どう書いていいかわからず、資料をおさらいしていると、1992年度の アメリカのカーマガジン「ROAD RIDER」8月号の記事の翻訳コピーを 手に入れることが出来ました。約6年前の記事ですがPTFEに対しての辛辣な批評と 研究分析評価が載っていました。
あまりにも酷評であるため、記事を載せることは出来ませんが、 いわゆるテフロン系添加剤についてのデメリットと誇大広告批判が書いてありました。
かいつまんでみると、「テフロン使用は金属の摩耗を促進させる」ということがメインで、
「馬力や燃費の向上もある」かわりに長期使用はエンジンにダメージを与えるという内容です。
また、添加剤類の持つデメリット全体に対しては、「1度限りのレース(短期間)で使用される添加剤がメリットの部分だけを
取り入れられるのに、一般的な(長期間)使用にとってはデメリットの方が顕著に出てくる」といった事についても
のべられていました。
こういった記事を読んでゆくと、一部を除いたほとんどの添加剤がすべてバツのように
思えてくるから不思議です。
一つ一つの添加剤を個人としては短期間でしか評価が出来ないわけですから、
こんなページのインプレなど当てにならないかも知れませんし、余程データがしっかり出されてない
添加剤以外は信用できないものに見えてきます。
GRPに類したものやエステル系などは問題はないのですが、次々出てくる新商品に対しては
何もコメントが出来ないようになりそうです。
個人差を書いてゆこうとすればするほど、多くの側面からのデータが必要になりますが、
添加剤という対象を持ったインプレである限り、個人的な評価ですから、ある側面だけの
評価になりがちです。
上記テフロンの効果もエンジンの寿命から言えば、とんでもない「怪しげな添加剤」の部類に入ってしまいます。 けれど、1秒を争うレースや走りやさんにとっては「素晴らしい添加剤」となります。
当然、自動車の耐久性に志向性を持った人には、そういった観点から添加剤を評価すると思われ、
他の添加剤を使用してもその観点からの研ぎ澄まされた洞察力を発揮すると思われます。
他方、馬力の向上にこそ自動車の本来の姿だと見る人にとって、わずか1%のパワーアップでさえも
見逃すはずはありません。
また、環境問題を普段から気にかける人にとっては、燃費や排気ガスのクリーンさと言った項目に 目が行くようですし、他の項目は2の次になるかも知れません。
もちろん、関心のある項目は複数になる場合が多く、総合的な評価であることは 間違いないのですが、関心のある項目は10段階評価出来るのに対して 関心のない項目は3段階それも「いい」「普通orわからない」「悪い」ぐらいで、余程良くないと 「いい」は貰えません。ほとんどが「普通orわからない」になるように思えます。
オイルの基準(SJとかACEA、ILSACなど)はこういった項目に対して、ある定めたエンジンの
テスト評価から生まれるのですが、明らかなようにその評価は「あなたの」自動車に対しての性能評価ではありません。
また、出力やトルク曲線も基準油に対してであり、「あなたの」使用しているオイルでの曲線ではありません。
理由は簡単です。いろいろラボテストや試験走行されて出てきたオイルを最終的に販売するかどうかは
企業サイドのある限られた人の判断からだからです。
GRPなどは現在自動車用に1種類(TEを入れれば2種類)しか販売されてませんが、ソフトメタルにはソフトメタル用の
添加剤もありますし、イオウ分の多いオイルを使用する場合は別の添加剤もありますし、食品加工の際の混入の危険から別の添加剤もあります。
それに耐熱性(150度C−2500度耐熱)からはさらに別の製品があり・・・。
結局、そうなってしまうのです。自動車用として総合的に判断して1番いい結果が出る製品がいわゆる
「GRP」という名前をもらった商品として出てきたのです。
このような状況の中で、上記の「あなたの」観点が入り混み、オイルや添加剤の
評価がなされます。(ですから、同じ自動車に同じオイルを入れている場合でも添加剤の評価は異なります。)
音の大きさから言いますと、エンジン音が静かになったと感じる数値を 表すと、大体2dB(デシベル)の差が必要といわれます。 これが例えば5dBぐらい差が出るとほとんどの人がわかるくらい 「非常に静かになった」という、感覚に感じます。 異なるオイル(同グレード同粘度として)での差は大体1−2dBぐらいですから、 オイルを替えただけでは関心のない人にとって変化を感じません。 GRPなどの添加剤を入れると「多ければ5dB」の差が出ますので (少し音が大きくなったエンジンなどはもっと差が出るかも知れません)、 静かになったという感じが非常につかみやすいと思われます。 ですが、他の添加剤ですでに2−3dBぐらい下がっていた場合、 1−2dBの差がさらに出たとしても 「あまり静かにならない」となります。 さらに「遅効性」ですから、徐々に効果が現れるので その差がつかみにくくなります。 また、音量の差はエグゾーストマニホールド辺りの排気音は基本的に静かに出来ませんので、 音量だけを測定する装置にとっては 静かになったというほどいい数値にならないかも知れません。 しかし、添加剤を入れて、かえって「カムやインジェクター音がうるさく聞こえるようになった。」 という事や、「エンジン以外の雑音が耳につくようになった」 「ラジオの音が良くなった」という現象が確認できます。 人の耳はある関心のある音を拾うように出来てます −−人混みの中でも好きな人の声だけがよく聞こえるといった現象 または、自分の名前と同じ名前なのに呼ばれると聞こえてしまうと言った現象−−− のでエンジン音のくもりが消えると耳につくかも知れません。 こういった雑音が少なくなると言うメリットは、故障診断で威力を発揮します。 が、ここではこのくらいにして・・。ですから添加剤を入れた場合の基準をILSACの省燃費性を測定するときのテスト評価のように 同じ土俵に置いて数値で表すともっとその添加剤の性能がはっきり分かると思うのですが、 何故しないのでしょうね。
例えば、全く添加剤を含まない基準油に対して、その添加剤を入れた時
〇ある負荷を掛けたときのオイルの温度上昇の評価(運動エネルギーをどれだけロスしないかの評価)
〇金属の削れる量の評価(数種類の加重が必要)
〇音量が下がるという評価
〇含有添加剤の劣化する早さ、オイルの耐久性評価
〇環境破壊(形成物を含む)の評価
〇省燃費性の評価
〇その他いろいろ
少なくとも1つでも出来さえすれば、同じわからないということでも
もう少しだけ分かり易くなると思います。
オイル側では基準値を取ってすでにいくつか出来ていますので添加剤メーカーも
認証制度を作ったらいいのにと考えるのには無理があるのでしょうか。
現在ひどいオイルがないように、ひどいといわれる添加剤がなくなると思われます。
けれど認証のおかげで認証代が代金にプラスされるのはオイルと同じで仕方ないかも知れません。
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