エンジンのフリクション

実際のエンジンのモータリング法で下記のような 各摺動部での摩擦損失や補機類(オルタネータ、ウオーターポンプなど)の仕事量が
グラフに現れています。

 中・高速回転域では、摩擦損失のうち
ピストンリング、ピストン、コンロッドの占める割合が高く、
低速回転域では
動弁系(カムとフォロアなど)でのフリクションの占める割合が高い。
オイルポンプについては約30%の仕事率しかないが、それがフリクションとして 図にも現れています。

 エンジンの求められる、燃費向上やレスポンスの向上には、
各部品の軽量化が大きな割合を占めますが
これらの摺動部での仕事率や摩擦損失と言われる「ロス」をなくしてゆくことによっても
その目的に近づくことと思われます。

 そのために

などの、研究がなされ、同じエンジンでも、 10−15%ぐらいのフリクションの低減が
エンジン各部の見直しによって 可能になっています。(モデル・マイナーチェンジなどで実際良くなってきています。)

 オイルや添加剤に頼ることも最近では増えてきていますし、 機械的な面と深く関わるようになってきました。
また、摩耗.摩擦係数の低減に関しては、部品の強度からも見直されてきておりますが、 2.などのように積極的に添加剤の使用が考えられている向きもあります。
ただし、オイルや添加剤はどちらかといえばメンテナンスの部類に属し、 あくまでも、補助的役割と見なされているようです。

自動車に於いて、摩耗が特に厳しい状況にある箇所は下記のようになり技術的対策がなされることになります。
動弁系部品(タペット、カム)などでは、耐摩耗性の大きい焼結合金、セラミックス、高品質エンジンオイルの使用によって、
また同じ動弁系でもバルブやバルブシートなどでは焼結合金に加えてCo、Fe基の合金の肉盛り、
ピストンリングでは表面処理(窒化、CrNイオンプレーティング、その他)がなされ、
ピストンやリング溝などでは硬質アルマイト処理や金属基複合処理、
軸受けメタルでは結晶配向性メタル、イオンプレーティングオーバーレイ合金、
歯車などでの高トルク用のものには、ショットピーニングや歯研などの加工法による場合や鋼を高強度の歯車用とするなど
耐摩耗性を施してメンテナンスフリー化に貢献しているものと思われますが、
エンジンでのフリクション改善のためには上記の部品の素材や加工法、表面処理に加えてオイルの低粘度化が
要求されています。

工事中


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