そのため、次から次へと添加剤を継ぎ足すか、オイル交換を早めに (あるいは今まで通りに)してしまう人が多く、結局、不経済となってしまう場合があります。 心情的にはよく分かります。せっかく良くなったのに、悪くなってしまうのが、たまらなくいやに 感じるのですから仕方ありません。

 お気に入りのGRPでさえ3回目以降の投入では、そんなにそれ以上良くはなりませんので、 何か不満が残る感じが しました。オイルの劣化分が良くなっただけのように感じたからです。燃費などは、 初めて入れた時大幅に 改善されて以来、ほとんど劣化も改善もしませんので、 本当に何とも言えない虚脱感に襲われたものです。 ですから、現在2万キロ2年間以内は交換していません。充分耐久性があるため、 そう決めてしまいました。 ユーザーさん達も段々そうなりつつあります。
また、スキルEなどは1レースのみ良ければいいと言うコンセプトで造られていますので、 長期には向きません。 それぞれ、それなりの添加剤使用方法がありますので、 安い高いは使用目的で考えざるを得ません。

古くなってから添加剤を入れた人は、改善が感動的だったために、 新車に入れた時がっかりしてしまうことが多いと言う事にも うなずける気がします。
ですから、添加剤を次から次へ探す人の気持ちも良く分かります。
すでに充分良くなっているのに、もっと良くなるのではないかと期待してしまうのですね。


定価とその有効成分の含有量で製品のコストパフォーマンス度はある程度判断できます。 しかし、それは、同一メーカー製の成分の場合だけ(あるいは、同一性能と思われる成分)、 それ以外は、あまり比較出来にくいと思われます。
もし、安い製品なら使ってしまう方が分かり易いように思います。けれど、安いゆえなのか どれも、それなりぐらいの製品でしょうと思われます。
高い製品は、悩みますね。私もまずデータ分析から始まりメーカーへ資料を請求したり・・ 良いと思われると次は テストばかりやりました。実はあの有名なマイク◯◯ンがこのHPにないのは、 資料、テストデータの段階で 振り落としてしまったからです。後になって、他社からの比較資料をもらい 自動車用としてはまあまあ良い添加剤だと知るのですが、値段が高い割には やはり物足りなさを感じてしまうため、現在もこれからも使う気がしません。
本当に良いものは、確実に広がってゆきます。これからもさらに良い添加剤が見つかれば、 HPにどんどん載せてゆくつもりでいますので、知っている方教えてください。


際限なく続きそうです。 次のページへ

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