肩の凝らない、しかし、嘘かもしれないページ67

プラグやオイルが汚れやすいエンジン

普通の走行距離を走っていても、プラグやオイルが汚れやすいエンジンがあるようです。
経験上、少し過走行になったエンジンなどで、オイル上がりでオイルが燃料と一緒に燃えるため、ススがでて、オイルに混じってしまう
場合とか、オイル下がりでバルブステムシールが痛んでいて、オイルがバルブガイドを通って燃焼室に入り一緒に燃えてしまう場合とか、
プラグの熱価が合っていなくて、着火ミスが起こりやすかったり、プラグの自己清浄が出来ない場合とか、etc.
普通の正常な状態でもオイルが汚れたり、プラグがススけたりする場合があります。

オイル消費はエンジンの回転数や出力の増大とともに増加しますが、
機構的な原因としては
1.ピストンリングとリング溝の摩耗、クリアランスの不良
2.リング張力の低下やリングの膠着
3.シリンダーの摩耗、損傷
4.バルブステムガイド、ステムシールの摩耗、損傷
5.ガスケットやオイルシールの不良、損傷
などがあり、1−3はオイル上がりの現象となり一般的にオイル消費の50−70%を占め、
4.はオイル下がりで同様に20−30%を占めます。
こういったオイルの燃焼でも、プラグには自己清浄性がありますので、
ある程度は、くすぶって付着したカーボンを焼いてしまうわけですが、
空燃比とプラグの温度に対応しているようです。
ガソリンの場合400度C〜450度Cでカーボンなどが焼き切れますが、
オイルが燃焼する場合は、もう少し高い温度が必要となります。


特に、直噴式のガソリン車は、プラグの回りに濃い混合気を集めて燃やしているためと、燃焼温度が低くなるため、
また、加速時は普通ぐらいの濃さの混合気が必要ですから、希薄燃焼に出来ないため、燃料も多く必要で、
上記図にはありませんが、汚損領域から単純汚損領域に入る事があるようで、
プラグがすすけてしまったり、炭化物の発生により、オイルが黒くなりやすくなったりするようです。
GDI・D4などで、オイルが汚れやすいと言われるのはこのためかもしれません。

特にプログラムには「時々」燃焼ガスを濃くするように指示されているようですが、
これは、プラグのくすぶりを解消すると言う目的もあるようで、
上記4の自己清浄域が、正常空燃比の状態(加速を含む、40−60km定速走行時)で確認されているからで、
希薄燃焼でのススの発生を表すデータがないため、推測したものです。
これもたまにはプラグなどに着いたカーボンを燃やしてしまい、失火を防ぐためとか・・・。

ディーゼルなどは燃料が異なるため、比較として適当かどうかわかりませんが、
これも空気量が多い「希薄燃焼」ですから、上記のような希薄燃焼ガソリンエンジンでオイルが汚れやすいといった現象が
似ているのかもしれません。いや違うのかな?(メール頂いていましたディーゼル開発の方、またメールください。
アドレスがハード不良のため消えてしまい連絡できませんので。笑。)

で、燃焼温度が低いわけですから、オイルに対しては「やさしい」と言うことになるのではないかと思っていましたら、
普通以上に汚れが出るようなので、不思議だったわけです。

ススの成分は炭素ですから、燃料・オイルが酸化することによって発生します。
余程長時間高熱にさらされなければ、炭化する事もないわけですから、
オイルが黒く汚れてしまうガソリン車の場合は、燃料供給に原因があるか、燃焼がうまく行われない理由があるか
どちらを疑えばいいことになります。
普通インジェクターでの燃料供給ですから、余程の理由がない限り、まず点火系が問題になり、
プラグやコードの劣化をまず確認する方法が一般的です。
また、使用状況によっても、アイドルアップが行われ、燃料がリッチ状態の間に目的地についてしまうような場合も
プラグがくすぶっていますので、必然的にオイルも黒く汚れてくることが考えられます。

ススがオイルの劣化、つまり粘度の急激な上昇や、摺動部の摩耗を促進することはラボテストでも確かめられています。

簡潔に言えば、ある程度を越えますと粘度が急激に高くなり衝動部の摩耗も増え・・・と言うように良くない現象が起こります。
ただし、不純物の少ない高品質のオイルを使用しますと、こういった症状がかなり走行してからになり、
ある程度ススが混じっていても耐久性が長くなります。
もちろん、添加剤の善し悪しも相当影響するわけです。
この場合は清浄分散剤の影響が大きく効果を現し、酸化劣化による増粘を抑制する酸化安定剤の性能に
関わってくることになります。

オイルの高精製度のベースオイルが求められ、オイル品質は高くなってきましたが、
ススの油膜と同じくらいの大きさになりますと、摩耗に大きな影響があるため
さらに分散性を向上させるために入れられた無灰系の分散剤が入れられることも多いのですが、
逆に多用しますとオイル中の耐摩耗剤の性能を落としてしまうことがあります。
潤滑性と清浄分散性には難しい関係があるようです。
また、今後NOx低減のためのEGR条件が更に厳しくなると思われるため、
金属系清浄分散剤系より、耐摩耗性を十分考えた耐熱性の高い無灰系成分が望ましいとされます。
こういったように、添加剤の進歩無しには次世代のオイル開発が難しくなってきているようです。

油中のスス成分の粘度に与える影響は高精製油では普通のオイルと比較して3%あたりから大きく差が出てくるようで、
また、同じFM剤成分でも分子構造によって、スス粒子混入による耐摩耗性に差が出るようです。
究極の排気ガス規制対応オイルとしては、排出ガスの低減が求められるため、低粘度化が進行しているわけですが
攪拌損失低減とも相まって、このススの問題は潤滑性に大きな影響を与えるため、
ススによる影響が特に大きいディーゼル車にとって大きな問題となっています。

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