肩の凝らない、しかし、嘘かもしれないページ73

商品に添加剤を入れることの是非
本職が中古車屋と言うこともあって、
時々、「売られている中古車に添加剤を入れているの?」という事を聞かれる事があります。
答えは、実は「NO」なんですね。
実を言いますと、展示されている中古車はほとんど現状のままで、
展示するからと言って、わざわざオイル交換したりすることも無く展示されているわけです。
ですから、たまにバッテリーが上がってしまったり、ファンベルトが鳴ったりしますし、
オイルも汚れていたりすることが往々あるわけです。

外観も毎日洗車することも無いので、あまりピカピカとは言えないわけで、
外観の小傷やへこみなども、走行するのに支障無い軽微な場合は板金・塗装していないことが多く、
普通の中古車屋とは少し違う様相をしているわけです。

ただし、各機関が正常かどうか、事故歴があるかどうか、メーター改ざんは無いかどうかについては
かなり、神経質に調べているつもりです。
ですから、入庫時や点検の結果、悪い箇所がある場合、
「現在この箇所が調子がよくないので修理してお出しします。」と言う事も
あらかじめわかっている限りお答えしていますし、
車検のある場合は、実際に走行していただく事が普通に行われています。
つまり、中古車の現状そのものを出来るだけ見ていただくようにしているわけです。

何故かと言いますと、普通、中古車屋と言っても、色々あるわけでして、
こちらで販売しているのは個人ユーザーさんがただけでは無いからです。
店頭の中古車にプライスカードを出すようになったのは、ここ3年ほど前でして、
それまではほとんど、馴染みのユーザーさんがたか、小売りされている業者の方や、整備工場の方に
お出ししていましたので、ほとんど必要性がなかったわけですね。
また、業者の方と言っても、ディーラーさんであったり、整備工場のかたに取っては、
仕入れコストから考えますと、本当に現状の方が安くなりますし、その方が都合がいいようですね。
わかる限りの不具合や点検した方がよいと思われる箇所はお伝えして、
後のユーザーさんに気持ちよく乗っていただけるように気を付けているつもりではいますが・・・。

で、今もそう言う状態で店頭に並んでいるわけです。
買われる方も、そう言ったことには信頼関係が出来ていますので、
ほとんど外観以外で何も言うことはありません。
整備についてはこちらに一任されているわけですので、
逆にかなり整備には神経を使ってしまいます。
部品交換の点数も結構出ることも多いわけですが、きちんと整備することは、当たり前のことになります。
添加剤はまず使用することがなく、整備が主体です。
不思議な販売店なのかも知れませんが、お陰様で、なかなか乗り換えてくださらないのも
困ったものです。笑。

ただし、代車は別です。添加剤も入れてますし、オイル交換並びに整備も自分で気にいるまで、前もってしているつもりです。
メンテナンスしていない場合は、もちろん出すことが出来ないわけです。
代車は古いか過走行車が多くなりますし、ユーザーさん方の利用の仕方は様々ですので、
万一走行中にトラブルがあるのは耐えられません。
この前も(販売した中古車の納期が間に合わず)代車で京都−九州の旅行をされた方がおられまして、
とても気に入ってくれました。
(暗に、この車=S63式8万キロ走行、シビックSI・AT、でいいという様子なので当惑してしまいましたが・・・。)

また、時々使用後に不具合が無いかどうかもお聞きしたりしています。
代車は、古くとも=古いから神経を使う訳なのです。
まあ、まれに途中の点検をする暇もなく入れ替わり立ち替わり出てしまう場合もありますので、
全く、故障しないと言う保証はありませんが・・・。

仕事ですから、だからこそ、うまく売ってしまえばいいと言う考え方には抵抗があります。
けれど、始めての方にこちらの思惑を知ってもらうのには無理があることは承知していますが、
それでも、言いたいことを、言わず、やりたいことをしないで仕事するのは耐えられません。
それでうまく行かなければ、自分のせいですから、仕方がありません。
性格が合わないかたがおられるのも仕方ないでしょうね。(諦めています。)
好きで始めた訳ですから、何故かそれでも楽しい日々です。
(最近老化で疲れやすくなっているのが気になりますが・・・)
で、小さい頃、友人に言われたことを思い出します。
「まあ、一人ぐらい変わったやつがいるのもいいんじゃない?・・・・」笑。

販売した中古車に整備上、添加剤を入れる場合は、
ほとんど前のユーザーのメンテナンスの続きのような形になる事になります。
例えば、必ず水まわり(サーモスタット交換+LLC+ラジエターキャップなど)と
オイル関係(エンジンオイル交換+ギアオイル+ATF+オイルにじみ等のチェック)は確認、交換して出すわけですが、
すべてのエンジンやモデルによるウイークポイントを知っているわけではありませんので、
水まわりで「これは」という気がしましたら、追加にラジエターフラッシングもしますし、
トリートメントも入れることがあります。
もちろん、不具合がある場合は、当然交換(ラジエターなどは中古・リンク品)になります。
きちんと点検整備すれば、不具合は一目瞭然でして、何らかの兆候が必ず出ることになります。
ただし、それがいつ出るか不確定要素が強いサーモスタットなどは必ず交換します。
普通、サーモスタットには製造された年月が刻印されていますので、3年間以上経過した場合は必ず交換します。
いくら、錆が出ていなくても、不具合がなさそうでも、サーモスタットのスプリングは経年劣化しますので、
交換した方がいいわけです。
新車からのオーナーさんの場合でも、5年ぐらいまでが限度と思われます。

と言う具合に、見て行くのですが、そうやって見て行けば、添加剤の出る幕は無いのです。
添加剤を入れなければいけないほどの車は、基本的に販売してはいけないように思います。
(ただし、ユーザーさんの償却期間に沿うように、お薦めすることは往々にしてあります。
また、販売後相当の月日が経ってから発生する場合は、ある程度の範囲で故障も仕方ありません。
出来るだけ安く直す方法を取ります。)

で、困るのは、添加剤で、ある程度症状が無いかのようにすることが出来てしまうことなのです。
例を挙げますと、困った方々がしそうなので心配ですが・・・。
例えば、エンジンをアイドリング状態で安定した低回転にしている時、ファンベルトが鳴るような音が
聞こえてくることがあります。
この音の原因は大きく2つ考えられます。
一つはファンベルトの劣化、張りが弱い場合などのベルト鳴きの音です。
もう一つはウォーターポンプから出る音、プーリーなどのベアリング音の場合があります。
ファンベルトやテンショナープーリーなどはまあ消耗品として事前に交換してしまえば良いのですが、
困ったのはウォーターポンプからの音や、ダイナモ(オルタネータ)、エアコンのコンプレッサーから出てくる音なのです。
これらは、その状態を確認し、使用期間を考えて、交換するかどうか決めるのですが、
最近はダイナモ(オルタネータ)やエアコンコンプレッサーリンク品(修理済み品)も安く出回っていますので、
理由を詳しく説明すれば、ほとんどの方は交換を希望されます。
もちろん、最初からまるっきり悪ければ(ガタなど発生している場合など)、交換するのが当たり前ですから、
説明などする必要がありません。
納車整備はそのためにするのですから。
(予算が限られてますから・・・貧乏暇無しになるわけです・・・)

けれども、年式が古くなったり、走行距離が増えてきますと、ある程度ガタがつきまといますし、
予算の関係から、すべて新品と行かないのが常なのです。
使用に耐える箇所は、ある程度は交換できなくても仕方ないかも知れません。

上記の例で言いますと、ウォーターポンプの軽微な鳴きは、添加剤でほとんど止められます。
コンプレッサーの軽微な異音もほとんど消すことが出来ます。
と言うのも、販売してから何年か経ちますとそう言った音が出る事があり、
ユーザーさんからファンベルト交換を依頼され、交換しても直らないことがあり、調べた結果、
ウォーターポンプから発生しているのですが、ガタも漏れもなく、予算の都合から、音だけ直らないかと
言われて取った方法の経験が2、3あるからなのです。
添加剤の使用はほとんどこういった経験から来ている場合が多いと言うことになります。

ウォーターポンプからの場合はエンジンを切る時の音を聞きます。
独特の音がエンジンが止まる間際までしますので、大体推測が出来ます。
わからなければ、ベルトにCRCでもかければ、ベルトの音かそれ以外の音かぐらい判断できます。
(場合によっては、ウオーターポンプではなくタイミングベルト側の各パーツの音の場合もあります。)
この場合はラジエターの水を少し抜き、添加剤を入れることで消えればウオーターポンプからと判断できます。
で、ユーザーさんに交換を説明するのですが、古くなればなるほど予算はかけたくないのが人情です。
そのままでいいと・・・。苦笑。

コンプレッサーなども同様に添加剤などを入れることで消えることがほとんどのようです。
この場合は、重大な問題も起こりませんので、それでもまあいいのでしょう。

その他、ラジエターの漏れ止め、ウオーターポンプからのにじみ止め、バルブステムシールからの白煙防止、
エンジンオイルの漏れ止めをはじめ、パワステオイルのにじみや異音止め、ATFオイルパンからのオイルにじみ止め、
ドライブシャフト異音解消剤、マフラーの排気漏れ補修、etc.・・・それぞれ用途があるわけですから、
添加剤や補修用品はかなり知られているのでしょう。
ただただ、販売する側に立つ方々には、無茶をしないで欲しいと願うばかりです。
その上で、
添加剤の利用は、あくまで故障個所の特定であったり、点検・確認した上で、問題が無い箇所に
限る必要性を感じます。

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