肩の凝らない、しかし、嘘かもしれないページ76
サイドブレーキを使用すると不正車検?!

ユーザー車検のページでサイドブレーキを使用しての車検について書いていますが、
その事についてご意見を頂きました。どうもありがとうございます。
「車検場によっては、検査官はモニターカメラで不正がないか監視していますが、この記事を見た誰かが
サイドブレーキを使うところを見つかった場合、その人が不正であることを知らなければ、検査官に
このホームページにそうするように書いてあったと説明するでしょうし、そうなれば貴方のホームページも
まずいことになるのじゃないかと思えるのです。もちろん貴方は不正受験であることはご存知でしょうけど、
色々な人が見るものですから一言注意書きがあっても良いのではないかと思いました。」
と、あり続けて
「私も昭和60年頃整備士をしてましたので、ファミリアのブレーキには、苦労させられました。
まともに受験したのでは合格できないので、サイドブレーキを引いたまま車検場まで走っていってブレーキのあたりを出したり、
確か自動調整だったブレーキをあらかじめきつめに調整することで受験し合格する事が出来たと思います。
そして、当時の○○車検場と○○車検場の場合、ファミリアの場合でもサイドブレーキを使うことは不正受験とされていて、
意地悪な検査官は、ファミリアで受験に行くと特にサイドを使用してないか注意して見ていたようです。
また私の先輩はファミリアかどうか忘れましたが、サイドを使ったところを見つかって大目玉を食らっています。」
と、頂きました。
当時、サイドブレーキを使用して車検を通すことはある意味で普通に行われていた背景を想像できます。
で、どういうわけか、段々とサイドブレーキの「効き」の基準値は引き下げられてきまして、現在ではそのファミリアでも
多分検査には合格するでしょうし、万一不合格が出ましても検査官が機転を効かす人であるなら、
測定値から判断して合格をもらえることも「実際に」あります。
(×が表示されても合格なんです。びっくりしますでしょ?ただし全自動式では無理かな?)
機械の調子だってありますし、天候が悪い日の試験では、基準値の判断を僅かに下げるような事も、経験上なされているそうです。
サイドブレーキを使用することを指示されることも実際あるようですが、
この場合は、テスターのローラーで、車体が持ち上がるような特殊な場合で行われているようで、測定不能な場合でだけで、
普通リアブレーキでは指示されることはないという見解を頂きました。
(軽自動車の場合、車体が軽いのでテスターのローラーによってずれてしまうことが多いのですが
これで落ちることはまずなかったと思います。)
と言うわけで、サイドブレーキ使用は「検査官によって指示されることはあり得ない」と陸運局の方に説明を受けましたのですが、
記憶違いなのか使用を指示された経験があるのが不思議なんですね。年のせいか、笑。
ただし、今のところ「不正」とお考えください。
こういった制動力不足の場合、普通はブレーキペダルのポンピングを指示されるそうです。
ライニングの隙間(クリアランス)が広すぎる場合は、これで対応できますが、
必ず整備をし直し、何らかの対処は行ってください。
(点検せずにほとんどの方が持ち込まれると言うのも困った現象ですね。)

で、本当にこういった基準値はよく変更されます。
また、検査官によって合格・不合格が微妙に違うこともあります。
下記に現在の制動装置の検査実施要領を抜粋しておきますので、ご参考に。

4−9−1 ブレーキ・ペダル又はブレーキ・レバーからホイール・シリンダー又はブレーキ・チャンバまで(ホイール・シリンダー又は
ブレーキ・チャンバを有しない系統の場合にあっては、ブレーキ・シューを直接作動させるカム軸等まで)の部分がそれぞれの
系統ごとに独立している構造の制動装置は、保安基準第12条第1項、第2項及び第3項の「独立に作用する2系統以上の制動装置」
とみなすものとする。
4−9−2 次の各号に掲げるものは、保安基準第12条第1項第1号の基準に適合しない例とする。
(1) ブレーキ系統の配管又はブレーキ・ケーブル(配管又はブレーキ・ケーブルを保護するため、配管又はブレーキ・ケーブルに
保護部材を巻きつける等の対策を施してある場合の保護部材は除く)であって、ドラッグ・リンク、推進軸、排気管、タイヤ等と
接触しているもの又は走行中に接触した痕跡があるもの若しくは接触するおそれがあるもの
(2) ブレーキ系統の配管又は接手部から、液漏れ又は空気漏れがあるもの
(3) ブレーキ・ロッド又はブレーキ・ケーブルに損傷があるもの又はその連結部に緩みがあるもの
(4) ブレーキ・ロッド又はブレーキ系統の配管に溶接又は肉盛等の修理を行った部品(パイプを二重にして確実にろう付けした
場合の銅製パイプを除く)
(5) ブレーキ・ホース又はブレーキ・パイプに損傷があるもの
(6) ブレーキ・ホースが著しくねじれて取り付けられているもの
(7) ブレーキ・ペダルに遊びがないもの又は床面とのすきまがないもの
(8) ブレーキ・レバーに」遊びがないもの又は引き代のないもの
(9) ブレーキ・レバーのラチェットが確実に作動しないもの又は損傷しているもの
4−9−3 指定自動車等に備えられている制動装置と同一の構造を有し、かつ、同一の位置に備えられた制動装置又はこれと
同等の制動能力を有する構造の制動装置であって、その機能を損なうおそれのある損傷がなく、ブレーキ・テスターを用いて
(1)の状態で計測した制動力が(2)の各号に掲げる基準に適合するものは、保安基準第12条及び第13条に規定する制動能力
を有する例とする。
(1) 計測の条件   検査時車両状態とする。
(2) 計測値の判定

(イ)自動車(被け引自動車を除く。)の主制動装置にあっては、制動力の総和を検査時車両状態(注1)における自動車の
重量で除した値が4.90N/kg以上(制動力の計量単位として「kgf」を用いる場合においては、制動力の総和が検査時車両状態
における自動車の重量の50%以上)(注2)であり、かつ、後車輪にかかわる制動力の和を検査時車両状態における当該車軸の
軸重で除した値が0.98N/kg以上(制動力の計量単位として「kgf」を用いる場合においては、制動力の和と検査時車両状態に
おける当該車軸の軸重の10%以上)であること。
(ロ)最高速度が80km/h未満で、車両総重量が車両重量の1.25倍以下の自動車の主制動装置にあっては、(イ)に
かかわらず、制動力の総和を車両総重量で除した値が3.92N/kg以上(制動力の計量単位として「kgf」を用いる場合においては、
制動力の総和が車両総重量の40%以上)(注2)であること。
(ハ)被けん引自動車の主制動装置にあっては、制動力の和を検査時車両状態における当該車両の軸重で除した値が
4.90N/kg以上(制動力の計量単位として「kgf」を用いる場合においては、制動力の和が当該車軸の軸重の50%以上)(注3)
であること。
(ニ)主制動装置にあっては、左右の車軸の制動力の差を検査時車両状態(注1)における当該車軸の軸重で除した値が
0.78N/kg以下(制動力の計量単位として「kgf」を用いる場合においては、制動力の差が検査時車両状態(注1)に
おける当該車軸の軸重の8%以下)であること。
(ホ)保安基準第12条第1項第9号及び第10号、第2項第4号及び第5号、第3項第5号、第4項第5号及び第6号並びに
第5項第5号に規定する制動装置にあっては、制動力の総和を検査時車両状態(注1)における自動車の重量で除した値が
1.96N/kg以上(制動力の計量単位として「kgf」を用いる場合においては、制動力の総和が検査時車両状態(注1)
における自動車の重量の20%以上)であること。
(へ)保安基準第13条第3項の被けん引自動車の制動装置にあっては、制動力の総和を検査時車両状態における自動車の
重量で除した値が1.96N/kg以上(制動力の計量単位として「kgf」を用いる場合においては、制動力の総和が検査時車両状態
における自動車の重量の20%以上)であること。
※(注1)検査時車両状態における自動車の各軸重を計測することが困難な場合には、空車状態における前軸重に55Kgを
加えた値を検査時車両状態における自動車の前軸重とみなして差し支えない。
※(注2)ブレーキ・テスターのローラー上で前軸重の全ての車軸がロックし、それ以上制動力を計測することが困難な場合には、
その状態で制動力の総和に対し適合するとみなして差し支えない。
※(注3)ブレーキ・テスターのローラー上で当該自動車の全ての車軸がロックし、それ以上制動力を計測することが困難な
場合には、その状態で当該車軸の軸重で除した値が4.90N/kg以上(制動力の計量単位として「kgf」を用いる場合においては、
当該車軸の50%以上)とみなして差し支えない。
で、リアブレーキ測定でサイドブレーキを使用するなどの行為は、

不正行為としては規定では記載されていないようでして、あくまでも現場における指導的要素が強いようです。
なお、上記のようなリアブレーキで不合格となるおおよその原因は
1.ドラムとライニングの隙間が多すぎて、ペダルの踏み込みによるオイル量ではピストンの移動が少なすぎるため
制動力が出ない。この場合はブレーキペダルのポンピングで合格できる。サイドブレーキ(ワイヤー)調整で出来る場合もある。
2.左右の制動力の差が大きい。(タイヤの摩擦力の差による場合もあれば、
クリアランス自動調整機構が正常に機能していない=固着など、の場合もあります。)点検が必要です。
3.マスターシリンダーでブレーキオイルの逆流が起きているため、オイルによる力がホイールシリンダーへうまく伝わっていない。
マスタ−シリンダーの修理が必要。ペダルを踏んでDレンジで停車していると、ペダルの沈み込みが大きくなったり
動いたりする事がある場合、可能性は高い。マスターバックとブレーキマスターシリンダ−の間からブレーキオイルが
漏れている場合もあるので、この場合は目視で確認出来ます。
4.タイヤが濡れており、検査用ローラーと自動車のタイヤ間で摩擦がきちんと発生していない。
この場合は、2−3回測定すれば合格が出る場合が多い。
5.リアブレーキでの部品の組み付けに異常がある。又は、ブレーキオイルに気泡が含まれている。エア抜きやオーバーホールが必要。
6.サイドブレーキワイヤーの固着があり、片方だけ効いている。又は両輪ロック気味の状態になっている場合がある。
サイドブレーキワイヤーの交換が必要。多分これはピットでも目視でわかりますから、そちらでも指摘され合格できないでしょう。
7.その他。
なお、ブレーキのテスターによる測定だけでは、合格してもブレーキの状態がどうなっているのか判断できません。
あまりに神経質になる必要もないのですが、合格したからといって、安心だということも出来ません。
ブレーキの調子が普段の状態と異なるようでしたら、車検とは切り離して、安全第一ですから、
すぐに点検されることをお薦めします。
ブレーキオイルが漏れていてライニングを濡らしていても、マスターで逆流していても、ライニングがすり減っていても、etc.・・・
上記テスターぐらい楽々合格してしまうわけですから、怖いのです。
 
次のページへ

前のページへ

ご意見、ご感想こちらへ

メールが送れない場合:macchann@mbox.kyoto-inet.or.jp


ホームページへ inserted by FC2 system