肩の凝らない、しかし、嘘かもしれないページ28

添加剤が効く効かないの個人差について−その5

しかし、こういった内容より、
「一体、どっちの方がいいのですか?」 というメールが多いのです。
他の添加剤については正直言って資料も少なく あくまでも自動車用ということで、
正確な数値も書いてないのが普通です。
そして、比較しようとすると極圧テストや摩耗テストぐらいが出来る程度で
実際に味わう事が出来るフィーリング的なものが試せません。
(それぞれの添加剤のラボ分析比較データはある程度持っていますが、
残念ですがHPでは数値を公開することは出来ません。)

 特にコンプレッション増加などは、2つの添加剤を順に入れるやり方では難しい場合が あります。
このページの「6」ぐらいにも出てきました商品は「モーターアップ」 というものだったと思いますが、
ユーザーの選択は最終的にやっぱりGRPになりました。

実はこの人はモーターアップをまんざら悪いどころか良い評価をしていたのですが、 どうしてでしょう。
経緯として書いてゆきますと
実は、GRPをずーと使っていますと、(私も感じたのですが、)最初の効果の大きさに喜ぶのですが、
3回目当たりからほとんどオイル交換によるオイルの性能の差しか 体感できなくなり、
GRPが効いていないような錯覚に陥るのです。
(共晶膜の形成がこのあたりで完成してしまうためです。)
GRPはオイル自体の性能(特に粘度などの)を変化させるいわゆる一般的な油性向上剤ではないので、
オイル自体の粘度的フィーリングはほとんど変わりません。
低負荷で走っているときは、GRP自体の性能が出るより
摺動部に既に出来ているGRPの共晶膜にサンドイッチされた「オイル自体の性能」が
表面に出てきます。
固いオイルと柔らかいオイルを比較した時、粘度的な差をそのままオイルの性能と思ってしまいがちですが
そういうわけではないと言うことです。
ですから、このような状態になっていたエンジンに
上記の粘度が高い添加剤が入ると、
クリアランスが大きくなったエンジン等ではオイルの粘度が高いにも関わらず、
以前のように良く回るはずなのです。

特に、モーターアップのような高粘度の添加剤を入れることで
オイル膜が薄くなる高回転の高温下でも油膜が厚いため、パワー感まで体感が出来る事は考えられます。
コンプレッションが悪くなったエンジンや元々クリアランスが広いエンジンに
粘度の高いオイルやオイル添加剤を使用すると調子が良くなるといわれる事柄で
昔から、体感されてきた事柄なのですが、
粘度抵抗よりコンプレッションの増加の方がエンジンの出力に大きく影響する例です。

 ところが使用していくうちに(6000kmも経ってからなのですが)
上記の添加剤、モータアップもポリマーの物理的劣化のせいか原因は分かりませんが、
粘度が低くなっていまして、 「オイル食い」し出すようになりました。
あるいはこの添加剤に入っている塩素系成分が摩耗促進剤となってしまったのかもしれません。

または
GRPはオイル中に一定の濃度が必要ですから、オイル交換した後にモーターアップを入れておりますので
当然GRPの共晶膜も入れ替わる成分がなく、段々密度が減ってきています。
そうなりますと、共晶膜の密度も無くなりますので
元に戻っただけなのかもしれません。
なお、GRPの前は交換距離が3000kmでしたので比較になりませんが
オイル食いはこれぐらいの距離では今までありませんでした。
オイルが劣化しますとオイル消費も増える傾向がありますので
そうなのかもしれませんが、
ひょっとして、エンジンのクリアランスがモーターアップを使用することで
更に広がってしまったのかもしれません。
(このあたりが塩素系を悪者扱いされる一因でしょう。)

対処として、予算の関係ですぐにはオイル交換出来ず、オイルを継ぎ足ししましたが、
当たり前かも知れませんが、元々が添加剤で良くなっていたわけですから
それが入っていないので
その後は段々エンジンも調子が悪くなり、2000km走行して
ユーザーは不調に耐えられず、オイル交換ということになりました。
なお、継ぎ足し後の走行2000kmではほとんどオイルの量は減っていませんでしたので
オイル食いの理由が一筋縄では説明できない面もあります。
(オイル自体の消費量は分析試験などすればおおよそ判りますが・・・)

決して、「モーターアップ」が悪いということで、この例を出したのではありませんが
一回調子が良くなりますと人は欲が出まして、他に「これはすごい添加剤」と広告されていますと
使ってしまうのも人情です。
また広告の規模がすごい商品ほど、その広告費を製品価格に転嫁せざるを得ませんので
価格が高くなりさらに売らんが為どうしても広告内容も「いびつな様相」を呈してきます。
なお、ご存じかどうか、このようなTVでの製品は
結構古いタイプの製品(10年以上前に売られていた製品が
最初1−3年間集中的に売られている事が多いのも事実です。
その後、不満か出る前に、次に開発された5−6年ぐらい前の製品を”新製品”として
また1−3年間売るか、サービス品を付けるかで引き止め、
その後にその頃にもしあればですが最近の製品を”最新製品”として売ればいいことになります。
添加剤などそんなに短期間で製品が変わることがないので
これなら暫くユーザーをその添加剤購買者として引き止めることが出来ます。
この添加剤を使用したとき、確かに今までのオイルだけより
高速走行時などではフィーリングが良いという事もそのユーザーは感じていました。
ただ、これとは逆にしばらく使用した後の状態が今までにないほど悪かったのも事実です。
このため今回、また元のGRPに戻ったのです。
その後のGRP添加時の交換距離は8000kmです。
調子も2回目以降戻ってきたということでした。

2つの添加剤を入れるというような不経済なことは本人も考えていなかったということと、
思っていた効果が長続きしなかったことで、2者択一の結果、元に戻しただけかも知れません。
もし、これが逆の添加順でしたら、どちらを取ったかの結果は私には分かりません。
このあたりはフィーリング的な要素で
私はデータをある程度持っていますから
善し悪しは大体わかるのですが、強要したくはありませんので
当然、最終的にどれを選ぶのかはユーザー任せにしています。
(もちろん、アドバイスは十分させて頂いておりますが・・・)

コンプレッションを良くし、オイル食いを少なくするだけなら、粘度の高いポリマー系添加剤もありますし、
値段も安いので以前それだけを使用したことがありましたが、
このユーザーはそれをそれほど良いとは感じなかったようですから、
同じ結果かも知れませんし、ひょっとすると上記の添加剤を2回、3回と使用していくうちに
もっと 効果の高い結果が出ていたかも知れません。
(結果は多分逆でしょうが、最初から決めつけるのも失礼ですし・・・笑)

長期的に使用しないとGRPも本来の効果が出にくいタイプの添加剤ですし、
過走行車などに使用した場合に「まれに」GRPの強力な清浄効果で
使用中にエンジンにこびりついたスラッジを洗浄してしまい、若干コンプレッションが落ち
共晶膜が出来る多少の距離の間が、逆に不調になる時期があることも知っています。

 こういった事は商品の開発時のデータには出てこない場合が多く、
知らないで使用すると効果が裏目ででた場合は「とんでもない添加剤」のレッテルを貼られてしまう事になります。
(注:GRPの場合、共晶膜が出来次第、コンプレッションは 以前にもまして増えますので、ご心配なく!!)
説明がないと、せっかくの洗浄効果も「エンジン不調」を招いた張本人として 「2度と使わないぞ」という事になると思われますが、
ちゃんと説明がされていれば、「エンジンの汚れが今まで以上に落ちる良い添加剤」として そのまま使われ、
GRPの共晶膜が出来ていくうちにコンプレションも上がり、 「すごい」となってしまうのです。

 上記の添加剤との比較ではタイプが違うためそんなに迷わなかったでしょうと思われますが、
本当は違うタイプなのに「同じようなフィーリングを感じる」タイプの添加剤同士では、
どう考えたらいいかは迷うものです。

 よく聞かれるのが「GRP」と「ミリテック」と「IXL−AUTO」と「アタックX1」などです。
「SFR」「X−1R」x1rは腐食性が強すぎて対象外とさせて頂きます。
詳しくはこちらのページの裏コメントにあります。
過激なTV宣伝の製品は少し冷静になって判断されると良いでしょう

面白いことに、他の添加剤との比較を真正面から載せているIXLなどや他の添加剤のページでは
NEW−GRPやPLUTOとの比較を数値的には載せていません。
これは自分の売りたい製品がこういった比較では宣伝にならないためだと言うことは
賢明な方でしたら分かるはずです。
ただ私も理解できるもっとも多いGRPの評価が「値段が高い」です。
NEW−GRPはかなり安くなってきましたが、それでも高価には変わりありません。
確かに安くなればいいと思いますが、あまりにも安い製品はそれなりになってしまうわけでして
無理な性能を安価に求めますと、どこかに歪みが来ます。
まして、本来産業界用で開発されていった製品で自動車用でないわけですから
虚偽も製品のばらつきさえも致命的になるわけで
原料の選択から何から何まで手間と費用が高く付くわけでして
仕方がないのかなと感じてしまうわけです。

試験器により出された摩耗粉量の比較などもある程度信用できるものとしてこちらに出していますが
同じ土俵上に無い比較には使用しないでください。
(資料も結構古くなってきまして、現在の製品とは異なる場合もあると思います。)追記2007/11/09

同じ系統の添加剤は
それぞれほとんど同じ効果のような宣伝文句になっています。
また、上記「モーターアップ」や「GP(ゴールドパンチ)アルファ3000」などのような、商品も、同様です。
成分がそれぞれ公表されないためどんな種類(成分)の添加剤なのか広告ではわかりにくいものです。
違いは、「共晶膜を作る」「表面処理をする」「金属に浸透する」「オイル強化やロングライフ化」など。
説明がほとんど説明になっていないものもあります。
基本的には成分で大体わかるのですが、テスト機器を持ってないので「確か」とは 言えませんし、
きちんとして比較テスト結果をメーカーは出してくれませんので、あるいはデータを出していても、
不利な条件のテストはしないもので、
こういった添加剤はユーザーとしては「好み」になってしまうかも知れません。

もちろん添加剤としては、エンジンやその機器の寿命を延ばす目的だけでありませんので、
使用目的などによっては一概にどれがよくてどれが悪いともここでは言えません。

 本当をいえば全然違った考えから出来てきた添加剤なので、
長期使用すると違いがはっきり出て来ることも事実です。
成分的なデメリットをいうと、塩素系極圧剤が入っていて、金属を腐食させてゆくタイプがありますし、
高温になると効果がなくなるタイプもありますし、
長期に渡る通常走行でも焼き付きこそ起こしませんが、
使っていくうちに 金属を削り、摩耗し続けてゆくタイプの添加剤もあります。
実際に困った事にこういうデータはユーザーには公開されてはおらず
銅板腐食試験などのデータを公開すればはっきり判るのですが
不利な広告をしないのは世の常でして
出すことはありません。
逆に有利なわけですから
GRPなどははっきりデータとして出しています。
GRPはこの試験では「1aー1b」で全く心配など無いのです。
それも温度が過酷で通常のオイルが簡単に到達してしまう100度Cの3時間ではなく
もっと過酷でそれ以上影響が出るASTM D-130、銅箔腐食テストで160度Cで1時間でのテストなのです。
(オイルなどは10度上昇で寿命が半分になると言われますので1時間でも過酷なのです)
 これは、エンジンをオーバーホールして初めてわかることなのですが、
塩素系添加剤や硫黄系(モリブデンを含む)と言われるタイプでは
場合によっては、通常の早めのオイル交換の方が「まし」だったというような場合も出てきます。

その「やり玉に挙げられる」のが「塩素」です。
ちなみに塩素化パラフィンの類として言われているものについて言えば、
すべてが強力な腐食性のあるものとしてひとまとめに取り上げている場合が多くありますが
「塩素化合物」ということと「塩素系」「塩素化パラフィン」と同じものとして扱う事は
正しい事なのでしょうか?

 答えは「NO]です。

塩素添加剤それ自身が極圧剤として働き腐食性を伴う場合がほとんどなのですが、
(腐食性があると言われている塩素系商品に「レ**」や「プ***グ」などもありますが、
使ったこともないし、使う気にもならないのでここでは「パス」させていただきます。 使う世界が違うのでしょう。)
全く異なった働きをし、腐食性がほとんどない場合もあります。
反応などにどうしても必要な成分に塩素が含まれ、仕方なく添加されている場合などについて言えば、
添加剤全体としては腐食性がごく僅かか、ほとんど無いのです。
例えばそういったものに、ミリテック(は多少腐食性が強めですが)とGRPがあります。

 ミリテックは25ウエイト%、旧GRPは18ウエイト%の塩素化合物としての成分を含むと
調べられたと言っている方がおられましたが、
もちろん化合物としての重さであって、塩素単体ではありません。
当然単一成分として調べるのであればもっともっと少なくなりますし、
こういったデータ自体も測定方法でかなり異なる数値になることも分かっています。

なお、GRPに関して更に云えばGRPの成分構成は大変複雑でICP分析では塩素系と同じ波長が
検出されても塩素化合物の性質は有していないとGRP社は技術説明をしています。
また塩素系物質が入っているものには有名なスキルEなどもあります。
こうなりますと、分析自体の判断さえ、かなり難しい世界だと言うことがおわかり頂けるかと思えます。
で、それらはそれ自体が極圧剤として働くと言うより、
ミリテックは「金属表面改質強化」としてドライヤーの熱ほどの低温で反応するために必要であり、
GRPは「共晶膜生成」のため閃光温度ぐらいのかなり高温で初めて必要なものであろうと思われます。

問題となるのは一体何かを見てゆくには
参考としてこちらのHPなども見て、総合的に判断された方が良いかと思います。

自動車で使用する場合も同じでしょうが
化学的な腐食性・使用効果としての摩耗量をまず問題にするのでしたら
結局は銅板腐食テストや長期可動車両のオイルサンプルなどを求めるべきでしょう。

同じ「塩素化合物」という範疇に入れられている添加剤成分であっても「異なる化合物」ですから、
この比較データでは
全く性質も違ってくることが判るはずです。

調べれば判るはずですが
テフロンなどの商品名で知られるPTFE等のフッ素は無酸素下で加熱しますと
有名なあのサリンより猛毒な物質を作り出してしまいます。

自動車を運転していれば
鉱物油や燃料に含まれる数々の物質は発ガン性物質ですし
NoxやCO、CO2もばらまいております。
第一、排気ガスを直接吸えば大抵の人は死んでしまいますし
そうでなくてもディーゼルのPMは発ガン性、アレルギー症状を起こし、問題になっています。
実際にそうなのでしょうが
世の中の化合物は、自然に出来ようが合成されて出来ようがすべて悪者となってしまいます。
ですからこういった事柄をどういう風に判断するかが
本当は一番大切となるように思えます。

成分分析として化合物塩素を含む=塩化物としてなのですが、
この2つの添加剤(ミリテックとGRP)にしても異なった作用を塩素化合物がしていますし、
従来の塩素系とは全く違う種類の添加剤と言えます。
(アタックとIXLについては調べていませんので悪しからず。)

成分だけから見れば確かに化合物として塩素を含むので「塩素系添加剤」の部類に入れる人もいるのですが、
これはどうなんでしょうね?
塩素=腐食性であれば、
硫黄=更にひどい腐食性
と、実際はなるのですが、
(硫黄は一般的に誰も問題にしていないのですが、最近は”サルファフリー”とやっと言われてきました。)
そうならないのがこういった化合物の世界なのです。
 

例としてはどうかなとも思いますが
エチルアルコールとメチルアルコールは
分子式で表すとエチルアルコール→C2H5・OH メチルアルコール→CH3・OHですが
同じ成分から造られていても全く別の物質です。
ジメチルエーテル(Dimethyl Ether)も分子式CH3OCH3ですから
同じようにCとHとOで出来ていますがこれも異なります。

本質から言うと、全く違った領域の「科学+化学」の分野の添加剤なのです。
 化合物として入っている「塩素」をすべて同等と見なすには無理があるということが
おわかりいただけると思います。
(参考に有機モリブデンの腐食性もみてください。)

これは、炭素(C)からなる物質だけをみてもわかることです。
「スス・炭」「ダイアモンド」「フラーレン」などが同じ炭素から出来ているのに 違う物質といわれるのと同じ事です。
塩素で言えば、HClとNaClを同じものと言う人はいないでしょう。
・・・・・
・・・・
・・・
いけない!また話しがずれてきた・・・。


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