肩の凝らない、しかし、嘘かもしれないページ68

冬のマフラーからの白煙

冬になると異常に水蒸気の出続けるマフラーに、どこか異常を感じている方も多いのではないでしょうか。
気密性がよく、燃焼が完全燃焼に近い状態では、HOの割合は燃焼の結果として増えます。
ですから、添加剤などを使用をされた方の中には、エンジンの調子が良くなったのとは反対に
特に冬の水蒸気量の増加を異常なものと体験されておられる場合があるようです。

これは、新車などでもよく起こる現象でして、私の乗るHC33の場合もアイドルアップの時間が長いので
その間燃料をたくさん出してます。出勤時と帰宅の間は
ほとんどエンジンをかけることもありませんので、退社時間が遅い場合は
フロントガラスに霜が降りていることもあり、暖まるまでの間、
異常なまでの白煙を出してまして、
バックミラーで見ると、バルブステムシールからのオイル下がりと勘違いするほどです。
その状況は新車から全く変わっていませんし、かえって多くなったのでは?と感じることもあります。
(現在約7万キロ走行)
暖気時間が長い自動車の方が、冬はいつまでも消えにくいでしょうね。
(けれど冬でも日中の暖かな晴れた日は、再始動してもほとんど出てません。)

まれに、僅かなオイル下がりによるオイルの煙がある場合もありますので、
冬には白煙でその症状(水蒸気によるか、オイルの煙か)はつかみにくいことがあります。
良く暖気した後でも、外気温が低いですと白煙は消えずに出ていることもありますので、
水蒸気によるものか、オイルなどによるものかは、
五感を総動員して判断する必要がありそうです。
吐く息が普通に白くなるくらいの外気温では、排気ガスが白くなっても当たり前かもしれません。

体温が36度Cで、多くの水蒸気を含みますから、
それ以上の温度と思われる排気ガスの温度は、息が白くなるよりも多少外気温が高くても
出るようです。
ただ、息が白くなる温度も、外気の湿度との関係も私は知りませんので、
何とも言い難いのです。
エンジンの調子がいい場合の方が、水蒸気による白煙が出やすいことの理由の1つには、
古くなったエンジンの場合の方が、触媒も劣化していますので、未燃ガスの内のHCの割合も多く、
COの発生も多いわけですから、H2Oの発生量も減るわけで、
そのままマフラーから排出されれば、排気中の水蒸気も少ないと考えられます。
白煙発生には、もちろん外気の空気温度の低下も同時に必要とされます。
またH2OはCO2ガスを核にした水滴を作りやすいことが人工的に確かめられています。
演出用にCO2ガスを利用した装置もありますが、これは外気温を急冷させる事によるのかもしれません。
また、人工的に雲などを作るのに、飛行機でドライアイス(CO2)をばらまくと、そこに雲が出来やすくなり
雨を降らせる事も考えられています。

「ひこうき雲」の発生も、そういったメカニズムではないかと言われています。
この場合は水滴ではなく、氷の粒ですが、排気中の核となるチリと排気中の水蒸気と、
尾翼に起こる気圧低下によるそれぞれが原因と考えられています。
高度6000m以上でないと発生しないということから、
外気温度の影響は大きいと考えられます。

まあ、CO2を引き合いに出さなくても、白煙の核となるチリなどは
排気ガス中に十分含まれていますので、外気温だけの違いでいいのかもしれません。

飽和水蒸気は外気温が低いと、凝結して水滴となって現れるわけですが、
30度Cでは1m3あたり30.4gも含む事が出来ますが、
5度Cになりますと1m3あたり6.8gしか含むことが出来ません。
排気ガスに含まれる水蒸気がすべて水蒸気となって、飽和した状態と
考えますと(実際はそんなことは、無いわけですが)30.4g−6.8g=23.6gと、
相当の水蒸気が配管の中か、大気で冷やされ、水滴となって排気ガスと一緒に出てくることになります。
大体、白煙が発生する温度は経験上、0度Cに近い外気温と思われますので、
こういった「凝結した水滴」の白煙として現れる現象を見て行く必要があるのかもしれません。
産業用の白煙防止装置を見ますと、温水とそこから出てきた水蒸気を
人工的な冷水のシャワーで冷却することで、温水からの白煙発生を防止するような構造になっていますが、
マフラー配管内で冷却された水蒸気の水滴はエンジンの場合は、大気へ放出する・水滴としてマフラーから
ぽたぽたと落とすことでしか、処理されません。

燃料は炭化水素ですから、燃焼すれば必ずH2O・CO2になり、水蒸気は正常な燃焼の結果になります。
ただし、外気温が上がっていたり排気温度が高くなるにつれて、水滴化する率も下がります。
夏は比較的湿度が高いのですが、白くならないのは、外気温が高いためということもあり、
湯気が出るほど水蒸気が冷却されないためでしょう。
夏の場合は雨の日など、湿度の非常に高い日に見受けられる程度で、余りもうもうと白煙を出しているマフラーも
少ないと思われます。出ても水滴としての場合がほとんどのように思われます。
ただ、こういう日に出やすい・出にくい自動車があることは色々な車種を見ていますと確かにあるように思えます。

比較で問題となるのは、同じ内燃機関でも触媒のないディーゼルで、目立つのは、始動直後からの黒煙で、
水蒸気が由来の白煙など出ている様子は少ないと言えることです。
また、ガソリン車で触媒が働いていない始動直後でも、相当の白煙が出ていることです。

どうも核になりやすいチリとなる成分も要因と考えられるわけですが、
水蒸気が白煙になるかならないかは、また異なる要因を考える必要があるのかもしれません。
「添加剤使用で冬に白煙が多く出るようになった。」と言う現象のメカニズムが
単純にとらえにくいわけなのです。

また、こういうことで燃焼効率が悪ければ、同一燃料使用量でCO・HCの割合が多く、水蒸気に変わる量も減ると
考えられるわけですが、始動時だけモクモクと出ているのは
結構不思議な感じも受けます。触媒が働かなければ、水蒸気量は減ると思われるのに、
始動直後が圧倒的に多く出るわけですから、これは燃料が多いことによる水蒸気発生率増加だけによるのかどうか
調べて行く必要があるのかもしれません。

つまり、効率から言えばディーゼルよりガソリン車の方が燃料を多く消費しているわけですし、
始動直後は暖気後より燃料も多く出されていますし、配管も冷えていますので、
ある程度そういうような理由も考えられるわけですが、
確かに水滴や白煙の出やすい条件・車種があるのではないかと思えますし、
マフラーや配管が出来てしまった水滴を排出しにくい構造なのかどうかも考える必要があるかもしれません。

お湯をガスコンロで沸かしますと、コンロの火がついている間よりも、ガスを止めて、火を消した方が、
湯気が立ちやすい事との関係で考えますと、
どうも、水滴の溜まる構造も考えられるからです。
火がついている方が圧倒的に水蒸気の発生は多いはずですが、
鍋の回りの空気も熱せられていますので、湯気が出にくいのでしょう。
このお湯の温度と外気温の温度差にどうも関係ありそうです。

それにしても、新車をおさめる度に思うのですが、
新しい自動車ほど、冬になると始動時に白煙が出ているように思われますし、その事を考えますと、
単に、燃焼がうまくいっているだけなのか、新品のマフラーでは
水蒸気が水滴になりやすく、排気ガスと共に白くなりやすい状況なのか
理由がわかりにくいのですが、
エンジンの調子が悪い自動車ではそれが少ない事から考えますと、
水滴の発生・水蒸気の凝結結果からの白煙の多さの因果関係ををすこし考えてみたくなる所です。

どうも、こういったメカニズムはそれぞれ個々の自動車で異なるようで
すっきりした「白煙発生のメカニズム」を表してくれるデータを待つ以外になさそうです。
冬に自動車などで当たり前の現象が、説明できないわけですが、
こういった白煙の説明が出来るデータをお持ちの方がおられましたら、
どちら様か教えてくださいね。

追記:オイルによる白煙
ある特定のエンジンでは、バルブガイドをエンジンオイルで潤滑する傾向が強いため、
オイル消費も他のエンジンと比較すると多いようです。
そのため、長時間止めて置いた後の始動時には、オイルがバルブから燃焼室へ入り、
僅かな時間白煙が出る傾向があるようです。
「設計での構造的な結果」として、
ステムシールの異常な摩耗・ひび割れによる物でないとメーカーも指摘しておりますが、
外気温が低くない時、約5分以内に水蒸気による物とは異なる白煙が消えるようでしたら
一応「異常なし」と判断されているようです。
つまり、夏でも白煙の出やすいエンジンはありますので、
この場合はオイル量の管理も十分しておりませんといけないことになります。
多かれ少なかれ、オイルが燃えて白煙になることはどんなエンジンにもあるようですが、
5000km走行して500cc程度のオイル消費までが限度と言えそうで、
それ以上消費する場合は、原因を探ってみた方が良さそうに思われます。

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