GRPの極圧特性でJPEGの方では11トン/cm2とあるのに、GRPのテキスト文では11〜15トン/cm2となっています。
GRP社の説明テキスト文の中では11トンなのに、最終ページの表データの中には15トンになっています。
どちらなのかと言いますと、現在は後者の15トン/cm2が正解です。
パンフレットも前者の11トン/cm2となっていますが、少し古いデータなのです。
2005年1月現在の最新のNEW−GRPの表記は11トン/cm2と元に戻していますが
これはリスクマージンを兼ねた表記で、
産業界でも広く行き渡っているのですが
現在の改良タイプのGRP(当初の製品からも2回ほど改善されています)と同じ数値で
表示されています。
元来、産業界用の添加剤ですから、問題解決の為にあるわけの添加剤の使命に、
長期安定性に欠ける製品と言うことがあってはいけないことになります。
価格は2倍でも5倍でも、性能と安定性など、品質面でOKなら産業界は使用しているわけですし、
確かにそこまで自動車で要求されるかは考えてしまうわけですが・・・・。
で、
もう一つ高くなる理由は、
製品のサポート体勢や製品の新しさ(在庫処分などの品でないこと)など企業側の問題です。
パッケージ代、リーフレット代などの宣伝費、
通常の流通ではPL法の対象として販売され、保険などもかけられていますので
そういった諸費用も多少加わります。
また、大事な
添加剤成分の規制面からの
化学物質等安全デ−タシ−ト(MSDS)が揃っているかとか
化学物質排出移動量届出制度PRTR(Pollutant Release and Transfer
Register:)
に対応・適合しているかの調査、資料提出などの費用も大きいでしょう。
万一の保険と考えるなら、なおさらのこと。
製品自体に問題がありクレームがあっても知らぬ顔で
すぐやめてしまうような企業であったり個人でしたら
余程、その商品に詳しくないなら、不安の方が大きいと言えます。
多くの添加剤が消えていったここ20−30年間ぐらいの中でも
とんでもない製品が如何に多かった事か思い起こされます。
ですから、GRPが出た時もテスト期間は2年程取り、安全性など確認しましたが、
その後も、良い添加剤と確認できています。
それと、20年前のエンジンの材質や機構と現在のそれとが同じかどうかが
気になるわけです。
エンジンなどの場合、添加剤使用で不具合が出て来るのは
使用開始のエンジンの状態で随分変わるのですが、新しい、良い状態のエンジンでも
大体2−4年ぐらいかかってしまうので、使っても最初不具合に気が付かない事も起こりえます。
20年以上前の古いタイプの添加剤では
古いエンジンには問題ないかもしれませんが、最新のエンジンにはトラブルの原因となるかもしれないと
危惧してしまう理由に、そんな経緯があるわけです。
実際にはラボデータで比較すれば良いのでしょう。
体感などでは本当は判りにくいものですし、
十分テストをされて、慣れている方でなければわかり難いとはお聞きしていますが、
GRPをサーキットで自動車用で使用されている方も
NEW−GRPでは更に性能アップしている事を教えてくれました。
特に産業界では、様々な機構において使用される添加剤ですから、
さらに膨大なデータを集め、実際の機器にてテストされるということになり、
何が問題点なのかが段々解ってくるようになり、
そのための処方が施されて、現在のGRP・NEW−GRPになったわけです。
理論的な成分やデータがあっても、オイル添加剤ですから、
単に自動車用と言っても、
理論的なデータと実際のテストデータで全く問題がない場合ですら、
現地使用においては、100%効果が発揮されないと言うことが起こりうるわけです。
ベースオイルにすでに添加剤(一次添加剤)が入っているオイルとの相性もあるわけですし、
内燃機関などでは、燃やす燃料に含まれる成分も添加剤に影響を与えるわけで、
製品の品質に影響が出るような事があってはいけないわけですから、
日本に於いても、様々な方面からのアプローチがあったと言うことは言うまでもありません。
このHPのAPI規格にもありますように、ディーゼルオイルには次のように記載しています。
特に水溶性切削剤においては添加剤の効果の現れ方の違いが顕著に現れていまして、
使用する「水」が
工業用水なのか、蒸留水なのか、井戸水なのか、硬水・軟水なのかなどで、
全く異なる結果になってしまうわけです。
例えば、さび止め剤を使用したとした場合、テストされた現地の水質でのデータでは
十分すぎるほどの成果が上がっていても、
異なる地域の水質では錆が発生してしまうことが実際、起こるのです。
この事は日本でも、クーラント交換時の(薄める為に使用される)水が地域によって異なるということで、
不適合な水質の水が使用されるとわかっている特定地域では、
あらかじめ薄められたクーラントをそのまま希釈せず使用できるよう販売されていることがあります。
このため、いかに優れた添加剤であろうと、現地のデータを無視できないことになり、
現地にあわせた開発がなされると言うことになるわけです。
添加剤同士はブレンドする添加剤の成分や構造式で相乗効果をあらわすことがあり、2倍にも3倍にもその効果が
向上することもありますが、逆に相殺するような場合は1/2倍、1/3倍というように、
「入れない方がましだ」と言う結果にもなる事はすでに他で記載していますが、
そう言うことが、添加する元のオイルの成分によっても言えるわけです。
日本のオイルの成分と欧米のオイルでは含まれる添加剤も異なるわけですし、
自動車用オイルなどは元々その国で使用するために作られているわけで、
添加剤ブレンドが違う場合がほとんどなのです。
もちろん理由は様々でして、これは燃料の成分差についても一因があります。
国によって燃料に含まれる成分に違いがあるからです。
オイルは販売される現地で生産、ブレンドされることが普通で、輸入される製品もテスト・分析されて販売されています。
あわない場合は、生産国にその処方を変えてもらうか、場合によっては使用国での生産になる場合もあります。
日本用のオイル缶には「日本での使用において」の保証が付けられている理由の意味は、
こういうところにも現れているのかも知れません。
他国の添加剤を使用して、同じ結果が出るとは限らないと言うことは上記の事からもご理解いただけることと思われますし、
単に輸入しただけではその効果が十分発揮されない事が起こりうる場合は、
使用国での改良が必要になります。
そう言う製品の一つがオイル・添加剤と言うことも言えます。
なお、
一般の添加剤がA・B・C・・・とそれぞれ一つずつ効果を出してくるのとは異なり、
GRPの場合、添加剤の効果の現れ方が、一般の添加剤のようではなく、
A’・B’・C’・・・と言う添加剤のうち、A’+B’=F’と言うように、全く異なる現れ方で効果を発揮するところが
不可解な添加剤とされているようです。
内燃機関の権威であられるS.I博士が言われたか言われなかったか、
「神(=作った化学者)のみぞ知る」というわけで、多くの研究機関が謎のままプロジェクトチームを解散したといういきさつを聞き、
(偶然にもその担当者の知人からも同じ内容の事をお聞きしました。)
潤滑の世界の不思議を垣間見るような気がいたしました。
実際、世界にはまだまだ理解されていない出来事が無数にあるわけでして、
好奇心の続く限り、楽しんで入っていきたい気持ちはありますが、
凡人故に温故知新とは、夢のまた夢・・・笑。
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