肩の凝らない、しかし、嘘かもしれないページ65

添加剤には多くの添加剤が含まれています。

オイル一つ取ってみてもおわかりになりますように、
その中に含まれる添加剤と言うものはたくさんの種類があるわけです。
ある添加剤は1種類で多くの機能を持っていたり、
さらに、ある添加剤はその添加剤以外の「別」の添加剤が含まれているときにだけ効果が良好だったりしますし、
逆に「またまた別の」添加剤が入ってしまうと効果が薄れてしまったりします。
量子場の理論ではないのでしょうが、含まれる添加剤の存在で、その性状がころころと変化するような
性格を持っていたりします。

で、あるテフロン系添加剤で極圧性があったとしますと、
多分それは、テフロン自体の極圧性ではなく、一緒に含まれている添加剤の成分の効果と
言うことが出来ます。
テフロン自体には極圧性が無いことがわかっておりますのでそう考えざるを得ません。
と言うより、テフロンを含むと言うことはそれが固体粒子として(ですから別の粒子でも良いわけなんですね。)
ニュートン流体の性格を「非ニュートン流体」に変化させるから、「気密性」の方に関わってくるのではないか
と考えられています。
極圧性はもちろん「別の」添加剤が受け持つわけですし、
清浄分散性は「また別の」添加剤・・・・。と言う具合に出来てまして、
広告内容の効果のほとんどは「テフロン以外の成分」のおかげって事もあり得るわけです。
「商品となった添加剤」は当然「複合成分」ですから、そういう効果があっても当たり前なのですが、
それを果たしてユーザーさんにはっきりわかるように記載しているかは少し不明なのです。

添加剤を調合するオイルメーカーさんも、ですから真剣です。
添加剤の効果は「1+1=2」となるような計算式の組み合わせになるような結果(オイルの性能向上)にはならず、
1+1+1+1+1=12とか、1+1+1+1+1+1=3とか、
添加剤自体も種類が非常に多い上、
これからも新たに機能的な添加剤がどんどん作られて行くでしょうから、
その組み合わせ・成分の締める割合・1つ1つの成分を添加して行く順序などによって
様々に異なる性能の結果が出てきますし、
その時に入れるベースオイルの品質や環境の違いなどによってさえ、
同じ処方で作ったオイルでも格差が出てしまうようなのです。
(だから、製品のテストをして、規格の合格ラインを定めている訳なのですが・・・)

特殊なオイルが要求されるときは、添加剤とかオイルとかと言う枠を越えて、
それは一つの「パーツ」として考えられています。
そういった機械が進歩してゆくと、従来のオイルはもう使用できず、
その機械に合うようなオイル(潤滑剤)が開発されますし、
オイル(潤滑剤)の進歩で、新しい機械が出来たりもします。
従来のオイルの汎用性が段々となくなる方向へ進んでいることは
オイルのグレード一つ取ってみてもおわかりになることと思われます。
そのため、メーカーが決めた処方をしてあるオイルにわざわざ「添加剤」を追加するなんて・・・と言う人もいますし、
いやいや合格ラインが低いから・・・といって添加剤を追加添加することが当たり前と思っている方もいます。
どちらの考えもよく分かる話です。
先の考えをお持ちの方は
「オイルと添加剤の相性」ということをその理由とされている場合が多かったり、
経済性を考えて言われる場合が多いと思われます。
オイルの汎用性のからも大体「SF〜SJ」ぐらいの範囲で使用できる設計と言うこともあります。

後の考えはオイルのクオリティの問題と思われます。
さらなるフィーリング向上と、エンジンに関する故障を減らすのには良いことかもしれません。
(ただし、添加剤の成分をよく知らずに使用しますと逆に故障の原因になったりします。)

現在の所、エンジンの性能が上がると共に、オイルの性能向上も要請されてきたわけですが、
その要請からは、オイル自体が添加剤無しでは考えられなくなってきておりますので、
それぞれの考えのもとで、使用するしないを決めるしかないでしょう。
現在一般に売られている「SJ」でなら、
オイル交換の時期を早くしても、エンジン各部の摩耗量が極端に減ると言うことではなく、
長期使用・シビアコンデションによって劣化したオイルを使用し続けることで、
不具合が生じ摩耗して行く事の方が問題があるようです。
オイルは6ヶ月〜12ヶ月毎、あるいは鉱物油で3000kmぐらいから、
合成油で5000km走行と言うあたりが劣化が進行するポイントになるようです。
で、理由は「酸化防止剤」などの劣化が始まり、酸化防止剤の役割も併せ持つ「FM剤」の劣化などが
摩耗緩和能力が落ちるためです。
ここで、そういった成分の入っている添加剤を加えるとどういうことになるかと言えば、
オイル酸化が押さえれ、添加剤やオイルの劣化成分、ブローバイガスからの不純物を含みながら、
オイルは一応使用に耐えるようになります。粘度などもポリマーで調節したりする事もできます。
(この抑制効果は最初からの添加の方が効果的なのですが・・・)
元のオイルに入れられるものと同じ様な、添加剤の成分自体が「劣化しやすい」製品がほとんどですから、
本当は「劣化しにくい成分」を入れてこそ、本当に良い添加剤と言えるのですが、
まだまだ高価と言う理由で、一般化していないようです。

今のところは
オイルが潤滑・気密・清浄・冷却などに関わり、多目的に使用されておりますので、
1つのオイルに様々な添加剤を加えなければ、うまく行きません。
そして、環境問題にあった成分が要求されますので、そうそう悪い成分の含まれた添加剤も
添加できないことになります。(とは書いてますが、あるんですね、実は・・・)

後から追加する添加剤の成分としては、
潤滑・・・極圧剤、摩擦摩耗調整(FM)剤、摩擦係数低減も含む。
気密・・・粘度指数向上剤(油溶性ポリマー)、固体潤滑剤など。
清浄・・・清浄分散剤、酸化防止剤など。
などで、効果の高い高性能な成分が入っているか、成分の劣化を想定してそれらを増量しているかが
一般的な処方箋となります。
添加剤もそれ自体が一つのまとまった処方をされている場合が多いため、
オイルとのなじみ性(分離しにくさ)が問題となります。
せっかく添加するのに、分離・沈殿したのでは台無しです。

高性能添加剤と言われるタイプは、鉱物油・合成油共に、よくなじむよう設計されているのが普通ですが、
一部分離しやすいタイプもありますので注意が必要です。
また、上記の一部の機能に対してだけ効果を発揮し、他の機能を損なうタイプの添加剤もあります。
更に、高性能な効果と引き替えに、オイルの寿命を短命化させる場合もあります。
イメージとしてはいわゆる「劇薬」「ドーピング剤」に近いですね。
(反動もきつそうです。笑。)
ですから、ビタミン剤的な緩やかな効果を持った添加剤が無難なんですが、
それでは「売れない」と言う困った結果になってしまうため、
デメリット面は隠すような商品があったり、
誇大広告的な内容の商品があったりで、
本当に優れた添加剤を開発している添加剤メーカーにとっては
迷惑となっているのかもしれません。

まじめに取り組んでいる添加剤メーカーの技術者は、
どういうメリットが、どこまであるかを正確に知っているわけですから、
本当はそういう立場から使用して欲しいと思っていることでしょう。

ともあれ、技術的な側面は手を取り合って進歩して行きますので、
今後どのような添加剤が考え出されるのか楽しみです。

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