メーカーによるオイル交換の時期

1)ベースオイルは品質劣化が少ない

「オイルが汚れてますよ」などとスタンドで言われることが多くあります。 オイルの汚れは、あまり気持ちのいいものではありません。しかし、実際はどうかというと、 たいていの場合は、オイルそのもの (ベースになっている基材、ベースオイル、大体オイル中7割以上をしめます) は、そんなに悪くなっていません。原油をみてみれば分かるように、真っ黒です。それから オイルの成分がとれることでもわかります。

実は、その汚れたオイルを精製すれば、また透き通ったオイルに生まれ変わります。再生オイルも そうやってベースオイルを取り出しています。ちゃんとそこから充分使えるオイルが出来てきます。

まだまだ使える、オイルの成分を捨てて、新しいオイルに交換しているということとは、 一体どういうことなのでしょう。 まず、オイル交換とは一体何をすることなのか、”スラッジ”を中心に少し考えてみました。

2)スラッジをつくる3つの原因

オイル交換をする目安となるのが、”オイルの汚れ”です。
汚れ具合や、手触りなどで、オイルの劣化をみる場合がいまだ多くある、オイル交換を 判断する材料となるからです。オイルは洗濯と同じ意味合いにとられています。

下記の(1)(2)(3)がオイルのスラッジ化の原因となります。

(1)オイルの品質と添加剤の成分劣化

オイルメーカーとしては、テストデータをもとにオイルを”調合”しているわけですが、 出来の悪いものがあったりすると大変ですから、リスクマージンとして、通常、 自動車メーカーの要求するオイルのスラッジ化の寿命の2倍の”寿命”を考えてオイルを作っています。

オイルが汚れるのは

ということが言えます。

汚れのもとが多すぎたりすると、清浄分散剤ではオイル中に浮かしておくことが出来なくなり 、結果、かたまりとなった”汚れ”はゴミとして沈殿してゆきます。酸化防止剤もオイル中の極圧剤などが 劣化するのを防いでいます。劣化した極圧剤はやはりゴミでしかありません。

(2)NOxに起因する硝酸の害

自動車が出す有害物質は下記になります。

オイルのスラッジ化の要因となるのはブローバイガスになります。 ブローバイガスとはピストンとシリンダーの隙間からクランクケース(オイルパンの上方部)に漏れ出た ”燃え残した混合気”と”燃えた後の燃焼ガス”のことです。
昔はそのまま大気に捨てていたのですが、環境への問題からの排ガス規制により ブローバイガス還元装置(PCV=positive crankcase ventilation system)で回収され、再燃焼させてます。

また、排気ガスの一部(5−20%)を吸気ガス中に戻すことでNOxの発生する燃焼ガスの温度を 下げ、O2+N2−−2NOの反応を抑制する”EGR(排気再循環法)があります。
さらに触媒によってCO・HC・NOxは無害にして大気中へ出されていますが、 スラッジの原因となるNOxはまだまだクランクケースに残っています。 NO2は水に溶けると硝酸HNO3に なるため、ブローバイガスに混じったNOやNO2はクランクケース内で 化学反応を起こしオイルなどを劣化させ、スラッジ化する事になります。

ですから、

事が大切です。

(3)燃料の品質・不純物

現在のガソリンは品質も良く、不純物も少ないのですが、それでも燃え残りの 燃料がデポジットを形成するタネになり、これに他の不純物質がくっつきスラッジ化 を促します。
金属摩耗粉はオイル中にあってもデポジット形成のタネにはなりません(かなりなりにくい)。摩耗の原因やフィルターやジャーナルを詰める原因にはなりますが、 オイルのスラッジ化には、ほぼ関係がないことが、メーカーでテスト済みです。

    1:鉄と銅の粉末をオイル1リットル中20g入れる
    2:165.5度Cの酸素を吹き付ける
   というテストをしてもオイルのスラッジ化は起こりません。
   (現実ではエンジンに300ppmの鉄粉が入っていればエンジンは動きません)

インジェクターを詰まらせたり、不完全燃焼を起こした結果、タネが出来ます。それにブローバイガスによる化学反応が加わり スラッジが出来上がります。両方が発生しないとスラッジは出来ません。

オイル交換の目的はオイル中のダスト(ゴミ)や水分や燃えかすの除去のみであって、ベースオイルとしては まだまだ使用できるのですが、エンジン各部の摩耗(メタル、リング、カムなど)を考えれば、 オイル交換をして、エンジンオーバーホールのリスクを下げた方が安くつくため、早めの交換を 薦めるわけです。
オイルメーカーとしてはメタル、リング、カムの摩耗度の基準値が テスト車両でクリアーしていれば「OK!」としか言えないとのことです。
それぞれの部品の精度や耐久性に関してはどうしようもないといったところでしょうか。

3)メーカースタッフの薦めるオイル交換の時期

以上の結果からオイルメーカーでは下記のようなオイル交換がベターとしています。

それを基準にして次のように計算する。

       実際の燃費(km/L)
       −−−−−−−−−−− * メーカーの交換時期=オイル交換の目安
       定地走行の燃費(km/L)


となります。つまり、カタログデーターは20km/L。実際は12km/L。メーカーの交換距離は SJグレードで15000kmとすると

12/20*15000=9000となり、9000km毎に交換すればいいわけです。 これなら、オイル自体の本来の劣化にあっているとのことです。 しかし、普通はもっと早いですよね。
エンジンの修理は高くつくし、ガンガンに走ればもっと摩耗が増えますから・・・・。


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