肩の凝らない、しかし、嘘かもしれないページ69

さらに増えている市販添加剤

このHPを書き始めてから、かれこれ3年目に入っているのですが、
雑誌などを読んでますと、新しい添加剤も目立つようになってきました。
今までの添加剤にしても添加成分を替えて、バージョンアップしてきているようですから、
(バージョンアップしませんと高級オイル並の性能しか出せなかったりしますので)
内容が変わってきている物も多くなってきたように思われます。

オイルを含めた添加剤などは成分の配合を含めての「ノウハウ物」ですから、
どんな成分がどのように入れられて商品になるかは、ある程度ブラックボックス化されているわけで、
あまり詳しくは説明されてはいません。
成分名が書いてあっても、実際どのような効果があるかなど、専門の人にしかピンとこないわけで、
使用した結果に対しての評価しか出来ないことになります。
そのため、どうしても同じような原理で効果を謳っている商品は同じ物と解釈されがちになります。

また、ある一つの添加剤成分の特性が良いと評価されますと、
こぞってその成分を使用する添加剤が巷に出回ると言うことも少なくないように思われます。
(これは市販オイルではよくあることのように思われます。)
外国製添加剤の場合、本国では売られていない成分入りの添加剤が、日本で流行っているという理由で
特別「日本向けバージョン」として輸入されると言ったこともあったようでして、
効果はともかく、まだまだメジャーな製品とは言い難い側面を添加剤がもっているように思われます。

「流行」と言うものは、一般的な商品と同じように、添加剤にしてもあるわけでして、
その時期に開発された良質(?)な添加剤成分の「はやり」にある程度影響を受けていることが伺い知れます。
まあ、こういったことは「経済活動」ですから、他の商品と同じようであることは当たり前なのかも知れません。

で、その流行っている添加剤成分を、あるいは効果の構図を全面に出して商売すると言うことになります。
宣伝ですから、いい面しか公表されませんし、
後から問題性を指摘された成分(ガソリンの4エチル鉛やエアコンガスのフロンのように)を含んでいたと言うことも
あったように思います。
最近は「表面改質剤(メタルコンディショナー)」という言葉がよく出てきているようなのですが、
これも一種のはやりことばなのかも知れません。市場の認知度が大切というわけです。

一般的に多くの複合体として一つの添加剤と言う商品があるわけなのですが、
販売する側としては単一の成分・効果であるかのようなイメージを売り込んで行く場合もあるわけですし、
そのイメージを市場に売り込む事も大切なのかも知れません。
高級と言う意味の値段設定も重要なポイントになることでしょう。
安い成分に高価な値段を付けている商品もありますので、オイルに比較すると
その値段は商品の効果を反映していない事もあるわけです。

というわけで、名前を変えてリニューアルされた商品が今後とも市場に出回る事でしょう。
添加剤をいろいろ試してこられた方にとって上記の流れは自明の事かも知れませんね。

この後、どういった「テーマ」が中心になるか考えてみますと別の意味で楽しいかも知れません。
けれど、市販添加剤に伴う「主題」は、
1.パワーアップ効果(摩擦低減・気密性向上などによる)
2.省燃費効果
などですから、これらは外せませんので、どうやって、オイルだけを使用している時と効果が異なるか、
あるいは他の添加剤と異なるかの違いを説明していくかが重要になります。
昔はとりあえず1.のパワーアップだけだったような気もしますが、最近は環境問題の面からも
排気ガスに含まれるCO・HCなどの排出量を使用前・後で比較する商品も目立ってきました。

けれど、技術屋さんに言わせますとこれらは本来機械の精度や潤滑理論から考え出された機構で対応する事であって、
添加剤でする事でないようなご意見も頂いております。
例えば、新車時ピストンにコートされているモリブデン膜など「慣らし」終了の段階にはすでになくなっていると
聞いておりますし、フリクション低減に対する添加剤の効果など眉唾物で
かえって金属表面にマイクロディンプルを付けてやった方が効果的だったなどともうかがいますと、
添加剤の出る幕はないかのような感を受けるのですが、「では効果が無いとしたらどうしてそのようなコートをするのか?」
「オイルのグレードは何故あがってきているのか」と考えますと、また不思議なのですね。
技術面でまだまだだからと言うことなのでしょうか。妥協でコスト削減されているのでしょうか。・・・etc.
ともかく
摩擦や摩耗についてはまだまだ分からない事が多くあるようです。
けれど経済性から見た視点では、10万キロ走行するまでに車を買い換えられる人にとって
市販添加剤の必要性はどう考えてもそれほど重要なウエイトを占めるとは思われないと思われます。
これらはオイルメーカーの研究に任せておいて、市販オイルで十分とも思われるからです。

そうはいうものの、時々どういうわけか新車から調子の悪いエンジンがありますし、
組立時にある作業ミス、精度のばらつきはどうしても避けられないことで、
5年10万キロまでの保証によるクレーム自体も実際に時々あるわけですから、
「機械もの」という側面をどういう風に考えていいのか、難しい側面は伴うわけです。
理論と現実とがいささか異なると言うことはまだまだ常識的なことと言われる由縁です。

そういったふうに潤滑に関する研究が世界的にされている実状を見ますと、添加剤はその潤滑という学問の中の
1部門として考える方が妥当と思えますし、パーツとしての添加剤(潤滑剤)と考えて見て行けば、べつに取り立てて
区別する事でもないように思えるのです。
けれど添加剤批判は実際ありますし、市販添加剤の宣伝の誇張的表現が「嫌気」を増幅させるのかも・・・と思ってしまいます。
本来の添加剤の考え方は、例えば添加剤GRPの摩擦低減に関する回答を読んでも至極当然の事しか書いてませんし、
流体潤滑域ではこの添加剤の真の効果は発揮しにくいと言うことが書いてあるだけですから、
技術屋さんにも受け入れられるはずと思われますし、
潤滑油の摩擦係数だけを注目するという測定方法では実際の潤滑を部分的にしか見ているとは言い難く、
結果として全体のフリクション低減・機器の保全に限界が出るのでしょう。

で、市販オイル用添加剤や産業界用添加剤などの場合は、また異なる理由があり、
こちらはほとんど「コストパフォーマンス性」を中心にするわけです。
規制がない場合は環境汚染にも関心が払われないと言うのが今までの状況だったような気がします。
もちろん、企業間での利害関係もあるわけですが、こういう難しい(ややこしい)世界には入ることが出来ません。
企業が使用する場合、何らかの理由があるわけで、コスト面から添加剤などを特に後から添加する必要のない場合もあるでしょうし、
添加しなければ逆にコストが増える(テストしてそうだった)と言う場合や、企業イメージなどの要因から使用する場合もあり、
その姿は様々なようです。
企業イメージは大切な要因になっていますので、今後とも「環境にやさしい」というテーマが大きなウエイトを
占めてくるように思われます。再生紙などについても言えますし、
生分解性プラスチックなどバイオ系は特に今後とも盛んになることでしょう。
(オイルでも同様です。)

けれどどういう基準で、新しく出てくる市販添加剤を判断したらいいかはやはり個人個人の判断に任せるしかありません。
選択権は購買者に任せられると言うことになります。
心理的な購買意欲の研究も盛んにされていますし、それさえも危うい状況にさせられている現実もありますし、
何だか経済活動は本当に人を狂わせてしまって行く側面を肩に背負っているのかも知れません。
個人の判断が本当にどうであるかを判断することは難しいことですが、
願わくば、正しく見ることが出来るような社会であって欲しく思われるこの頃です。

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