ディーゼル車の黒煙を少なくする事が出来るか?
(果たしてこの題で書けるのだろうか・・・。)
最近17万キロ近く走行したH1式パジェロ、ディーゼルターボの出足とそれに伴う黒煙をユーザーさんから相談され、
改善できるかどうかを整備面と添加剤面から取り組むことになりました。
実際に走行してみてエンジンが暖まってからは、普通に走行している限りあまり黒煙は出ない状態ですが、
1日置いてからの始動時や、しばらくエンジンを止めた後などのエンジン冷間時に急な加速をしますと、
結構、黒煙が発生します。特に1−2速(MT車)の急加速に発生が多い状態です。
アイドリング時は僅かにしか発生していません。
まず、基本的には空気を十分吸引出来ているかと言うことで、
エアエレメントの点検、ですが、もうそろそろ交換かなと言う程度で、これが加速や黒煙に影響があるとは思われなかったのですが
思い切って交換。やはりほぼ影響なし。
次に、インジェクターの汚れを考えて、清浄剤にて掃除。(と言ってもインジェクター・クリーナーを軽油に添加しただけ。)
多分、時々添加しているので、影響はないだろうと思っていましたが、
これも、ほとんど影響なし。
実際は、これまで1度も燃料ポンプをOHしていませんので、その必要性も十分感じているわけなのですが、
まずは調整からと、タイミングベルトの張りによる燃料ポンプの噴射時期のずれとかを考え、
(特に三菱のタイミングベルトは「たるみ」が発生しますと、加速・黒煙が増加する傾向がありますので、)
テンショナーにて張りを調整しました。少したるみが発生していました。
けれど、それほど目を見張るほど黒煙の減少はありませんでした。(多少減ったように思えました。)
本当は噴射時期の調整もしたかったのですが、測定機器が無いため、パス。
また、EGRのポジションレバースイッチの不良かと考え、EGRを作動させるバキュームホースを外し、
加速の変化や黒煙の発生を比較しましたが、EGRを効かさない方が黒煙の発生は少ないのは当然で
加速の改善はそれほどありませんでした。ですからこのスイッチもほぼ問題ないと思われます。
エンジンそのものの特性かどうかも知りたかったので
メーカーのメカニックさんと相談して、黒煙の状態を空ぶかしにて確認したのですが、
距離から考えればむしろ状態がいいと判断。加速時の黒煙発生はある程度やむを得ないレベルと言うこととなってしまいました。
確かに、他の走行車の発生状態を気にするようになってよく見るのですが、
新しいモデルのディーゼル車でも、かなり黒煙を吐く車両が目立つのです。
これでは燃料噴射ポンプのOHしても、あまり変わらないかもしれないように思えた次第です。
まず、現在の状態を再点検する意味で、いつも通り走行してもらうことになりました。
約1000km程度走行した上で、こちらで黒煙がどういった状態でひどくなるかを再現することにしました。
と言うのも、実際走行してみますと、黒煙の発生はいたって「普通」ですし、
アイドリングなどでもよく目をこらして見ないと、出ているかどうか分からない程度ですから「異常」とは思えなかったからです。
ただ、上記点検・調整する前と比較して、黒煙の発生は少なくなっているように感じました。
調整効果があったのか始動時にしても、加速時にしても、少なくなっているようです。
強制的に黒煙が発生するようにするには、
1.発進時に2速で走るなど、十分加速出来ないギアを使用して無理な引っ張り方をする場合。
2.発進時1速でも、アクセル全開のような急加速をする場合。
と言う2点となりました。
で、ユーザーさんからのお話を聞きますと、
発進時に1速で加速すると夜間など黒煙が後ろの車のライトに照らされて、
ひどく発生していると感じるため、すぐ2速へ入れ、速度を出す走り方をされていたと言うことです。
そのため上記1.のような状況になり、さらに黒煙が発生すると言った状態になっていたのではないかと思われます。
他のトラックなどでも、よく見ていますと、常時発生しているわけではなく、
ある程度速度が出ているのに、どうして突然黒煙を出すのかの原因が、多少なりとも理解できるような気がしました。
また、
以前燃料添加剤などを使用した時は、黒煙発生がましになったとお聞きしていますので、
ひょっとすると、添加剤で発進時の加速が若干改善されて、スムーズに2速へシフトアップ
出来たのかも知れません。そのため、全体的な黒煙発生が減ったという事も関係があるかなと思いました。
ただし、現時点では添加していませんので、黒煙発生には逆効果となってしまった可能性はあります。
しかしそれでも、現在の発生状況は、前の点検時と比較してもどうしても少なすぎるように感じました。
高速走行で燃焼室が綺麗になったのか、排気管が掃除されてそうなったのかは定かではありませんが、
もう少しお聞きしていますと、現在入っている軽油は長野県の方で入れられたとかで、
いつも指定したスタンドでの給油しているのですが、燃料のメーカーも違うとの事。
まあ、これは疑っても仕方ない燃料の問題ですので、今回は関知しないことにしました。
(時々、こういった問題がネット上でもまた、ひどい場合はTVのニュースになっていることもありますよね。)
で、事前の状況を再現できたわけですので、同じ状況で、添加剤でどうなるかを比較するところまできたわけです。
燃料用の添加剤をおおよその割合で1%になるように30cc程度入れ、攪拌できないので、実走行する事になりました。
約20分程度して、アイドリング時の黒煙を見ましたが、まったく目視では確認出ませんでした。
そのため、メカニックペーパータオルで排気管から出る排気ガスを直接かかるように1分程度かざしましたが、
殆どといって良いほど黒煙は発生していないのがわかりました。
残念ながら、無添加時はごくかすかに発生していましたので、このペーパータオルによる比較は出来ませんでしたが、差は明確です。
ちなみに、排気臭も減っているように感じられました。
次に停車状態でアイドリング800rpmから急に約3000rpmへ回転数をあげて、黒煙の発生状態を比較しました。
添加する前との比較ではこちらでも目視で判断できるほど黒煙は少なくなっていました。
ただ、驚くほどの激減とは言えないまでも、少なくなっているとわかります。
無添加・添加と、共に何度も行っておりますが、
無添加でも殆ど黒煙発生がわからない時も確かにあったのですが、
発生が確認できる回数が確かに少なくなっているようです。
まれに、いきなり発生すると言う状態が減ったように思えます。
ただ、まったくすべて発生しないというまでの減少は起こりませんでしたので、
(当たり前ですね)今後とも様子を見る必要がありそうです。
なお、回転数が上がる速度も速くなって、トルクアップしたように思えます。
普通に走行する分では、急な登坂路がないため、比較が難しいので実際の走行での上記強制的な黒煙発生を試す事になりました。
普通定地走行のようなゆっくりした加速では、この時点でも、無添加の場合でも、バックミラーでは確認できていなかったからです。
走行によるテストは夜になってしまいました。
ただ、その方が、かえって黒煙が発生しているかを後続車のライトで分かりやすくなりますので好都合と、いざ発進。
けれども後続車両がないため、発進時は全く後ろが見えず、幹線道路までの状態は暗くてほとんどわかりませんでした。
幹線道路へたどり着き、流れのある道路でゆっくり流していましても、全く排煙らしき状態は確認できません。
で、黒煙発生モードに切り替えて、2速発進、1速での急発進を何度かしました。
結果は・・・
ユーザーさんの指摘された煙幕状態。
ライトの光も演出効果で使用されるくらいですから、かえってすごい状況を再現してしまうことになりました。
昼間でしたら、それほどではなかったのかも知れません。
停止時の無添加・添加の比較とはうって変わって、後続車両に謝りたいくらいに思えましたが、
当然、しばらくの間、後ろの車は近寄らないで車両間隔を大幅に取っていました。
ただ、攪拌がうまくいっていなかった性もあるでしょうし、夜間と言う悪い条件もあり、
昼間の低負荷では効果を見ることが出来たのですから、普通走行に於いては、もっと差が出たと思えます。
ただ、ユーザーさんの依頼にはまた別の方法を取らなければならないかもしれませんし、
ひょっとすると「不可能」な事をテストしているのかも知れませんね。
この件でメールを頂きました。
車関係の業者にもそのような例は?と、お聞きしますと、
セドリック(年式?)ディーゼルセダンで、黒煙を直すため、ディーラーで出来うる限りの修理を依頼され
(50万円以上の整備費を支払ったらしい)結果はというと、
多少、少なくなった程度ということで、「何をやっても無駄」とまで言明されていました。
ディーゼルエンジンの燃焼が困難な点が多いのは、ガソリンの燃焼と比べて短い時間内で
「燃料噴射−気化−拡散−自己着火−燃焼」をしなければならないからで、
ガソリン車が1回転分、時間的余裕を持つのに比較すれば、どうも、
燃焼の時間的余裕がない事によっているように思われます。
ここから派生して
1.着火遅れが生じやすい。→始動時に黒煙が発生しやすい。
2.希薄燃焼のため、取り入れられた空気と混ざり合う為には燃料を少なくする必要がある。→トルクが下がるor
トルクを稼ぐため、燃料を増量噴射=黒煙発生。
3.出力制御が燃料の噴射量だけで行われる。=噴射量が多いと黒煙が発生しやすい。
と言うように、黒煙発生にどうしてもつながりやすくなってしまうようです。
また、上記のカムリの例であるように、ススなどの蓄積も関係してくるようです。
メカニックさんからも
「仕方のないレベル」と言うのが、あらかじめあるようですが、現行の車両で、
少なくする方法を見つけだせないものか、
やはりエンジン機構を改良し、燃料を変える方法しかないのかと、現在進行しつつある
代替え燃料仕様ディーゼルエンジンに期待を寄せざるを得ません。
この添加剤の本来の目的である「省燃費」には立ち入れませんでしたが、アイドリング時での変化を考えますと
そちらが大切なのだと思えます。
副次的な効果でテストした訳ですから、申し訳ないと思っています。
で、現在ガソリン車でこのメーカーのオイル触媒を用いて、省燃費度をテストしています。
いつもの通りHC33のH4式ローレルになります。ほとんど通勤使用です。
で、やっと結果が出ました。
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