燃費−2の1−

(5)有害物質

有害物質として排出されるものとして、
大まかに言えば、CO、HC、NOxと言うことが言えますが、ディーゼルエンジンからは特にPMなどの排出が
問題となっています。
HCの排出については資料としては古いですがキャブレター式ガソリンエンジンで、排気ガス・ブローバイガス・燃料蒸発ガスの
割合が出ておりました。
 
排出源(HCのみ) 排出割合
排気ガスより 60%
ブローバイ・ガスより 25%
燃料蒸発ガスより 15%
現在の%は詳しくわかりませんが、ブローバイ・ガスは大気に垂れ流し、燃料蒸発ガスも同様であった時代もありましたし、
現在は燃料タンクから出る燃料蒸発ガスもチャコールキャニスターである程度回収し燃焼させていますし、
インジェクター方式や筒内燃焼方式でキャブレターほど大気に放出されずに済んでいますが、
フロンガスと同様、微量でも数多い自動車から無駄に出されるわけですから
良いはずがなく、規制対象となっています。詳しくは国土交通省のHPなどにあります。
測定方法を従来の燃料蒸発ガス試験法(トラップ法)から、密閉室内で行なう試験(SHED法)に変更したなど書いていますが
全体にしめる割合がわかっておりません。

資料:特定自動車の窒素酸化物排出基準
 
車両総重量 排出ガスの測定モード ディーゼル車 ガソリン・LPG車
第31条の2の基準 平均排出ガス基準 第31条の2の基準 平均排出ガス基準
1700Kg以下 10モード、10.15モード 0.48g/km 0.25g/km 0.48g/km 0.25g/km
D6モード 100ppm 70ppm
1700Kgを越え
2500Kg以下
10モード、10.15モード 0.98g/km 0.70g/km 0.98g/km 0.70g/km
D6モード 210ppm 150ppm
D13モード 4.6g/kwh 3.4g/kwh
G6モード 360ppm 250ppm
G13モード 4.6g/kwh 3.4g/kwh
2500Kgを越え
5000Kg以下
10モード、10.15モード 2.14g/km 1.53g/km 2.14g/km 1.53g/km
D6モード 350ppm 260ppm
D13モード 6.80g/kwh 5.0g/kwh
G6モード 600ppm 450ppm
G13モード 6.80g/kwh 5.0g/kwh
5000Kg超え D6 520ppm 400ppm
D13 7.80g/kwh 6.0g/kwh
G6 900ppm 690ppm
G13 7.80g/kwh 6.0g/kwh

資料:ディーゼル乗用車の排出ガス規定値
 
成分 49年度規制 52年 54年 57年 61・62年度規制 2年 3年 4年 6年 9年 10年
CO 980ppm 2.70g/km
HC 670ppm 0.62g/km
NOx
車両重量1265Kg以下
590ppm 500ppm 450ppm 390ppm 0.98g/km 0.72 0.55
NOx
車両重量1265Kg以上
1.26g/km 0.84 0.55
黒煙:3モード(%) 50 40 25
黒煙:無負荷急加速
(%)
50 40 25
粒子状物質(g/km) 0.34 0.14
識別記号
(車検証に記載)
QorX KD KE KH
新型生産車の適用時期 49.9.1 52.8.1 54.4.1 57.1.1 61.10.1
(62.10.1)
2.12.1 3.11.1 4.10.1 6.10.1 9.10.1 10.10.1
継続生産車の適用時期 50.4.1 53.4.1 55.3.1 57.12.1 62.9.1
(63.9.1)
3.11.1 3.11.1 5.9.1 7.9.1 11.7.1 11.9.1
輸入車の適用時期 63.4.1
(1.4.1)
5.4.1 5.4.1 6.4.1 8.4.1 12.4.1 12.4.1
測定方法=49年〜:(ディーゼル車)6モード。61年〜:10モード。3年〜:10.15モード。
※61年規制はM/T車、62年はA/T車。適用時期の()は62年規制。
※粒子状物質の9年規制の0.14は1265Kg以下、10年規制は1265Kg超も0.14となる。

PM(パティキュレート・マター:粒子状物質)
上記表でわかりますように、黒煙の欄は昭和49年の50%から平成9年に25%に規制されるまで、
野放し状態であったことがわかります。50%も40%も機器で測定などしなくても、目で見て判断できるほどのレベルです。
測定する汚染度%は一定体積(330±15cc)のシリンダーに1.4秒間に吸引されたスモークを
8cm3のフィルターに捕集し、その汚染されたフィルターに対する光の反射率がその汚染度%とされますから、
黒くない白煙・青煙はカウントされない可能性もあり、有害物資の正確な測定とは言えないところがあります。
なお、色から判断しますと下記のように分かれます。

=カーボン(スス)主体成分
=水蒸気、SO2成分や燃料成分
=オイル成分、SO2成分や燃料成分
=NOx主体成分

軽油の場合も燃焼しますとガソリンとほぼ同じでH2O、CO、CO2、HC、NO2、NOx、SO2、SOx、PMと黒煙(C)が発生します。
なお黒煙は60%相当のカーボン+40%相当のその他の複数の付着成分となり、
付着分の大半は水分・燃料とオイルの凝固成分となります。
 
吸入成分の重量% 排気成分の重量%
74.5% (N2+Ar) 74.5% (N2+Ar)
22.6% (O2 12.4% (O2
 2.9% (燃料:軽油)  9.2% (CO)
 3.5% (H2O)
 0.2% (PM成分)
下記成分のくっつきあった粒子
カーボン(約60%)
(CH2Cl2)溶解成分
(主としてHC:炭化水素)
1.オイル
2.燃料
(イソプロパン/水分)
溶解成分
1.硫黄
2.水分
3.無機物・有機物の集合体
その他 1.溶解成分(金属その他)
資料:自動車工学、2001−7.P46−58

資料:ガソリン2輪(側車付き含む)排出ガス規定値
成分 測定方法 10年規制 11年規制
4サイクル 2サイクル 4サイクル 2サイクル
CO 二輪車モード(g/km) 20.0 14.4
HC 二輪車モード(g/km) 2.93 5.26
NOx 二輪車モード(g/km) 0.51 0.14
識別記号
(車検証に記載)
BA BB BC BD
対象二輪自動車 軽二輪 小型二輪
新型生産車の適用時期 10.10.1 11.10.1
継続生産車の適用時期 11.9.1 12.9.1
輸入車の適用時期 12.4.1 13.4.1
ガソリンエンジンでの有害物質低減装置

資料:(社)日本自動車整備振興会連合会編「三級ガソリン・エンジン」p18

ガソリンでの有害物質はCO、HC、NOxとされ、それぞれ低減方法が取られていますので、
一般的な部品や機構を下記にまとめてみました。
下記以外にも、エアクリーナー、インレットマニホールドの形状、燃焼室の改良などいろいろなパーツで改善されてきています。
 
軽減される有害物質 使用される装置 主な部品名など
HC 燃料蒸発ガス排出抑止装置 チャコールキャニスター、パージコントロールバルブ
HC ブローバイ・ガス還元装置 PCVバルブ(ポジティブ・クランクケース・ベンチレーション)
NOx EGR装置 EGRバルブ(ステップモーター)、コントロールユニット
HC、CO 減速時二次空気吸入装置 エア・コントロールバルブ、コントロールユニット
なお、キャブレター式の場合、下記の部品等になります。
・ダッシュポット
・スロットルオープナー
・ミクスチャーコントロールバルブ
・フューエルカットソレノイドバルブ)
HC、CO、NOx 二次空気導入装置 エア・ポンプ、二次エア・バルブ、コントロールユニット
HC、CO、(NOx) 電子制御式燃料噴射装置 インジェクター、コントロールユニット、
HC、CO、NOx 三元触媒コンバータ 2センサー・モノリス型三元触媒

ここで、オイルに一番影響するのは、ピストンとシリンダーの隙間からクランクケースへ吹き抜けるブローバイ・ガスとなり、
ブローバイガス還元装置取り付け自体はかなりオイル劣化に影響を及ぼします。
ブローバイガスの組成は70%−95%が未燃焼のガス状になったHCで、残りが燃焼ガスや混合ガスからなっています。
クランクケース内はオイルが潤滑・冷却のため霧状に噴霧されていますから、その中をこういったNOxや水分なども含むガスが通り、
大気中へ放出さずに滞留しますと、エンジン内部の腐蝕やオイルの劣化を招きます。
とはいえ、大気中へ放出するのは環境問題になりますから
これをPCVバルブを通して吸気系へ戻して滞留しないよう燃焼させるようにしています。

(6)その他


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