「ポリ◯◯◯」と書かれている場合はベースオイルにもあり、例えばPAO(ポリアルファオレフィン)などもありますが
上記の「ポリマー」と言われる添加剤成分と比較して遙かに小さい分子量になります。
また、「ポリ◯◯◯」と言うことですら、その分子の長さも、いろいろ調整でき、粘度に変化を持たせることが可能になります。
大ざっぱに考えて、団子の串刺しのような状態とみなして、だんごの多さで「粘度」などが変わると考えられていいでしょう。
特性としては高分子ですから、上記ポリマー同様、非ニュートン流動的になる傾向があります。
また、高圧の状態ではポリマーでなくても非ニュートン流動になります。
剪断速度104s-1あたりから(第1ニュートン領域)粘度は低下し、
106s-1あたりまで下がった後(第2ニュートン領域)、安定した粘度が保たれるようです。
もちろん無添加のオイルよりは高い粘度を維持します。
流体はそれぞれ温度、圧力、流速などの因子で変化してくるため、それぞれの状態にあった表され方をされ
複雑な計算式を持ってしても近似値として表されるだけですので、
実際の状況を測定し理論値を求めるという方法がとられているようです。
ポリマーは102s-1を越える剪断速度あたりから、剪断方向に配向(向きを揃え伸びる)しますので、
クランク軸やギアなどでの105〜107s-1と言う高い剪断速度下では、ちぎれて、粘度低下を起こしやすくなります。
この傾向は違った種類の成分でも、ポリマー分子の直径が大きくなればなるほど強く、
同じポリマーでも分子量が大きくなるほど強い傾向を示します。
また、分子直径が大きいと、境界潤滑域などでは油膜が極端に薄くなりますので、
潤滑部の入口で詰まり、オイル分を堰き止めるような状態にすることが起こり、摺動部の摩耗量を増やす傾向も見られます。
常温でポリマー添加剤入りのオイルを隙間に流して、
オイル詰まり(閉塞)を調べた結果、0.2μm以下のすきまで詰まってしまうようですので、
油膜厚さが薄い領域ではポリマー分子の大きさが問題となってきます。
保護のために入れるポリマー成分は分子量もその直径も研究されているわけでしょうが、
どちらかというと、流体潤滑域、混合潤滑域の方が摩耗量に対しては効果的なのかも知れません。
ただ、高い剪断力を受けると、一時的に粘度低下が起こるわけですから、オイルの内部抵抗が減る事にもなり、
動力損失も少なくなり、燃費改善に貢献するとも考えられるわけです。
剪断安定性との関係でよりよい成分が取り入れられる方向にあります。
代表的粘度指数向上剤の種類と構造
ポリマーの種類 | 化学構造 |
ポリメタクリレート(PMA) | 1.非分散型 |
2.分散型 | |
ポリイソブチレン(PIB) | |
オレフィンコポリマー(OCP) | 1.非分散型 |
2.分散型 | |
スチレン・イソプレンブロックポリマー水素化物(SDC) |
工事中
参考文献:トライボロジストVol.40/No.4/1995