肩の凝らない、しかし、嘘かもしれないページ78

様々なオイルや添加剤の評価依頼を受けますが・・・。

HPの内容のせいでしょうか、使用したことのないオイルや添加剤の評価を求められることがあります。
実際に添加剤は結構な種類の商品群がありますし、オイルもメーカーによって一通り種類があるわけですから
テストするとなりますと、多分一生かかっても無理だと言うことがわかります。
また時々、添加剤など新商品のテストを依頼されることもあります。(役得ですね。笑。)
けれど、十分な機器が揃っている事など、そういった研究所しかないわけですので、
残念ながらこちらではインプレ程度の評価しかできません。
けれどほとんどの場合は試供品を頂くことはなく、
ラボデータをまず頂けるかどうかが先で、それを見て検討して実際試すかどうか考えてから購入しています。

オイルも添加剤も進歩改良が2年ぐらいの間に行われていますし、エンジンも性能向上をし続けていますので
同じブランドの「同じ商品名のオイル」を評価出来たとしても、旧オイルとなってしまうことが起こりえます。
そういった場合がありますと、インプレッションも同じ銘柄のオイルを使用してもかなり変わる事になります。
オイルに最初から入れられている添加剤にしても、後から入れる添加剤にしても日進月歩ですから、
その時点での評価が古くなってしまうことも起こりうるわけです。
メールにてお寄せ頂いた数多くのオイル使用遍歴経験者と同じように、
私自身も経験があり、以前は物足りなかったオイルが2−3年すると「良いオイル」になっていることもあり、
「現在の評価」がそのオイルや添加剤の改良後の評価とはならない点が、評価の難しさと言えそうです。
もちろん使用しているオイルはオイルの卸業者の扱うオイルに限定されますし、その全てを扱うわけにもゆきません。
一応の実車テストはしているのですが、自分の自動車ではその種類も限られてきますし、

そのオイルの「代表性状」から判断して選択をすることがほとんどになります。

 
整備側としては「問題がなければそれで良い」わけですから、
各ディーラーでも、出来るだけ少ない種類のオイルで対応することになり、普通は5種類程度しか扱えないでしょう。
値段というのは正直なものでして、安いからとんでもないオイルというのではなく、
規格の上での標準の上にさらに良いオイルとしてあるわけでして、それが必要かどうかは
また別の基準によるのではないかと思えます。
(メーカー側にとっては今の基準は「省燃費性」とか、「長期耐久性」になるのでしょう。)

 
けれど例えば、オイルの粘度一つ取ってみても、同じ10w−40のSAE粘度分類からは微妙に異なる「幅」が出てしまいます。

このオイル粘度の幅が結構気になります。
その為、時々メーカーでは分類にない「7.5w」と言う表示の商品を出したりすることもあります。
「w」の付いた方は低温時で、しかもマイナス25度Cとかマイナス30度Cとかでの話ですし、
特別な地域の方でなければ、オイルが冷間時に固くて始動が出来ないと言うことはないと思われますし、
猛暑での走行では100度Cで高温粘度を表示されていても、油温自体がもう少し高い場合がほとんどですから
意味が薄れてしまう場合があります。
 
もちろん粘度指数などは一つの目安ですが、これが高いから絶対的に良いフィーリングがえられるとは限りません。
粘度指数とはオイルの粘度が温度の影響を受けにくく、オイルのくっついている量が冷間時と高温時で
変わりやすいかどうかの目安な訳で、また別の事と言えそうです。
油温150度Cでの粘度評価が欧米から始まって、規格に加えられていますが、
日本では通勤程度にしか使用されない自動車ではそこまでの温度はあまり必要がないように思われます。
鉱物油の温度による油膜の減少が考えられる130度Cあたりでも、20分程度の使用状況では問題ないと思われますし、
実際、夏でも5w−20で十分使用可能なはずです。
エンジンが高温にならない場合にとっては、始動後の20分程度までの粘度による抵抗を緩和させる方が
省燃費にも重要ですし、低温スラッジ対策もなされているでしょうから、
かえって高温型オイルよりオイルが劣化しにくいのではないかと思われます。

 
ただ、通勤だけに使用するエンジン用オイルという商品があっても、マルチグレード化されている現在のオイルから見ますと変ですし、
5W−20などが省エネオイルとして推奨されている自動車では、高速ツーリングでいわゆる「熱ダレ」を起こすなどと、
ご意見頂いていますのを考えますと、
どんな状況にも最適な粘度を持つオイルと言うのは、作る側にとっても無理難題と言えそうで、
結局は、「自分の感性を信じて」オイル選択をされてゆくしかないように思われる次第です。

 要は粘度を中心にオイルを選んで、実際自分の自動車で試してみるしかなさそうなのです。
これだけオイルがたくさんあるわけですから、季節によってオイルを変えてみたりと、比較していますと
1台の自動車で試している内に、同じ銘柄でも粘度指数などオイルの性能が変わったり、廃盤になるオイルが出たり、
同じオイルを使用し続けることも難しいわけですが、
オイルだけでも変えることで十分楽しむことが出来ますし、
普通に使用するならば、余程のオイルでない限りエンジンを壊すことはないでしょうから、
そのうちに自分の使用状況と自動車との相性から、ある程度絞り込めてくるように思えます。

オイルによる微妙な違いがわかってきますと、
マニアックな世界に入り込むことが出来ます。(笑)。
こうなりますと、オイル販売店やメーカーの説明無しで、同じ銘柄のオイルがどういう風にマイナーチェンジしたか
わかってくるようになってくるでしょう。
ただし、自分でオイル交換して廃油の状態を観察しませんと耐久性などわかりにくい事もあります。
で、こちらではどうしているかと言いますと、
やはり、10種類程度しかテスト出来ず、ユーザーの評価をお聞きして、オイルを変えることもある訳なのです。
その自動車のメーカーが推奨する粘度帯を基準にすることになるわけですが、
こちらでは、純正オイルを使用したことが、仕事の都合上ありませんので、
粘度として、40度Cと100度Cでの動粘度を見ることになり、
使用状況や一定期間内の走行距離も考えて行う事になります。
もちろん、ユーザーさんのご要望が第一条件になります。

オイルを変える場合、基本的には、
使用状況や季節によって変えることもありますが、
コスト的な関心もユーザさんにとって大事ですから、高価なオイルは最初はお薦め出来ずにいます。
現在、そういった汎用オイルの部類に(1000円〜1200円/1L)
カストロール:マグナティック10w−40、ワコーズ:プロステージ10w−40、ダッカムス:NAスポーツ5w−40などがあります。
10w−30があっても良いのですが、何故か、扱っていません。
いきなり300V(5w−30、10w−40、15w−50)や4CR(5w−40)では、ユーザーさんに怒られますし、
(ナプロなどもありますが高すぎて誰も買ってくれませんし・・・。笑)
シントロン、RS、レースプルーブンでも結構値段が高いわけです。
オイル代+添加剤になりますと、話では効果など説明をしますが、積極的にお薦めすることは少ないといえます。
1回のオイル交換に支払われる事になれば
ユーザーさんの負担も結構高いわけですから、結局、整備だけでは戻らないような場合に利用されることも
しばしば出てきます。
 

良い物は良いのですが、基本的な整備にかける費用を削るわけにはいかないからです。
添加剤の場合は、オイルを何にするかという事で上記のように、かなりエンジンの雰囲気が変わってきますので、
もう少し評価がわかりにくいかも知れません。
ミスマッチのオイルを使用したエンジンでは、いくら良さそうな添加剤を入れても、その効果を発揮できるとは限りませんし、
不調原因が潤滑と異なる場合などでは、なおさらのことです。
例えばエアクリーナーが詰まっている自動車では高回転域が添加剤を入れても伸びないとか、
バルブや燃焼室がスラッジ・デポジットで覆われている場合は、エンスト症状などエンジン添加剤などでは
どうしようもありません。
エアクリーナーを替えるとか、エンジンコンディショナーなどで綺麗にするほうが、よっぽど効果的と思われます。
添加剤で改善出来る範囲は限られているわけですが、症状などの出方はいろんな原因がありますので
総合的な判断が出来た上で、添加剤を試されたほうが良いと言うことになってしまいそうです。
添加剤の評価などは本当に難しい事になります。
本当はオイルと同様にインプレ的な評価でも良いのかも知れませんが、
未だに使用したことのない添加剤のほうがたくさんあります。
また、成分が何かなどわからない場合がほとんどですし、短期間での評価は間違うことも起こります。
入っている成分がうまく使用しているエンジンの弱点を補ってくれるかどうかによっても変わってきます。
ポリマー系の添加剤の場合などを使用しますと、オイルの粘度なども変わってしまいますので、なおさら評価がしにくいことがあります。
昔々、あるポリマー系添加剤をテストした時は、冬でしたから、通勤程度の使用ではかえってエンジンが重く、
走らなくなり、会社に着く頃になって、そこそこ調子が良くなるので、すぐオイル交換をしてしまった事があります。
けれど、その添加剤をくたびれかけた廃車寸前の軽自動車に使用しましたら、
あら不思議。今までエンストしがちだったエンジンが、今にも止まりそうなのに、それでもエンストしなくなり、
クリアランスを充填させる効果の方が大きかったわけで、長距離走行時には、かなり良好なフィーリングが得られました。
ただ、その後オイルの粘度を1つ堅めに変えても同じようだったわけで苦笑してしまいました。
ディーゼル車に長期間使用したときは、廃油がかなり異常に増粘していましたので、現在では短期間使用に
限って使用するようにしています。値段が安いので使い勝手は良いのですがそれでも滅多に使用しなくなりました。
固体系添加剤の評価を求められることは少ないのですが、すでに商品もそれほど多くなくなってきていますので

助かるのですが、チタン系は試したことがありませんので分かりません。
最近多いのが、表面改質系の添加剤なのです。
これは、実際に試して評価すると非常にいいのでしょうが、皆さんからいただくメールから大体推測が出来てしまいますので
あえて、しない方が良いかなと思ってしまいます。
また、値段も高い場合が多く、1つの添加剤で継続的な使用による評価が2年くらいかかってしまうとなりますと、
やはり時間的には無理と言わざるを得ません。

良いオイルや添加剤の評価はやはりオイル・添加剤メーカーでするしかないのでしょうか。

次のページへ

前のページへ

ご意見、ご感想こちらへ

メールが送れない場合:macchann@mbox.kyoto-inet.or.jp


ホームページへ inserted by FC2 system