肩の凝らない、しかし、嘘かもしれないページ48

時々メールで、「添加剤について書かれているHPの内容が本当なのかどうか」とか、
これこれの製品は本当に宣伝文句の効果があるかとか聞かれることがあります。

すべてラボテストで調べることなど出来るはずがないわけですから、
そのHPに書かれている資料などを元に判断するしか無いわけです。
ところが、説明文や解説文の中にはよく読めば結構矛盾点が多く含まれています。
けれど、そういったことは、こちらでは曖昧な説明でしかお答えできない訳なので、
「踊らされないように」としか説明できません。

「添加剤」と言う言葉は、
最初からオイルに入れられており、市販エンジンオイルそのものに含まれ、
同一視されているもの:エンジンオイル=(オイル+添加剤と、
市販エンジンオイルに、後からわざわざ添加される商品:
添加剤=エンジンオイル(オイル+添加剤)添加剤としているものと区別する必要が
あるかも知れません。

エンジンオイルのグレードアップは、
ベースオイルとして、安価で、オイルの主成分となる炭化水素系の成分=いわゆる”オイル=あぶら”と、
その”あぶら”だけでは製品の性能を維持させるのに不具合が生じるため、
不具合となる問題点「機能・性能」を向上させるための「添加剤」によるところが大きいと言えます。
基本となる言葉は「潤滑」と言うことなのですが、潤滑の目的を考えると様々な事柄と関わってきますので
そう簡単にゆかないわけです。
こういった事柄は「経験」的な事柄になってしまうのかも知れません。

元々、潤滑性能を維持・向上させるために、ノウハウから生まれたわけですので、
添加剤を専門に作っているメーカーも、
オイルの主成分であるベースオイルを作っているメーカーも、
ああでもない、こうでもないと、ラボテストを繰り返し、
その両方をブレンドするオイルメーカーも、
同様に、商品を比較し、コストパフォーマンスを目指したり、
商売としてはあまり成り立ちにくい「フラッグシップ的オイル」を開発したりしているわけです。

時代の要請とともに販売されるエンジンオイル自体が性能などの変更を余儀なく迫られる事もしばしばで、
その都度、今までブレンドされていなかった「添加剤」を入れたり、
ベースオイルの新商品を使用したりしながら、新しい「オイル」として店頭に並ぶことになります。
場合によっては特定添加剤の「流行」と言うこともあるわけです。
この基準となるのは代表としてSAEの規格であったり、APIやACEAのグレードであったりするわけですが、
このことはオイルに限ったことではなく、自動車の各部品の機構や性能の方面からも言えることです。

そういった訳ですから、エンジンの1つ1つのパーツが改良されるとともに、そのパーツの素材も変わり、
新たな問題点も発生し、更に改良され・・・と言った具合に変化するエンジン等の潤滑に、
オイルも改良を迫られるわけで、
昔の添加剤(=後で入れられるタイプ)が、現在のあらかじめ入っている添加剤」と言うことは
ごく一般的に起こっているわけです。もちろんベースオイルもしかりです。

ただ、ここにコストの問題が関わるため、高級添加剤が市民権を得るには時間がかかるわけです。
また、実際に不具合が起きていないかどうかでも、市民権を得るかどうかが検証されますし、
環境汚染防止と言う時代の要請にも関わりがあるわけです。

オイルメーカーも商売でやっているわけですから、「基準を最低限クリアーしていればよい」とする考えが強く、
それは値段の問題が大きく圧力をかけるわけで、
いくら良い商品が出来ても売れなければ会社として存続が危うくなります。
ここに「後で入れる添加剤」が出てくる要因があるわけで、
少なくともこういった商品はある意味で「付加価値」として販売されるわけです。
それは市販オイル中の各種の異なる役割を持つ添加剤の性能をグレードアップさせたり、
エンジンパーツとしての性能を向上させる目的を持つわけですが、
副作用を持つ商品も少なからずあることは否めません。

添加剤メーカーもベースオイルメーカーも会社の存続をかけて、「少しでも安く良い商品を」と、
考えているかどうかは分かりませんが、
少なくとも、ブレンドするオイルメーカーに使ってもらうための努力は惜しまないはずで、
オイルに最初に入れてもらうための添加剤の開発も数多くあり、
こういった相対比較によって研究開発された商品が巷にはあふれているわけですが、
オイルメーカー側としては不具合が生じることも大きな問題点となるわけですから、
保守的傾向が強く、スタンダード的なブレンドをせざるを得ないことも同時に分かります。

トライボロジーの理論面は理論から出て研究されたものと、
経験=ラボデータが先にあり、後で検証されて理論付けられたものがありますが、
どちらにせよ、オイル添加剤として市民権を得るには今ある商品としての添加剤より
優秀な成績をおさめ、なおかつ問題点を解消するか、今までの製品より総合的にコストダウン出来るか
どうかに関わってきます。

最近の動向として、優秀な添加剤が企業に多く受け入れられているのは、
機器の耐久性が中心のようで、その添加剤を使用して出費を押さえられるかどうかを問題としている場合が
多く見受けられます。
経済活動としては、「無駄を多くした方が、活発になる」訳で(その最たるものは、戦争と言うことになります)
その反対の方向を添加剤が一部担うことになる訳なのですが、
「壊れない」が良いことか悪いことかはともかく、
時代の要請には、”かなったこと”のように思われます。
そのすべてをクリアーされて、市販オイルに最初から添加される添加剤となるわけですから、
それにはずれた新しい(?)添加剤は、商売上の利益を中心に「付加価値」を宣伝し、
販売されることも多く見受けられることになります。
その中には特に「不具合を解消する」といった優秀な添加剤もあるわけですが、高い値段の商品であることが多く、
そういった製品はコスト重視の市販オイルには入れられるはずはありません。
また、研究の結果「安い」くても、ラボテストで問題点があると見なされる添加剤は除かれてゆく傾向にあります。
(そういった製品が「高い」にもかかわらず、巷にあふれていることも事実ですが・・・)

潤滑の状態がどうであれ、摩耗を極力最小限にする=機器の耐久性を向上させることが
ベースオイルや添加剤の1つの目的となりますので、
商品としての耐久性を保証できる範囲までは、製造メーカーも研究熱心ですし、
その使用限度まで、どうやってコストダウンを図るか、どうやって付加価値を付けて買っていただくかは、
自動車ならずとも、製品の宿命なのでしょう。

一般的に、後でオイルに添加される事を目的とした添加剤が、問題視されるのは
「販売価格の適正さ」といえるのかも知れません。
このことはすでに書いているとおりです。
工業界や産業界での流通価格と
市販される小売価格には、大きな隔たりがあることは、社会人ならおわかりのことと思われますが、
そういったことに対して、消費者が平等な価格で購入できると言うことは、まず起こっていませんし、
中間業者間でも卸価格がまちまちです。
「自由競争」だから仕方なく、と言うのではないのですが、
反面、買わないことも自由といえます。

けれど、むしろ、
自由に買うことが出来る「自由度」の方が大切なのではないかとも思われます。
お店にある商品が自由に買えないと言うことは非常に不便でもありますし・・・。
ある種の添加剤はユーザーの利益のためにあると言うよりも、
販売店の商売上の利益が中心であることも事実ですし、
効能書きが「広告」としてだけの場合もあり得ます。
別にそれほどひどい商品とも思いませんが、
それを販売することに魅力を感じなかっただけかもしれませんし、
実際にテストする機会に恵まれていますので、
たぶん、自分が使いたくない製品を販売したくないと言うことだけなのでしょう。
で、冷静に考えれば、何が本当かぐらいは大体見当が付いてくるでしょうし、
納得できなければ、専門書を読むことも出来ますし、
本当にそういったことも「自由」ですよね。

自由のおかげで、使いたい商品を片っ端からテストしてみることもできました。
添加剤を分析し、テストしようかと思ったこともありましたが、
1つの製品をしっかりテストするのにはラボテストだけでも数万円から十数万の出費が必要ですし、
あいにく、それだけの出費をすることにためらいがあり、していませんが、
何となく、添加剤と言うものの輪郭をつかみかけているところです。
ですから、まだまだなのです。

もう一つ、まだまだとしか言えない理由に、
潤滑の状態や摩耗の状態がはっきり正確に、観測出来ていないと言う問題もあります。
もちろん、経験的に積み上げられてきた理論・検証から
「こうであろう」と言うことは言われるのですが、
深い部分ではっきりと断定できない部分があることは否めません。

機械は消耗品として扱われますので、「どういう理由から壊れるのか」は研究されています。
「耐久性」の限界を潤滑性能で向上させたり、
機械の場合は金属冶金の技術や新素材の開発、
あるいはエネルギーを伝達する機構なども研究されています。
けれども、そういった事柄については本当に日が浅く、
まだまだ、説明できない事柄、計測できない事柄が多く、有機的にしか発展できないので、
今後の課題となっている事柄が多く積み上げられています。
少しづつ、新しい発見があるたびに
「ひょっとすると、地動説を信じていた時代の人と同じなのかも知れない」と思う事があります。
(体感的には地動説なんでしょうが・・・)
 

光の速さなどの定数も随分精度が高く計測されるようになりましたが、更に精度が増すでしょうし、
そうするとそれに基づいて決定された長さや重さ等も変わることになります。
金属表面の粗さも、潤滑膜の厚さも、そういった計測機器の向上によって、随分はっきりしてきましたが、
それが潤滑とどういった関係になるか、素材が変わるとどうなるのか
と言った事柄については
まだまだよく分かりません。

例えば私が小さい頃は、「物質は電子と陽子と中性子に分けられる」などと教えてもらったのですが、
それも今ではクオークでしょ。
この先はどう変わるのかなと技術と理論の発展に期待するばかりです。

ということで、
ご説明になっているでしょうか?
多分、なっていませんよね・・・。
 


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