上記のように様々な形態に分かれる訳ですが、
潤滑油が実際の機器に使用されたとき、どういう摩耗を起こすかを、
多くの測定機器を使って、評価しています。
接触の仕方は、下記にあるように、
1.耐極圧性能が分かりやすい点接触
2.歯車などのピッチングなどの評価が現れやすい線接触
3.高速・低極圧に関連している面接触
に分けられますが、
自動車の場合、
それら、すべての接触が行われており、オイルとしての評価には必ずモデルとなるエンジンでの
テストがされ、各部品の摩耗度がチェックされて、規格品として扱われるようになります。
点接触 | |
線接触 | |
面接触 |
上記のようなテストで、金属の摩耗を見るわけですが、
金属表面の摩擦による発熱は閃光温度としてまず現れ、金属を溶かし、溶着させたりしながら、
金属の塊として、金属表面から剥がされてゆくことになります。
つまり、潤滑油の摩擦摩耗特性は金属表面の「発熱状態」に大きく影響されるわけで、
面圧(P)とすべり速度(V)との関係が大切な事柄になります。
ですから、PV値をどのような関係で現すことが出来るかを知った上で、
どのテスト法方が一番実際の機器の摩擦摩耗面に適合しているかを確かめないと、
とんでもない結果を招くことになります。
マイルドな摩擦をする箇所に、シビアーな摩擦形態に良い潤滑剤や添加剤を当てはめても、
本当に良い潤滑剤を得ることが出来ません。
反対に、極圧に耐える必要がある箇所に、マイルドな摩擦形態に非常によい潤滑剤を用いても
問題解決は望めないことになります。
また、摺動面が速い速度で動く場合、面圧は低い荷重になる場合が多くなり、
往復運動をする場合は、進行方向が変化しますので、油膜による潤滑が流体摩擦から
混合摩擦・境界摩擦へと移る場合があり、
そういった状況を再現しテストできるモデルも選ばなくてはならなくなります。
さらに、同じテスト(例えば四球テスト)でも
荷重の大きさと、速度の関係から、異なった潤滑領域が生じることが判っており、
それぞれの摩擦条件によって、摩耗形態が異なることになります。
高速ではマイルド摩耗からいきなり焼き付きへ変化し、普通見られる境界潤滑領域を
経ない事が起こります。
ですから、
チムケンテストなどは焼き付き最大荷重を調べるブロックオンリングになりますが、
回転リングの速さ、荷重のかけ方(かける速さ)などでも摩耗の仕方や
焼き付き荷重が異なってくる事になりますので、
「手動」で行う場合はあくまでも「目安」と見た方がいいと思われ、
誤差も相当出ると思われます。