肩の凝らない、しかし、嘘かもしれないページ33

見えてこないオイルの性能と添加剤の性能

オイルと添加剤について素人ながらいろいろ考えてきました。
けれど、さっぱり見えないと言うのが本音でして、 結果が良いものだけを実際の自動車のデータを見ながら判断しているわけです。
ラボテストはあくまでも実験室の内部だけで、実際の自動車に使用された場合の 複雑な個々の状況まではテストできなくて当たり前です。
添加剤にしても「流行」があるみたいで、最近の主流は「有機モリブデン」のようです。 量産体制が出来てますので、コスト的にもウエイトパーセンテージが少なくて安く配合できますし、 効果も即効的で、粘度の柔らかいタイプのオイルにはメーカー指定油にも入るようになりました。
(この場合、亜鉛系摩耗調整剤(ZDDPまたはZDTP)を使用する方が効果が高いので、それらも 含まれていますが。) で、別売添加剤としても「有機モリブデン」がテフロン系を押さえるようになってきました。

テフロンが極圧に対して効果がないことは実証済みのこととして、別に書いていますが、 極圧剤としても「環境によくない」成分である塩素系極圧剤(Clを含んでいても環境に 影響が少なく、腐食性が少ないものが主流をしめつつあります。)も減る一方ですし、 金属を腐食させるイオウ系極圧剤も形を変えたり、含有量が減らされてきたりしています。

亜鉛自体は人体への影響は少ないのですが、少なくとも重金属に入りますので、 良いはずはありません。モリブデンしかりです。

環境へ対しての関心はよいオイルや添加剤を生む方向へ進んでおります。
自動車も燃焼効率のいいものや低公害性のものが関心を集めてきています。
そのうち排気ガスを出さない自動車も主流になってくると考えると、オイルや それに入れる添加剤は必要なくなるかもしれません。 そうなると、このページも必要なくなるでしょうが、 まあ、しばらくは大丈夫のようです。 いまのところ、電気自動車も石油や原子力を使用した電気で動いていますし、まだまだ クリーンなエネルギーにはほど遠いようですから。
(技術者の方の力の見せ所と期待しています。)


で、全く関係ないのですが、ここのところわざわざ遠くの方が仕事や旅行・帰省などのついでに、 お越しになる事が多くなってきました。
本当にお疲れさまです。

普段は整備服姿でいかにもそれらしく働いておりますが、 あまりお相手もできない日もあり、不在の場合もあり、申し訳なく思う事もあります。
来店の場合でどうしてもと言う場合は是非TELなりをお願いいたします。 商品説明などは多分私しかできませんので・・。
(私は日曜祝日は休みで、たまに土曜日も子どものために休むことがありますので)

でも、商品をお渡しすることだけでしたら他の者でも出来ます。


で、話し変わり、 今年は景気のせいか、なぜだかわかりませんが、オーバーヒート関係の故障や、 タイミングベルトなどの修理が多い年です。年式のせいもありますが、その原因の一つに スタンドの方による点検やあまり整備をしないユーザー車検代行業者のせいもあるような気がして仕方なく思えることがあります。
そちらの方々には申し訳ないのですが、中古車業者の方や、バイクショップの方々からもそういった声を聞きます。
確かに自動車は壊れにくくなってきましたので、そういう方法で時々チェックをしてもらうことはいいことだと思いますが、 「お客さんオイルが汚れてますよ」で、オイル交換してガソリンを入れに走った業者の方は唖然としたという話しです。 「水抜き剤の有効期限が切れてますので是非入れてください」って一体どういうことかと、ユーザーさんから TELを受けたこともありますし、オイルを抜くのには上からの吸い上げ方式が一番いいなんて (以前AM誌にもそんなテストをやってまして あきれたことがありますが)何か、不思議な事が起こっているようです。
まあ、それらは「お仕事」ですから、仕方ないでしょうが、 もう少し、昔みたいに気楽に話しが出来る人がいたらいいのにと思ってしまいます。
整備士資格者を何千人か入れる予定のスタンドもCMしておりますが、 それなら以前は?とか、思ってしまいますし、入れなくてはいけないほど、 水準が下がってきているからかな?なんて思ってしまいます。
私も中古車でおんぼろを乗ってましたので、よくスタンドの人のお世話になりましたが、 大抵整備歴が何年もあるメカニックさんがおられまして、 ものすごく詳しく説明してくれましたし、 仕事抜きでも話しをしてくれました。
でも最近は「ボンネット内を点検しましょうか?」と言われても、 「結構です」と言う感じになってしまいます。何故でしょうか。
多分本当の整備士の方がやめさせられてしまった からかもしれません。

なんか最近、兼坂さんの本を頂いたせいかもしれませんが(それも新品を3冊も頂きました。 もっと勉強しなさいって事でしょう。確かに、そう思います。) 注:「究極のエンジンを求めて」「続:”」「新”」三栄書房、著者:兼坂弘
勉強中で、なかなかページが進みませんが、読み終わりましたらまた、参照させて頂きたいと思っています。


話し戻りまして、
オイルと添加剤は平行して進歩してきたわけですが、
オイル自体でも自動車によってその性能が相当変わることは、皆さんのメールからも 確かなことと思われます。自分の自動車に最高に合っているオイルを見つけたときは (つるしの洋服がぴったり自分に合っていた時みたいなもので)そのうれしさは格別ですし、 反対に高価なオイルでもマッチしなかったときは(オーダーメイドにしたのに似合わなかった時みたいに) ガッカリ感に襲われ「何故だろう」の連発かもしれません。

基本的には添加剤は乗る自動車にマッチしたオイルを入れても、その性能を更によくするはずですから、 (かえって悪く感じる添加剤は最低ですが・・)
それなら、いっそのこと「そのオイルにその添加剤入りの商品を作ってしまった方が安く買える」
と思われるかもしれません。
けれども、メーカーはそんなことはしません。オーダーメイドにすれば高価になりますし、 他の人には合わない製品が出来てしまうからです。つまり売りにくい・種類が増えてしまうわけです。
オイルメーカーが添加剤も作っている場合はある程度可能かもしれませんが、 添加剤は、ほとんど別会社がつくっていますから、オイルメーカとしては 「安く」「そこそこの製品」を作り「大量に販売」出来た方が得策です。
(メーカーの出している最高性能オイルは実はメーカーのプライドみたいなもので 本当なら採算がよくないので作りたくはないみたいです。)
添加剤メーカーも、オイルメーカーがプライドで作った最高のオイル性能を更に引き上げなくてはならない添加剤を作るより、 普通にオイルに入っているような 添加剤よりも、少しだけ性能が上がる添加剤を作っている方が「楽」と言うわけです。
ですから、「最高級のオイルには添加剤は不要」と言う考えも出てきて当たり前です。
最高級のオイルに普通の添加剤を入れてもあまり効果を感じないと言う現象はしばしば起こるようですし、 「商品広告にだまされた」感をもつようにもなるわけです。

本当なら「最高のオイル+最高の添加剤」がベストなわけですが、 最高の添加剤自体、どういったものか今だ、わかりません。
特殊化されればされるほど、その添加剤に合わない自動車もあるかもしれませんし、 僅かな性能向上効果がどれぐらい高く付くか、レースをみれば分かります。
いっそのこと排気量を上げてしまった方が、簡単で、分かり易い差を感じます。
でも、やっぱりオイルや添加剤にこだわりたくなるのが不思議です。

話し戻って、
エンジンの寿命を減らす引き替えに高性能と言うタイプの添加剤がありますが そういったタイプを除いて、 しのぎを削った高性能オイルに入れても更に性能差がわかる添加剤は 超優秀な添加剤と思います。
反対に、お手ごろ価格で、良くも悪くもなくランニングコストに響かないオイルと 添加剤もあります。これはこれで立派です。
オイルメーカーと添加剤メーカーは、ですから2つのタイプに分かれます。

オイルメーカーは2つの方向のオイルを作らざるを得ませんが、 高性能だけか、廉価版タイプかのオイルにしぼっているメーカーもあります。
添加剤メーカーも同様に分かれますが、どちらかというと高性能化に向かっています。
オイルの性能が上がってきたため、それに混ぜるには安いものでは効果が出にくいことと、 添加剤を溶かすオイル自体も高級タイプのものを使わざるを得なくなってきたからです。

こうなってくると、本当に後で入れる添加剤と言うものが必要かどうかが、 疑問になってくるわけですが、 ご心配に及びません。
10年前の高性能オイルはSGの表示でしたがほとんど僅かの変更で 現在のSJを楽にクリアーできますし、 それほど高級タイプでは変化があったと言えないからです。

つまり、現在の最高グレードの「SJ」自体の幅がまだかなりあって、 そのレベルが、すでにクリアーされているオイルが過去にもあり、 大多数のオイルは現在の基準をクリアーできない商品だったと言う事実だけなのです。

オイルのグレードの基準はどう考えても「最低ラインの設定」と言うことになりそうで、 最初から「特別優秀なオイル」などの評価など頭からないわけで、 オイルに合わせたエンジンで不都合が生じた(環境問題や省燃費も含む)場合のみ、 新基準(オイルメーカーに要請する意味で)を制定し、それにあったオイルを つくってもらうわけです(汎用オイルではいけない機械が出れば、特殊なオイルさえ出てきていますよね)。

SJ/GF−2が出たときのリン含有量(ZnDTPはリン含有量10%あります。)は0.12w%から僅かに0.10w% に変わっただけで、触媒被毒性について十分な検討がなされないまま、 終わってしまったといういきさつも生じています。製品が基準に追いつけないせいでの緩和なのかどうかはわかりませんが、 このためGF−3では被毒性テストが盛り込まれる予定です。

また、廉価版のオイルでぎりぎりSJをクリアー出来ても、次のSKでは クリアーできないものが出ますから、 クリアーできるためのベースオイルも考えられています。
もちろん、そのためにオイルの値段が高くなるのは仕方ないでしょうね。
エンジンの高性能化が進み、使用金属の変更や精度の向上などが行われ燃費も良くなってゆくのにつれて、 オイルや添加剤も進化してゆくのは、まだまだオイル側にも最高性能と言う壁に届くまでには余裕があるから と言えそうで、今後も新基準が設定されていくことは 間違いないことでしょう。
昔だったら「添加剤」として売られていた製品が現在の 高級オイルのベースオイル並みということも起こってきているわけで、 添加剤やベースオイルの壁と言うものを見てみたいと言う衝動に駆られるのは 多分私だけではないと思われます。

一方、考え方を変えれば、果たしてそんなにも最高の添加剤やらが必要かどうかも 考えなくてはなりません。

環境問題などを真剣に考えれば、自動車など不要で、ものを作るエネルギー消費も考え、 また、自動車など使わずに歩けばいいとして見ましても、 それがないために消費する食料やそれを生産するコストや運動するエネルギーの消費量を 計算してゆきますと(例えばエレベーターで上がるか、階段を使うかでは人間のエネルギー消費の方がはるかに多く、 コストが掛かるといわれておりますので) 経済活動自体果たして良いものかどうかわからなくなってしまいそうです。 ここでは、考えないようにします。
で、大抵エンジンで問題になるのは、オイルの劣化によるスラッジやデポジットがらみの潤滑不良や
それに伴うエンジンの高温化による悪影響と言うことでしょう。
オイルは低温で走行しても、高温で走行しても、スラッジが発生し易くなりますので、
早めのオイル交換がいわれています。どんなに高性能な高価なオイルや添加剤を使用したとしても
(致命的な故障にならなくても)永久的に使用したままでいいはずがありません。
エンジンがもつかもたないかが問題になるので、 例えば、年/3000kmしか走らない人にとって、オイル交換は 「7年間は使用したい」、として見れば、トータル21000kmしか乗らずに 買い換えとなりますが、オイルを交換せずに21000kmまで継ぎ足しで大丈夫かどうかは 判りません。多分大丈夫ではないと思いますが、エンジン音も大きくなっているでしょうし、 タペットカバーの裏やらはスラッジでコテコテということになるでしょう。
ある意味でいえば、1年間でそれだけ走った方がかなり「まし」と言える状態でないかと 想像できます。
それで、スラッジを全く(ほとんど)出さないようにすることが可能かと言うことが問題に なってきます。
まだ十分調べてないのでお答えできませんが、現在のエンジンに使われている金属面での酸化促進問題や、 EGRなどによる水分や未燃焼ガス、また燃焼ガスの成分から考えても、どうもかなり難しいと言わざるをえません。
オイル自体が炭化水素を中心にした成分である以上「酸化」「重縮合」「炭化」などは避けて通れない反応と 思われるからです。


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