「オイルが汚れてますよ」などとスタンドで言われることが多くあります。 オイルの汚れは、あまり気持ちのいいものではありません。しかし、実際はどうかというと、 たいていの場合は、オイルそのもの (ベースになっている基材、ベースオイル、大体オイル中7割以上をしめます) は、そんなに悪くなっていません。原油をみてみれば分かるように、真っ黒です。それから オイルの成分がとれることでもわかります。
実は、その汚れたオイルを精製すれば、また透き通ったオイルに生まれ変わります。再生オイルも そうやってベースオイルを取り出しています。ちゃんとそこから充分使えるオイルが出来てきます。
まだまだ使える、オイルの成分を捨てて、新しいオイルに交換しているということとは、 一体どういうことなのでしょう。 まず、オイル交換とは一体何をすることなのか、”スラッジ”を中心に少し考えてみました。
オイル交換をする目安となるのが、”オイルの汚れ”です。
汚れ具合や、手触りなどで、オイルの劣化をみる場合がいまだ多くある、オイル交換を
判断する材料となるからです。オイルは洗濯と同じ意味合いにとられています。
下記の(1)(2)(3)がオイルのスラッジ化の原因となります。
オイルメーカーとしては、テストデータをもとにオイルを”調合”しているわけですが、 出来の悪いものがあったりすると大変ですから、リスクマージンとして、通常、 自動車メーカーの要求するオイルのスラッジ化の寿命の2倍の”寿命”を考えてオイルを作っています。
オイルが汚れるのは
汚れのもとが多すぎたりすると、清浄分散剤ではオイル中に浮かしておくことが出来なくなり 、結果、かたまりとなった”汚れ”はゴミとして沈殿してゆきます。酸化防止剤もオイル中の極圧剤などが 劣化するのを防いでいます。劣化した極圧剤はやはりゴミでしかありません。
自動車が出す有害物質は下記になります。
オイルのスラッジ化の要因となるのはブローバイガスになります。
ブローバイガスとはピストンとシリンダーの隙間からクランクケース(オイルパンの上方部)に漏れ出た
”燃え残した混合気”と”燃えた後の燃焼ガス”のことです。
昔はそのまま大気に捨てていたのですが、環境への問題からの排ガス規制により
ブローバイガス還元装置(PCV=positive crankcase ventilation system)で回収され、再燃焼させてます。
また、排気ガスの一部(5−20%)を吸気ガス中に戻すことでNOxの発生する燃焼ガスの温度を
下げ、O2+N2−−2NOの反応を抑制する”EGR(排気再循環法)があります。
さらに触媒によってCO・HC・NOxは無害にして大気中へ出されていますが、
スラッジの原因となるNOxはまだまだクランクケースに残っています。
NO2は水に溶けると硝酸HNO3に
なるため、ブローバイガスに混じったNOやNO2はクランクケース内で
化学反応を起こしオイルなどを劣化させ、スラッジ化する事になります。
ですから、
現在のガソリンは品質も良く、不純物も少ないのですが、それでも燃え残りの
燃料がデポジットを形成するタネになり、これに他の不純物質がくっつきスラッジ化
を促します。
金属摩耗粉はオイル中にあってもデポジット形成のタネにはなりません(かなりなりにくい)。摩耗の原因やフィルターやジャーナルを詰める原因にはなりますが、
オイルのスラッジ化には、ほぼ関係がないことが、メーカーでテスト済みです。
1:鉄と銅の粉末をオイル1リットル中20g入れる 2:165.5度Cの酸素を吹き付ける というテストをしてもオイルのスラッジ化は起こりません。 (現実ではエンジンに300ppmの鉄粉が入っていればエンジンは動きません)
以上の結果からオイルメーカーでは下記のようなオイル交換がベターとしています。
実際の燃費(km/L) −−−−−−−−−−− * メーカーの交換時期=オイル交換の目安 定地走行の燃費(km/L)となります。つまり、カタログデーターは20km/L。実際は12km/L。メーカーの交換距離は SJグレードで15000kmとすると
12/20*15000=9000となり、9000km毎に交換すればいいわけです。
これなら、オイル自体の本来の劣化にあっているとのことです。
しかし、普通はもっと早いですよね。
エンジンの修理は高くつくし、ガンガンに走ればもっと摩耗が増えますから・・・・。