それぞれの車にはどんなオイルを入れればいいのか、 はっきり言うことが出来ません。買い物、通勤、通学、高速走行、公道ラリー走行 レースもどき走行...使い方次第でかなり変わるからです。けれども一つの目安として の考えをまとめてみました。
市販の オイル | ||||||
SAE粘度 | 低温側40度C | 高温側 | 150度C (高速時2.6以上必要) | |||
動粘度cSt (40度C) | 動粘度cSt (100度C) | HTHS粘度cP | 値段/L円 | API表示 | 使用車種 | |
0W−30* | 55〜60 | 10〜12 | 3.0以上 | 3000前後 | ほとんどSJ以上. | 1.2.3.4. |
5W−30 | 60〜70 | 10〜12 | 2.9以上 | 1000〜1200 | SG〜SJ. | 1.2.3.4. |
5W−40 | 80〜110 | 13〜16 | 3.2以上 | 1000〜1700 | SH〜SJ. | 1.2.3.4. |
5W−50 | 110〜120 | 17〜20 | 3.7以上 | 2000〜3500 | SH〜SJ | 3.4. |
10W−30 | 60〜70 | 10〜12 | 2.9以上 | 1000〜2000 | SF〜SJ.GF−2 | 1.2.3.4. |
10W−40 | 85〜100 | 13〜16 | 3.2以上 | 1000〜1500 | SH〜SJ. | 2.3.4. |
10W−50 | 100〜130 | 17〜20 | 3.7以上 | 2000〜3000 | SH〜SJ. | 2.3.4. |
10W−60 | 140〜180 | 22〜25 | 4.0以上 | 3500〜5000 | SH〜SJ. | 3.4. |
15W−40 | 100〜115 | 13〜15 | 3.2以上 | 1200〜2000 | SG〜SJ. | 3.4. |
15W−50 | 125〜140 | 18〜20 | 3.7以上 | 1500〜2000 | SG〜SJ. | 3.4. |
1.550〜660cc 2.1000〜1600cc 3.1800〜2500cc 4.2500cc以上*100%化学合成の省エネ最高級オイル、3000cc,ターボ車にも問題なく使えます。
1.、軽自動車は、一般に短距離を短時間走る場合が多く、 馬力も少ないのでエンジンのオイルによる内部抵抗が少なくなるように オイル粘度が 軟らかく、素早く各部を潤滑し、パワーロスの少ないものを薦めます。 エンジンの回転数が普通に走っても多いため、オイルにとって過酷な 条件になりますので早めのオイル交換をお勧めします。 経験上、普通3000kmごとに交換した方が無難です。 (5W−30 、10W−30)ターボ車には (5W−40 、10W−30) AT車での60km/hでのエンジンの回転数は、トップギアの状態で、下記の表のような状態 です。(車種によって大きく異なることがあります。)
660cc | 1500cc | 2000cc |
2700〜3000rpm | 1700〜2000rpm | 1400〜1700rpm |
2.、このあたりの排気量が非常に難しいのですが、普通走行なら5W−30 、10W−30 でいいのですが、高速道路では、上は40あった方がいいでしょう。15Wや50はかなり重く 感じます。
3.、どの粘度でもOKです。自分の車に合わせてチョイスして下さい。
4.、上は40,50を使った方がベターです。
エンジンの高性能化によって、オイルの品質が問われるようになりました。 現在、市販されているオイルであれば、どのブランドのオイルでも問題はありません。 その車に付いている”取扱説明書”に指定してある基準に従ってグレード、粘度、などを 決めたらいいのですが、走行距離に関しては”最低品質基準”を表示している JASO規格 に、近い数字を基準にしているのか、最高交換距離が10000km以上と書いてあるものもありますが、 あまり感心しません。エンジンの品質にはまだまだバラツキがありますし、 そのセッティングにもかなり大きく影響を受けるからです。ですから出来るだけ 高品質オイルを使用する方が無難です。
メーカー指定SAE粘度に従う | 交換距離 | 交換時期 |
鉱物油 | 3000kmから急速に劣化 | 6ヶ月以内 |
部分(半)合成油 | 3000km〜5000kmから劣化 | 6〜12ヶ月 |
100%合成油 | 4000kmから徐々に劣化〜10000km位まで | 12ヶ月ぐらい |
日産RB2000ccAT車による評価(私的意見) | テスト走行距離*1 | マッチング度 | インプレッション |
5W〜30・SJ100%合成油 | 2000kmから 劣化4000kmで交換 | ◎ | 始動時とにかくエンジンが軽い、レスポンスがいい。冬用に◎ |
5W〜40・SJ部分合成油 | 1000kmから 劣化3000kmで交換 | ○ | 同上。オールシーズンOK |
5W〜40・SJ100%合成油 | 1000kmから 劣化3000kmで交換 | ○ | 同上。オールシーズンOK |
5W〜50・SJ100%合成油 | 3000kmから 劣化5000kmで交換 | ◎ | 冬は始動時より10分ほどやや重い、レスポンスはいい。オールシーズン用 |
15W〜50・SJ100%合成油 | 3000kmから 劣化5000kmで交換 | ○ | 同上、冬にはやや重いが、高速に◎ |
10W〜60・SH100%合成油 | 3000kmから 劣化5000kmで交換 | ○ | 始動時よりエンジンは1時間ほど重い、その後は軽く高速向きに◎ |
**1 )ここで言う劣化について・・・明らかに新しいオイルと比較して性能が落ちてきた ということであって、使用できないと言うことではありません。
元々、オイルは入れる時から品質が違っていて、100%合成オイルでさえピンからキリまであります。 それはオイルの使用目的によって作られているからです。 また、コスト的にも、あまり高いと簡単にテストもし難いのですが、一度自分の車にあったオイルを見つけてみてください。
最初だけ極端に高性能 とか、そんなに高性能でなくても劣化の仕方がゆるやかで長期使用に耐えるとか、 極圧剤をかなり入れて性能を上げているとか、ベースオイルにこだわって極圧剤を ほとんど使わず、油膜で摩擦からエンジンを守ろうとか、かなりオイルメーカーのポリシーを 感じます。(エンジンの耐久性や味つけが自動車メーカーで違うのと同じです。)
また、以前は車の使い方が日本と他の国では違うため、入れる添加剤の量も異なっていました。
という具合ですから、自分の車に最適なオイルは、結局、入れてみて走ってみて
でしか分かりません。けれども、一つだけ言えることは”出来るだけ高品質なオイル”を
使う方がいいとは言えます。
例えば、低品質、低グレードオイルの場合、最初から1万kmも走った高品質オイルより性能的に
劣っている場合もあるからです。ちなみにAPI規格のSGグレードは
1989年以降(平成1年)のガソリン車に満足して使える品質を持つものとされています。
SHは1993年,SJは1996年に設定された最高級の規格です。
フランスでは2001年までにオイルの耐久性が5万キロまである製品をつくるようオイルメーカーに
要請しているとのことです。
”走り方”というのは、定義としてかなり曖昧なので、次のように区別してみます。
走り方 | 走行距離 | 速度 | 走行時間 | おすすめオイル | 交換の目安 |
普通走行 | 10〜 50km | 60 km/h | 15〜 60分 | 0,5,10W〜30,40、 SJ部分合成油 | 6〜12ヶ月ごと(3000〜5000km) |
高速走行 | 80〜 120km | 100 km/h以上 | 30〜 90分 | 5,10,15W〜40,50,60、 SJ100%合成油 | 5000〜8000km |
長時間 | 60〜 200km | 60 km/h | 60〜 120分 | 5,10,15W〜40,50,60、 SJ部分合成油 | 5000〜8000km |
短距離 | 1〜 5km | 60 km/h | 15〜 30分 | 5,10W〜30,40,50 SJ部分合成油 | 6〜12ヶ月ごと(3000〜5000km) |
ハード走行 | 1〜 ?km | ? km/h | ?分 | 5,10,15W〜50,60、 SJ100%合成油 | 1000〜4000km |
オイルが本来の性能を発揮するには、オイル自体がある程度高温になっている 必要があります。常温以下ではオイルの粘性改良剤が働かないので出来るだけ 水温計の針が動くまで急加速、急発進を避けた方が よく、その理由の別の一つは オイルは6時間位経つと、ほとんどがオイルパンへ落ちてしまうという事があげられます。その時 エンジンをかけると一時的にオイルのない状態(ドライ)で発進する事になり エンジンを傷つけます。通勤、通学用で使用する場合はほとんど毎回ドライ発進を していることになります。こういった意味では、週2,3回の近所への買い物などは 注意が必要です。必ず暖気運転を心がけましょう。 ドライ発進からエンジンを守る添加剤も効果大です。走らない人ほどこういった物をお勧めします。
高速道路や長い登坂では、エンジンを冷やすため、休憩を取った方がオイルのためにも 効果的です。 実験ではオイルの温度を10度C上げると酸化寿命は1/2になるからです。 また渋滞路もそういう意味では最悪です。そういう状態で使用したオイルは 早めに交換してあげて下さい。 さらに何らかの故障でオーバーヒートしたら、修理後オイルも換えた方が無難です。
1.ランニングコストから
”安いオイルを頻繁に交換した方がいいのか、高いオイルを長く使った方がいいのか”
とよく言われますが、個人的には”高いオイル”の方を薦めます。
理由は上記の図の通り最初の性能に差があるためです。いわゆる”添加剤”をオイルに
入れるのも初期性能を上げるためで、性能の高い添加剤と比較した実験データでは
エンジンの耐久性は1.5倍から7倍以上もの差が出ています。もちろん燃費や
メンテナンスコストにも著しく差がでてきます。車の償却プランと走行距離を考えると
次のようになりました。(ガソリン2000ccAT新車からを基準)
オイル単価(鉱物油=4000円/4L、合成油=8000円/4L、)
オイルエレメント=2500円、鉱物油=1万km、合成油=1.6万kmとします。
初回オイル・エレメント交換は5000km、
耐久性は(鉱物油=5000km/6ヶ月以内、合成油=8000km/12ヶ月以内)とします。
乗り換えるまでの走行距離 | 使用年数 | オイル交換回数1.鉱物油2.合成油3.備考 | エレメント交換回数 | コスト(1.2.3.) | 3.極論・備考 |
30000km | 3年 | 1.5回 2.3回 3.1回 | 1.3回 2.2回 3.1回 | 1.27500円 2.29000円 3.10500〜 18500円 | 最初5000kmで交換し30000kmまでオイル、エレメント共に無交換(減った分は”つぎたす”) |
5年 | 1.9回 2.4回 3.1回 | 1.2回 2.2回 3.1回 | 1.41000円 2.37000円 3.10500〜 18500円 | 同上 | |
9年 | 1.17回 2.9回 3.3回 | 1.2回 2.2回 3.1回 | 1.73000円 2.74500円 3.14500〜 26500円 | 最初5000kmで交換、次回は10000km毎にオイル交換 | |
50000km | 3年 | 1.9回 2.6回 3.3.5回 | 1.4回 2.3回 3.1回 | 1.46000円 2.55500円 3.22500〜 42500円 | 同上 |
5年 | 1.9回 2.6回 3.5回 | 1.4回 2.3回 3.1回 | 1.46000円 2.55500円 3.22500〜 42500円 | 同上* | |
9年 | 1.17回 2.9回 3.8回 | 1.4回 2.3回 3.3回 | 1.78000円 2.99500円 3.39500〜 71500円 | 最初5000kmで交換、次回は1年毎にオイル交換、エレメントは20000km毎* | |
80000km | 3年 | 1.15回 2.10回 3.8回 | 1.7回 2.5回 3.4回 | 1.77500円 2.92500円 3.42000〜 74000円 | 最初5000kmで交換、次回は10000km毎にオイル交換、エレメントは20000km毎* |
5年 | 1.15回 2.10回 3.8回 | 1.7回 2.5回 3.4回 | 1.77500円 2.92500円 3.42000〜 74000円 | 同上* | |
9年 | 1.17回 2.10回 3.8回 | 1.7回 2.5回 3.4回 | 1.85500円 2.92500円 3.42000〜 74000円 | 同上* | |
100000km | 3年 | 1.19回 2.12回 3.10回 | 1.9回 2.6回 3.5回 | 1.98500円 2.111000円 3.52500〜 92500円 | 同上* |
5年 | 1.19回 2.12回 3.10回 | 1.9回 2.6回 3.5回 | 1.98500円 2.111000円 3.52500〜 92500円 | 同上* | |
9年 | 1.19回 2.12回 3.10回 | 1.9回 2.6回 3.5回 | 1.98500円 2.111000円 3.52500〜 92500円 | 同上* | |
150000km | 3年 | 1.29回 2.19回 3.15回 | 1.14回 2.9回 3.8回 | 1.151000円 2.164500円 3.80000〜 140000円 | 同上* |
5年 | 1.29回 2.19回 3.15回 | 1.14回 2.9回 3.8回 | 1.151000円 2.164500円 3.80000〜 140000円 | 同上* | |
9年 | 1.29回 2.19回 3.15回 | 1.14回 2.9回 3.8回 | 1.151000円 2.164500円 3.80000〜 140000円 | 同上* |
*エンジンの耐久性にもよりますが、5年間で60000km以上走る場合は、
もう少し、オイル交換は早くしたほうがいいと思います。
2.耐久性から
オイル交換をしないで、どれくらいエンジンが持つものか知りたいと思う人もいるでしょうが、
なかなか新車では試してみる事もできません。
1年1万kmで3年間オイルをつぎ足して走った人がいましたが、
オイルはドロドロで、パワーもかなり落ちていたようで、
エレメントとオイル交換をしても少し良くなった程度で、仕方なく添加剤に
頼ったというケースがありました。(1800cc)
かと思えば、軽自動車でも3万kmを2年で走り、すこぶる調子のいいエンジン
も知っています。
また、3000km毎にオイル交換もし、普通に乗っているのに、6年目80000kmでエンジンが
調子悪くなり、乗り換えたという人もいます。(原因は下の方のグレードのオイルで高速高回転、長時間運転、
をし続けたからのようですが。)
こういった”差”というのは、車が作られた時のエンジンの品質の差と言わざるを得ません。
けれど購入した以上、なんとか次に乗り換えるまでは、トラブルなく持ってもらいたいものです。
付け加えて、オイルの品質の差というものも基本的にはあります。
鉱物油で言えば、オイルは常に異なる品質の原油から精製される訳ですから
同じように精製すれば必ず品質も異なるはずです。(油田によって品質が異なる
ので粘度指数を100も違う
数値で表したほどです。)
それでは困るのでバラツキの最低限のところで品質表示をし、市場での品質調査もされてます。
普通にオイル交換をして普通に走れる距離は下記のようになります。
550cc | 8万km〜12万km位 | 6年間以降は不明 |
660cc | 8万km〜15万km位 | |
1000〜1300cc | 10万km〜15万km位 | |
1500cc | 10万km〜15万km位 | |
1600〜1800cc | 12万km〜16万km位 | |
2000cc | 12万km〜18万km位 | |
2500cc〜3000cc | 15万km〜20万km位 |
それから、新車からオイルのつぎ足しだけで走っている車をこっそり言うと
それは”レンタカー”です。どこも同じかどうかは分かりませんが、少なくとも
車検までの間は大抵つぎ足しのみで貸し出されていました。けれど、短期間しか
使われないので(ほとんど3〜12ヶ月でレンタルアップされ市場に出回ります。
マイクロバスは少し長い)知る限りではエンジントラブルはないようです。
メーカーから、オイルや添加剤のテストにされることもあります。
3.その他
現在、生産されている自動車のエンジンは、よほど運が悪くない限り、乗り換え時期
まで、壊れて動かなくなるということはあり得ません。
それよりも、他の所が壊れてきて、それが原因でエンジンも壊れると言った事の方が圧倒的に多いと
思われます。どこが原因かを表にしてみました。
エンジン本体のトラブル | 対策、処置 |
1.エンジンの設計、耐久性ミス | メーカーの良心が問われる所です。耐久性という意味ではこういったエンジンも有ります。しかし、どうしようもないですね。 |
2.オイル漏れによる焼き付き | オイルの漏れる場所は、エンジンの上の方から、1.オイルキャップ、2.ヘッドカバーのガスケット、ディスロータ、アクチュエーター部のシール3.まれに、カム、クランクシャフトのシールやシリンダーブロックのシール4.オイルエレメント、オイルプレッシャースイッチ5.オイルタンクシール、オイルドレーンプラグ。になります。たまには車の底を覗いてみて下さい。 |
3.タイミンクベルト切れによるバルブ突き | 5年、10万km以内には、まず劣化によって切れることはありませんが、相手はゴムですので、オーバーヒートや、水やオイル付きに弱く”コマ飛び”が起こることがあります。劣化は、5年以降に起りやすく、交換時期(10万km,または10年)=走行距離+(5年−使用年数)×(走行距離×30%)ぐらいを目安に。 |
4.その他 | ほとんどがリコールという形で通知されています。 |
エンジン以外が原因のトラブル | |
1.冷却水の漏れ、などのトラブルからのオーバーヒート | 結構大切な冷却水は、意外に無視されがちです。オーバーヒートはサーモスタットの不良による場合が多く、冷却水の温度を一定に出来なくなります。それによる悪影響は各部に及びます。 |
2.オイルが劣化、燃焼して焼き付く | オイルはある程度燃えたり、蒸発したりして、減ってきます。オイル管理が悪いとオイルラインを詰めて潤滑しなくなったり、オイル不足による焼き付きなどが起きます。 |
3.点火時期のずれでノッキング | 燃焼室内での異常燃焼はバルブやピストン自体を溶かしたり、破壊したりします。現在の車はほとんどノックセンサーが付いていて、自動的にタイミングを合わせるようにしています。 |
4.その他 | バルブステムシール劣化によるオイル下がり、ピストンリングの固着、摩耗によるオイル上がり、電気系のトラブル、エンジンの寿命などいろいろあります。 |